その7 『 第21回 滋賀県 学童保育 研究集会 』 2004年2月29日(日)
第8分科会 『 よりよい学童保育を目指して、指導員の仕事内容と身分保障 』
(発表資料:要約)
(守山市指導員2名の発表の後、吉野の発表)
0.自己紹介
・ 学生時代、京都の学童保育所(長岡第三小学校)で夏休みのバイト
・ 栗東町 学童保育 町連協 (会計)
・ 栗東市 大宝小学校 たけのこクラブ会長
・ ピジョンランド新設、こだまクラブ新設、たけのこクラブ増設に関与
1.指導員と保護者の関わり
・ 指導員は学童保育所・児童のことを一番よく知っている
・ 保護者は学童保育所・児童・指導員のことをあまり知らない
・ しかし、保護者が学童保育所の維持・運営をしている→ そこに無理が
→ 吉野の考え :
・ 役割分担を明確に
・ 保育に関しては指導員はプロ
・ 保護者は、クラブ運営(人・物・金・対外交渉)・行事の企画&運営
及び指導員から相談があったことを解決すれば良い
2.指導員の仕事を知ろう!
・ 個別ヒアリング (合宿所へ押しかけ、夜中まで。。。)
指導員からの要望事項はほとんど対処 (下校引率・分団水泳・
遊具整備・備品整備・月給制・社会保険・指導員体制・就業規則)
→ 会話不足を実感
要望は就業理由に直結 (保育に関する件・身分保障に関する件)
・ 色んな会議があるんだなぁ
県連協(滋賀県学童保育連絡協議会):1回/月
市連協(栗東市学童保育連絡協議会):1回/月
県指連協(滋賀県学童保育指導員連絡協議会):1回/月
学保会(湖南指導員会):1回/月
栗東指導員会:1−2回/月
→ ボランティアではなく、仕事としてどの会議に誰に行ってもらうべきか?
また、得た情報の共有方法は?→保育会議の開催・掲示板の活用
→ 吉野の考え :
・ 不安定な保障のままで継続的な勤務の強制はできない
・ 単年度をしっかり勤務してもらえばOKとおく、継続してもらえれば感謝!
・ 引継ぎ資料の充実を
・ 指導員個人としてではなく、組織としての継続を目指す
・ 指導員の役割ローテーションと情報共有を計画的に行なう
・ 支出の8割弱が指導員の経費(給与・出張費・各種保険・退職金積立)
総額を上回らなければ、指導員の中で好きに配分してくれれば良い
3.指導員とのコミュニケーション
・ 指導員と役員の懇親会を年に2回開催 (指導員は飲み・食べ放題)
→ 常勤指導員以外の指導員との会話
みんな夢持ってるネ!
・ メーリングリストで情報交換 http://groups.yahoo.co.jp/
パソコンや携帯電話から決まったアドレスにメールを送ると、
登録されている全員に転送される仕組み (無料)
・ takenoko-yakuin :役員のみ
・ takenoko-unei :役員+指導員(常勤)
・ takenoko-club :役員+保護者(希望者)+指導員(常勤)
メリット
・ わざわざ集まらなくて良い
・ 日程調整のわずらわしさも無い
・ 一対一でなく、一対多・多対多
・ 情報が文字で、正確に伝わる
・ よく考えてから返事をすることが可能
デメリット
・ メールアドレスを間違えると悲惨
・ プライバシーには注意 (個人名は書かない)
・ ボーダフォンで配信遅延?
・ メール下部に不要な宣伝が付く
→ 吉野の考え :
・ トラブルには常に『会って会話』で解決 (電話では結局片付かない)
・ トラブルになる前に、意思疎通の努力を
・ まず、大きな方向性を合意した後に細かなことを決める
・ 話をグルグル戻さない
・ 一方的でなく、指導員同士の相談時間を設け、その後詰める
残件を明確にして再度検討事項にし、残件を減らす努力を
4.指導員の身分保障
・ 社会保険
社会保険の種類 | 行政機関 | 該当者 |
健康保険 | 社会保険事務局 | 通常就労者の3/4以上の労働日数・時間 |
厚生年金保険 | 社会保険事務局 | 通常就労者の3/4以上の労働日数・時間 |
雇用保険 | ハローワーク | 20時間以上/週・1年以上雇用見込み |
労働者災害補償保険 | 労働基準監督署 | 就労者全員 |
所得税 | 税務署 | 就労者全員 |
個別ヒアリングでの「社会保険に入りたい」という要望がきっかけ
「わかりました では、入りましょう」と社会保険事務所に相談
(雇用保険・労災保険には既に加入済み 健康保険と厚生年金保険に加入)
必要書類:賃金台帳・タイムカード・ハンドブック(会則)・年金手帳・等
@社会保険事務所→A市役所(代表者の書類)→B社会保険事務所 (完了)
・ 就業規則
個別ヒアリングでの「就業規則を作って欲しい」という要望がきっかけ
「わかりました では、作りましょう サンプルがあればください」と指導員へ
(雇用契約書規定事項:
雇用契約期間・勤務時間・休日・賃金・有給休暇・加入保険・他)
役員の基本的な考え方を提示→指導員で相談・要望→役員検討
→就業規則策定 (指導員からの要望は絶えないが、まずやってみる)
主な内容:
・ 雇用契約書で規定していないことを規定
・ 「保育」と「保育外」とをまず分けて考える
・ 時間給は15分単位で計算
・ サービス残業はしない
・ 交通費規定
・ 公共交通機関は実費/自動車・バイクは20円/Km・有料道路は実費
・ 保育外業務は「役員の命令」により発生(会議・研修等/命令書・清算書)
(以下、すべて交通費は交通費規定により支給)
・ 保育会議は通常保育として時給計算
・ 定例会議(保護者会)参加は、1500円/回
・ 定例会議(県連協・市連協)参加は、2000円/回
・ その他会議(県連協・市連協)参加は、時給計算(Max2000円/回)
・ 研修会(県連協・市連協・学保会)参加は、時給計算(Max2000円/回)
参加費が必要な場合は実費支給、昼食をはさむ場合は1000円加算
・ 下見などは時給計算(Max2000円/回)
→皮肉にも、この規則により、かなりのコストダウンとなってしまった
以前は移動・待機時間を含めた時給+市職員の出張旅費見合い額支給
→ 吉野の考え :
・ 社会保険に関しては、入る必要のある人には入ってもらう
役員の手間がかかる話以前に、入る・入らないの選択の余地は無い
・ 就業規則に関しては、予算の年間計画をたてるためにも必要
・ 指導員に支払われる経費が全体支出の8割弱を占める以上、
その経費がどんぶり勘定では、安定した運営は不可能
・ 役員など保護者側は、どんな会議に出てもそれが何時間続いても無給
「他人にモノを頼むにはお金がかかるんだなぁ」と実感
・ これらが、わが子らのためになるのなら、精一杯努力しよう!
5.まとめ
・ 学童保育のことを一番知っているのは指導員
・ 役員は、一年限り(人によっては複数年の人もいるが)
・ 役員期間中に精一杯頑張って、指導員が喜んでくれるなら有難い話
・ 一人の役員の頑張りは一年でも、役員組織としての活動は継続される
指導員からの適切な要望により、年々環境は良くなるはず