母子訓練入院
母子訓練入院中の様子
友達、るかくんと2ショット
ボ〇タ訓練習得の為、かあちゃんとゆーさくは5週間の訓練入院をした。
ボ〇タ訓練は毎日、4回しなければならない。
平日は毎日、4回のうちの1回をPT(理学療法士)とやることになる。
また、週に1,2回は、食事訓練といって、ゆーさくの場合、ほとんど出来なかったミルクの経口摂取をST(言語療法士)の先生に指導してもらう。
そして、毎週金曜日のPTとの訓練を終えると、外泊で家に帰り、また日曜日の夕方C病院に戻るという生活であった。
かあちゃんはは3パターンのボ〇タ訓練を教わる。
しかし、いつも困ったことが起こるのだ。
他の子供たちは、みんな訓練を始めると神経の刺激に抵抗をする。
泣き始める子供もいる。
しかし、ゆーさくは抵抗しないのだ。
3パターンの始めの1つ目の時点で、あっというまに寝てしまうのである。
PTは苦笑いして”寝てしまわれると、効果が出にくいんですよ。でも、少しは効果がでますし、やれるだけやりましょう”といつもいっていたような記憶がある。
それに対し、C病院の主治医は”訓練は体力を使います。ゆーさくくんのような赤ちゃんは疲れてすぐ寝ちゃうのです。でも、それはちゃんと訓練がうまくできているからですし、だんだん体力がついてきて寝なくなりますよ”といってくれた。
しかし、母子訓練入院中も退院後もゆーさくがすぐ寝てしまうという状況は全く変ることが無かった。
食事指導では、かあちゃんは初めて”誤嚥(飲み込みが下手で、食べ物が気道に行かず気管に入ってしまう。誤嚥性肺炎を起こすので危険である)”という言葉を知る。
STの先生は”ゆーさくくんは誤嚥の可能性がとても高いから、経口摂取は本当に身長にしないと駄目。ミルクは味見程度の極少量から始めましょう”という。
当時、ほとんど飲めないけれど、かあちゃんやとうちゃんは一応のめるだけ哺乳瓶をゆーさくに銜えさせていたのだが、それは禁止になってしまった。
平たい金属製のスプーン1杯だけを口の中になじませるよう指示をされた。
指導の旅に、量はほんの少しずつ増えていった。
しかし、哺乳瓶の乳首も最初はそうなのだが、スプーン自体が唇に触れるのをゆーさくはとても嫌がった。
哺乳瓶は一度口に入れたら銜えぱなしだが、スプーンはその都度口に入れる。
ここでも、またゆーさくはスプーンでのミルクの経口摂取最中に寝てしまうようになった。
また、STの先生はやたらと誤嚥のことをいう。
ゆーさくは誤嚥をしているのか、不安になった私はB病院の主治医に一度聞いてみた。
ところが、主治医は”ゆーさくさんは、生まれてからずっと肺炎がないんですよ。それに、ゆーさくさんの咳反射は異常なほど強い。気管に異物がはいろうとしたものなら、すごい咳き込むはずなんです。僕は、嚥下の専門家ではないから100%否定はできないけれど・・・。ゆーさくさんがミルクを飲めないのは誤嚥だけでなく、慢性肺疾患などの呼吸のしんどさの問題やらで、誤嚥以外の問題がいろいろあるはずです”と(注:のちの気管切開後は気管カニューレせいもあって誤嚥するようになる)。
B病院の主治医の言葉はC病院のSTとは違った。
私は頭がこんがらがる。
とはいえ、B病院の主治医の説明は納得、もちろんゆーさくのことをずっと診てくれているからというのもある。
退院直前に、訓練入院の成果の判定をC病院の主治医から受ける診察があった。
この日は、とうちゃんも同席した。
具体的な判定結果、そこから推測されるゆーさくの予後について、はっきりとした説明はなかった。
主治医は、ゆーさくを診察しながら、手の動きなど”ほら、ここがこうなるようになってきた。”などいう。
しかし、正直、かあちゃんにはゆーさくがどう発達したのかさっぱりわからない。
さらにかあちゃんが”ここがこうなると、それがどう正常な発達に関係するのですか?”といったような質問をしようにも、先生の診察は一気に喋るので、かあちゃんが口を挟むヒマはなかった。
そして、最後に主治医から”入院生活よくがんばったね。退院後もこの調子で訓練を頑張ってください”といわれて終わった。
正直、当時、”???”と感じることばかりの母子訓練入院だった。
疑問や不安がつのるばかり。
しかし、ゆーさくの発達に対し、頼ることが出来るのは当時C病院だけであった。
かあちゃんは、いらないことは考えず、ボ〇タ訓練をするしかなかった。
しかし、母子訓練入院生活そのものはとても楽しかった。
3人部屋だったのだが、病棟には母子訓練入院用の3人部屋が2つあり、常時6組の親子が入れ替わり入院していた。
母子訓練入院が2回目だという親子もいたが、子供に障害がありこれから子供がどう育つのか不安を抱えたお母さんばかりであった。
すぐ仲良くなれた。
かあちゃんと同様、お酒大好きお母さんもいて、かなり、入院生活は盛り上がった。
ここで得た友達とは、退院後もずっとお付き合いが続いている。