(気配)
 5月末より、大好きだったお弁当を残すことが目立つようになりました。気になりましたが、暑い日が続いたせいで体調でも崩しているのだろうと、その時は思っていました。
 それに、中間テストも重なって、試験勉強の寝不足で疲れているのかなぁ、ぐらいの感じでした。
 ゆうは学校が大好きで、大好きで、(勉強はぜんぜんダメでしたが・・・)学校の先生、すばらしい友達に恵まれていました。だから、体が異変をおこしても楽しさのほうが勝って、学校に通っていたんだと思います。
(診察)
 あまりにひどく疲れた様子なので、近くのクリニックへ行ったところ、診断結果は「心臓に雑音あり」。大学病院での診察を勧められる。

 6月13日。心臓専門医に診てもらう。心臓検査の結果は「心臓に異常なし」念の為、レントゲンを撮り、採血する。
 診察室に入ると、レントゲン写真と二人の医者。重苦しい雰囲気。
 二人の医者の様子を見て、尋常ではないと察し、ゆうを診察室の外に追い出した。
 医者からは「詳しい検査をしたいので、すぐ入院してください」と言われる。
 しかし、別の病院でおじいちゃんが肝臓ガンで入院する支度があるので、その日は帰ることにしました。

 病名をたずねると「縦隔腫瘍」と聞きなれない病名。横にぶらさげてあるレントゲン写真には、大きな(心臓よりも)大きな影がはっきり写っていました。
 そして、「入院してから、くわしくお話していきましょう」と。
 「大変みたいだけど、だいじょうぶ、だいじょうぶ」と心に言い聞かせた。
(入院)
 次の日から他に転移していないかを調べるため、いろいろな検査をした。

 1週間後、検査結果は「転移なし」。家族一同ホッとする。
 医者からは、
 「手術もできないぐらい、大きな腫瘍なので、まずは化学療法から」
 「3回程度の化学療法のあと、手術をし、そのあとまた化学療法をして、半年ぐらいで、退院ですね。でも、手術をしてもとり残しがある為、再発も頭に入れておいてください」 と言われる。