末梢血幹細胞移植

血液の源になる造血幹細胞は、骨髄で1%、末梢血(普段、採血するような静脈や動脈中を流れている血液)で
約0.05%程度含まれています。しかし、抗ガン剤治療の後、白血球が回復する時期には、
骨髄からたくさんの造血幹細胞が末梢血に溢れ出ること(動員)が知られています。
最近では、コロニー刺激因子という造血因子を注射することで、
抗ガン剤を使用せずとも、末梢血に造血幹細胞が動員されることが判明しました。

この末梢血中に動員される造血幹細胞を、骨髄細胞の代わりに用いるのが末梢血幹細胞移植です。
末梢血幹細胞移植には、自分の造血幹細胞を成分採血装置を使って採取し、
凍結保存しておいて、大量の抗ガン剤治療の後に戻します。
戻された末梢血幹細胞は、約1週間ほどで成熟した白血球となります。
この末梢血幹細胞移植の適応になるのは、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫、
急性白血病などの血液の病気の他にも、乳癌、卵巣癌、睾丸腫瘍、肺小細胞癌などがあります。

また、最近では、正常な人に造血因子を注射して、末梢血幹細胞を採取し、
骨髄移植の代わりにする同種末梢血幹細胞移植が進められています。
骨髄移植と違って、全身麻酔を要しないことから、安全性が高く、
今後、骨髄移植に取って代わると言われています。

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