輝く栗毛、愛くるしい瞳、額の綺麗な白い流星、一目でファンになってしまった。強く、その美しい馬体から、ターフの貴公子、流星の貴公子と呼ばれ関西ファンの期待の星となりました。

デビューは１０馬身差のレコード勝利、その後も勝星を重ね５連勝で皐月賞を迎え打倒関東馬を信じて疑わなかった。当時は、今では信じられない程の東高西低の勢力図でテンポイントのデビュー年１９７５年もクラシック５レースはすべて関東馬が優勝しています。それ故にテンポイントへの期待は大きいものがありました。杉本清アナ個人も関西馬テンポイントのファンで実況にも個人的な感情が端々に伺えます。

しかし、万全の調整で迎えた皐月賞は厩務員のストで１週間延期となるアクシデントによって、調子を落としたテンポイントは３戦全勝の「天馬」トウショウボーイに負かされ２着。続くダービーには関西のスタージョッキー武邦彦騎手を鞍上に必勝態勢で望みましたが、優勝馬クライムカイザーから１２馬身差の７着と期待を裏切る結果となりました。（この敗因はレース中の骨折であることが判明）

幸い怪我は軽傷で菊花賞には間には合い、宿敵トウショウボーイと３度目の対決を迎えることができました。レースは、最後の直線でトウショウボーイを捕らえ誰もがテンポイントの勝利を確信しましたが、最内から伏兵馬、緑の覆面のグリンーグラスが抜き去りテンポイントは２着とクラシック無冠に終わったのです。この時から、ＴＴＧの３強伝説が始まったのです。
迎えて同年の有馬記念、グリーングラスは出走はしていませんがトウショウボーイとの第４戦で今度こそはの雪辱戦です。結果は、３コーナーを回ったところで先行馬がバテて前が壁になり、慌てて外へ出すも４コーナーで外に振られる不利に見舞われトウショウボーイを捕らえきれず２着に終わりました。
翌年、５歳で迎えた春の天皇賞、残念ながら宿敵トウショウボーイは両前脚深管骨瘤で欠場。このレースは、グリーングラスに菊花賞での仮を返して１番人気に応え優勝。
続く宝塚記念ではファン投票１位で選ばれました。ＴＴＧに恐れをなして出走馬は６頭。しかし全馬がＧⅠ馬という超豪華対決。レースはトウショボーイが快足で飛ばしそのままゴールイン、テンポイントは３／４馬身まで詰め寄ったが２着。ああ、トウショウボーイには勝てないのだろうか。

第２２回有馬記念、このレースはトウショウボーイの引退レース。菊花賞で先着はしているものの優勝を逃している。打倒「天馬」のラストチャンス。レースは今でも競馬史上に残る名勝負として語り継がれる壮絶な闘いとなった。スタートから両馬の抜きつ抜かれつのマッチレース。杉本アナの「これは世紀の一戦だ！」、「中山の直線を、中山の直線を流星が流星が走りました」このレースを見ていた誰もが感動した。１着テンポイント、２着トウショウボーイ、３着グリーングラス。ついに宿敵トウショウボーイを倒した。ファンはこの両馬に惜しみない賛辞を送った。名勝負を、競馬の感動を与えてくれてありがとうテンポイント、トウショウボーイ、そしてグリーングラス。

宿敵トウショウボーイは引退。国内に敵なしとなったテンポイントに海外遠征プランが持ち上がった。遠征の前に関西ファンにトウショウボーイを破ったテンポイントの姿をお披露目したい（実際にはファンの熱い要望に応えてのもの）と壮行レースに選ばれたのが日本経済新春杯。運命のレースとなった。有馬記念から１ケ月、粉雪舞う厳寒の京都競馬場、背負う斤量は６６．５キロ・・・結果論だが条件は厳しすぎた。悪い予感を覚えたファンもいるだろう。これは人災だという人もいるだろう。３レース前の京都大賞典で６３キロを背負って８馬身差の大勝の結果が、テンポイントなら大丈夫と思わせたのかも知れない。３コーナーでそれは起こった、複雑骨折！「テンポイント、これはえらいこと、これはえらいことになりました。」杉本アナはレースそっちのけでテンポイントを心配する。
通常なら薬殺処分だが、助命悲願は止まず一縷の望みを託し異例の大手術が行われテンポイントの闘病の日々が始まったのです。スポーツ紙は毎日のようにその闘病の日々を伝えたのです。それは、日に日に衰えるテンポイントの姿でした。５００キロの馬体が３８０キロに・・・結局、４３日間の闘いの末、テンポイントは流れ星となって北の大地へと帰っていったのです。（合掌）　　いつしか人は彼のことを悲運の名馬テンポイント、悲運の貴公子テンポイント、と呼ぶようになりました。

祖母クモワカにまつわるテンポイント出生の話などは、この後に知るところでした。ホームページ開設にあたって、どこかでテンポイントのことを書きたいと思っていました。この世代では、エリモジョージ、ホクトボーイも大好きな馬でした。

※作成に当たっては下記資料を参考にさせて頂きました。
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参考資料
　Book：三冠へ向かって視界よし杉本清著
　Book：優駿観戦記で蘇る有馬記念十番勝負　寺山修司・遠藤周作他著
　Video：THE TENPOINT STORY
　HomePage：Garakuta Box
　HomePage：SHODO FARM
　