新卒者の7割6分 就職決まらず

台湾では7月お失業率が過去最高を記録したばかりだが、9月16日付けの『自由時報』では、
今年の新卒者の7割6分が8月末の時点で就職先が決まっていないことを伝えた。この数字は
昨年の同調査よりも1割2分高い。104人力銀行の調査では、5割以上の新卒者が5月以前にエ
ントリーシートを企業に送っているものの、5分の1の人には面接のチャンスすら与えられず、中
には70通以上送った人も1割3分いた。

 ただ、新卒者の就職が決まらない原因のひとつには学生が希望の要請を把握していないこ
ともあるようだ。yes123求職ネットワークのマネージャによれば、新卒者の希望職種は管理部
門のアシスタント、小売業の接客、販売企画の順で、営業は常に最後である。しかし、企業側
が新人を採用したいのはいつも営業部門であり、こうした状況がミスマッチの主たる原因だと
いう。

 こうした就職関連の動向は、学生の気質とも無関係ではないようだ。9月20日付けの『聯合新
聞網』では、台湾師範大学物理学部の賈至達教授の見方を紹介している。過日、成功大学副
校長・馮達旋氏が台湾の学生には危機感が欠如していると指摘したが、賈教授もこの意見に
賛成であるという。賈教授によれば、台湾の大学生は授業の勉強以外は一切やらず、授業の
勉強であっても、少し頑張って通ればいいと思っている。そのため、視野が狭く、他人に無関心
で、社会に対しては冷淡といった状況に陥っているのである。
さらに、賈教授は、こうした現象は父母の過保護と関係があると指摘している。学生は親元を
離れず親が面倒を見てくれるので、「誰かがが世話をしてくれる」とばかりに勇敢に挑戦しよう
とはせず、身を隠せるものなら隠すといった具合なのだ。

しかし、こうした見解には反対意見もあり、世新大学校長・頼鼎銘氏は、こうした現象は時代の
変化に拠るもので、台湾の学生に危機感が欠如しているとは思わないという。以前の台湾で
は経済が成長し始めたばかりで自己努力やがんばりが必要だったが、現在の学生にはそうし
た肩にのしかかる責任の重さがないのだと。確かに現在、大陸から台湾に来ている学生は台
湾の学生より努力家で、ポストモダンの世界に生きる台湾の学生は享楽的な生活を送る傾向
がある。けれども、環境が変われば台湾の学生だって変わるのである。
2009年9月21日


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