No.00007 操業無期限停止へ・・

マタギを生業に食いつなぐ藤田社長
 先の日本政府の援助停止を受け、わが社では既に財務状態の深刻な悪化が進んでいた。
開発途上の製品ばかりを抱え、市販化一号もプロトタイプ以降、
正式な導入の見通しは立っていない。
かさむ開発費に重ねて、平型プロトタイプの自衛隊導入決定に気を良くした
役員連の浪費がたたり、資金は瞬く間に底をついた。

「このまま倒産させてなるものか・・・。」

藤田社長は緊急幹部会を招集、社長権限による、全社業務の無期限停止命令を発表した。
 鳴り物入りでの創業から一転して、突然の強引な業務停止決定に対する
投資家連からの責任追及は厳しく、操業再開に向けた取締役会の活動は、
水面下での行動を余儀無くされた。

しかし創業から僅か数ヶ月、開発中の製品の市販までに必要な道のりはあまりにも遠く、
財源確保のメドが立たないまま、疲労だけが蓄積していく。

 そしてついにその日はやってきた。資金の枯渇である。
藤田は一時的に再興取締役会を解散し、各個人単位での資金調達活動に移行する旨を告げた。
藤田、西の孤独な戦いが始まった・・・。



口を糊するため、バイトに明け暮れる西専務

私財の全てを経営再建のために注ぎ込んだ二人には、
その日のパンを手に入れることさえできなかった。

困窮を極める生活の中、互いに希望だけを抱き、
藤田は村田銃一丁を手に厳寒の八甲田に分け入り、
西は単身渡米、LAのチャイナタウンに再スタートを踏み出した。

遠く離れた場所で戦う二人、しかしその視線の先には互いに同じものを捕らえていた。
無論一日も早い会社再興、そして、これからの世界を担う強化人間を
世に送り出すことである。

必ず訪れる「いつか」を信じ、
今日も藤田はカンジキで雪を蹴り、西は中華鍋を振り続ける。

二人の辞書に「絶望」の二字は無い。