経管栄養指導

とうちゃんによるゆーさくの入浴指導実地
ゆーさくはお風呂が大好き♪

 未熟児や病気などで保育器に入った赤ちゃんは、状態が落ち着くまで経管栄養で栄養をとる。
 NGチューブと呼ばれる管を鼻から入れ胃までとおし、点滴のようにしてミルクを摂取するのだ。
 ミルクは母親が搾乳し専用パックにいれ冷凍庫で凍らせ、NICUへ運ぶ。
 あかちゃんの病気への抵抗力などを考えると母乳が一番なのであるが、母乳が足りなくなってきたら、粉ミルクをNICU側が用意してくれる。

 かあちゃんも頑張って搾乳をしていたが、途中であまり出が悪くなってきた。
 でも、ゆーさくに直におっぱいがあげられるようになったら、またでるかも・・・、と思っていた。
 しかし、保育器を出ておっぱいを直にあげる授乳の許可がでても、ゆーさくはおっぱいを飲むことができなかった。おっぱいに吸い付こうともしなかった。
 かあちゃんの母乳はとうとう足りなくなり、一回の搾乳量もわずかになってしまった。
 また、いつまでたっても、哺乳瓶でもあまりミルクが飲めない。
 ベテランの看護士さんが一度、必要量全部飲ませてくれたが、時間がかかったそうだ。

 何でのめないのか、肺がまだ未熟で飲むがしんどい、脳の異常で口が思うように動かない、等、主治医や看護士さんはかあちゃんをフォローしてくれた。
 また、本来赤ちゃんにはおっぱいやミルクという欲しいものしか口の中に入らないはずが、仮死で呼吸ができず挿管すると口の中には、異物の管がずっと入っていることになる。
 赤ちゃんにとっては大切なものであるとはいえ、食べたいもの、口の中に入れておきたい物ではない。
 よって、気管内挿管が長かった子は、口の中が過敏症になるようで、食べるということを忘れ、異物だけでなく食べ物も口の中に入ると敏感に反応してうけつけなくなることがあるらしい(これは最近になって知ったこと。)
 とはいえ、呼吸できないと食べることすらできないのだから気管内挿管を短くするわけにはいかないし、また、B病院NICUでは挿管が抜けた時点で、過敏症を防ぐためだったのか哺乳瓶の乳首などをおしゃぶりにして、ゆーさくくわえさせてくれていた。
 でも、ゆーさくはおっぱいや哺乳瓶をくわえる瞬間いやがるし、くわえても一向に飲まない、もしくはとても時間がかって30ml 飲めるか飲めないかだった。
 
 ミルクを飲まない、ということ以外に関してはゆーさくは退院できるような状態になってきた。
 主治医から、家でも経管栄養を続けることで退院しましょう、と言われる。
 最初は、ええ〜っ!と思ったが、NICUを出る子で経管栄養のままの子は中にはいると聞き、それなら私たちにもできるかな、と思い、また、そのときはもう、”いつゆーさく退院するかなぁ”と私たち夫婦は退院を心待ちにしていた状態であったので、すぐ受け入れた。

 それから、担当の看護士のSさんを中心に、経管栄養のやり方を教わる。
 ミルクの入れ方(注入の仕方)、ミルクかすなどで汚れるため週1度NGチューブを交換しないといけない、そして家でチューブが抜けてしまったときのために、NGチューブの入れ方、などを教わった
 NGチューブがちゃんと胃に入っているか確認するために必要な、聴診器も買う。
 2.3週間かけて何回かかあちゃんが練習し、とうちゃんも2度ほど練習させてもらった。
 そして、経管栄養のままNICU退院を迎え、在宅経管栄養管理が始まった。 
 
 このように、ゆーさくの在宅の経管栄養は自然の流れであったように思う。
 誤嚥するから経管栄養にしなさい、という突然の指示ではなかったので、すんなり私たちは受け入れることができたのだ。
 ”いずれ、経管栄養はとれるだろう”と甘い考えを持っていたからかもしれない。
 実際、2歳半をすぎた今も経管栄養は続いている。
 未だに、物が口に入る瞬間嫌がるし、”食べることでお腹が膨らみ栄養を取る”ということがゆーさくの脳にはインプットされておらず、”食べること=味覚を楽しむ一つの遊び”に過ぎないようだ。(これでは、いつまでたっても経管栄養は続くであろう。)
 

 経管栄養に関しては、もう私たち夫婦にとっては、当たり前のこととなっている。
 不謹慎だが、発熱があって食欲不振になったり、水分をいっぱいとらなければいけないときでも、本人の抵抗なく必要量の栄養や水分補給ができるため、ある意味助かることもあったりするのだ。

 しかし、人間として食べることは生きる基本だ。
 その基本的なことを忘れている、もしくはわからないということは、とても重大な問題である。
 今、当たり前のように経管栄養を行なっているが、そのことは常に忘れないようにしている。