明石市市議会 平成14年9月定例市議会 会議録
明石の高校入試制度「総合選抜」に関する質疑応答

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○議長(冨田賢治君)  大西洋紀議員、発言を許します。
○議員(大西洋紀君)登壇 新政会の大西洋紀でございます。
 発言の許可を得ましたので、質問通告に従いまして、順次質問させていただきます。

− 中略(総合選抜に関して以外の発言)−

 3つ目でございます。高校入試における総合選抜制度について。
 もう定例になりましたが、高校入試における総合選抜制度についての質問を今回もさせて いただきます。質問のたび、いろいろな視点からお伺いしてきましたが、今回は少しばかり 具体的に掘り下げてお聞きしたいと思っておりますので、誠意のある現実的なお答えをちょ うだいしたいと思います。
 なお、最近非常にうれしくもあり、またありがたい現象が起こっております。それは前回 も少しご紹介させていただきましたが、このゆがんだ総合選抜制度について、明石市のホー ムページ上に今まで我慢しておられた多くの市民の皆様が、匿名性ということも働いてか、 どんどんとご自分たちの意見を掲載されるようになってまいりました。当然、教育長はすべ てのご意見に目を通されていることだと思いますが、いかがでしょうか。
 その数たるやすごいもので、火つけ役となった私としてもただただ驚くばかりであります。 生意気なようですが、1年生の議員としてほんの少し山を動かせたかなと、世論の真の意見 を行政に聞く耳を持ってもらうことができたのかなと、少し自己満足に浸っているところで ございます。また、何よりもありがたいのは、ほとんどの皆様が私が当議会で発言している 内容と似通っておられ、私も毎回毎回質問するに当たり、非常に心強さを感じ、また今まで 以上に自信を持って発言していけます。
 そして、それにも増して、このたびは市民意識調査においても、総合選抜制度が調査対象 になったいうことも、これまでのはれものに触れるような位置づけから、ほんの少しですが 一歩前進したような気がいたします。
 ただし、その中の設問項目は妥当かと思われますが、最初に制度そのものを説明している 部分においては、私から言わせれば、実態からかけ離れているにもかかわらず、いまだ学力 均等となるよう云々と表現されているところは、まだこの悪制度を守りに入っているかのよ うで、非常に残念であります。いずれにせよ、少しずつではありますが、教育長を初め教育 委員会も耳を傾けられてこられたことは、紛れもない事実であろうと思っております。それ では本題に入ります。
 まず1つ目は、過去に私が再三にわたって申し入れてまいりましたほかのものとは独立し た検討委員会、あるいは審議会等について設立してほしい旨の提案について、教育長は次の ようにご回答されておりました。今後は、兵庫県教育委員会の動向を十分見きわめながら、 議員初め有識者、市民等々広く意見を聞いていく場を設けていきたいと考えておりますと。 私としては、質問に対する答えになっていないと思いつつも、独自の検討委員会等が設立さ れなければ、たとえそのような直接、総合選抜制度を議論する場でなくても、あえて議論し ていただくつもりでおりますのですが、そういったたぐいの委員会は、既に設立されたので しょうか。私が質問し始めてから、はや4年、もう平成15年度の高校入試は目の前に来て おりますが、いかがでしょうか。
 今、私は少し遠慮がちに申し上げたんですが、本心としてはこれだけ世論の声が高まって きている中、独自の検討委員会等は絶対早急に立ち上げるべきだと思っておりますが、教育 長の見解をお聞かせください。
 2つ目は、以前から何度も申し上げている総合選抜制度の志望校枠であります。
 以前の質問で志望校に入ることのできた生徒たちの比率をお聞きしたところ、教育長は80% もの高合格率であるとおっしゃっていましたが、そのときも私は申し上げましたように、 単純に80%というと聞こえはいいんですが、逆に5人に1人は自分の望む学校へ入学でき なかったということになるんです。実際の市内6高校の一学年の定員は、私も確かな数字を つかんでませんが、仮に40人一クラスとして一校10クラスあれば、合計400人。市内 6校で全体だと2,400人になります。つまり5人に1人の割で泣く生徒たちは480人となり、 一高校の定員以上という恐ろしい数字になるわけです。このような単純な計算すらし たことはないのでしょうか。
 個人的には、この総合選抜制度は百害あって一利なしと思っておりますが、四半世紀以上 続いたこの制度、そう簡単にはなくせるとは思いません。しかしながら、入試制度は生徒た ちのためにあるものだという考え、私にすれば当たり前なんですが、そういう考えが教育委 員会に少しでもあるのであれば、せめてこの20%に含まれてしまう生徒たちの救済を一刻 も早く対応すべきであると思います。
 ちなみに、総合選抜制度を導入している兵庫県下の他の4学区の志望校優充率は、尼崎、 西宮、宝塚は10%、伊丹は35%であります。学力均等などという机上の空論で、合格校 を100%決定しているのは明石だけです。大人たちの理屈だけで、子どもたちの人生をゆ がめることがあってはいけないと感じるのは私だけでしょうか。1つ目の質間で申し上げま したように、一日でも早く検討委員会等を設立していただき、たとえ部分的にでも改善して いくべきだと思いますが、お考えをお聞かせください。
 3つ目は、スポーツ推薦枠のことであります。
 お立場もあろうかと思いますので、以前も教育長の口からおっしゃっていただかなくても 結構ですと申し上げましたが、私の口からはっきり申し上げます。スポーツ推薦は平然とし て存在しております。確証を出せと言われれば出せるのでしょうが、そういう次元の問題で はありませんので、存在するという事実だけを申し上げておきます。この事実が存在する限 り、学力均等の名のもとに行われる総合選抜試験を受験すべく、行けるかどうかもわからな いまま必死になって志望校を目指し、学業に専念する生徒は愚か者にしかすぎません。
 しかし、この制度の中にあっては、学業で勝負する生徒たちはそうならざるを得ないので す。教育長は質問のたびにこれからの高校は特色ある学校づくりに力を注いでいくという言 葉をおっしゃっていましたが、まさにスポーツの強い学校はそれが特色になるのでしょう。 であれば、堂々と6校のうちスポーツの強い学校へ行くという自信と誇りを持って受験でき るようにすればよいのではないでしょうか。現行の制度では、それがあからさまにできない から否定せざるを得ないのでしょう。スポーツを得意とする生徒が特別扱いされるのなら、 学業を得意とする生徒も特別扱いされても何らおかしくないのではありませんか。むしろ陰 でこそこそ現実に存在していることを否定せざるを得ない状況の制度の方がずっと問題視さ れなくてはならないのではありませんか。この紛れもない事実を踏まえた上で、教育長の見 解をお伺いいたします。
 以上、1回目の質問を終わらせていただきます。

○議長(冨田賢治君) 教育長。
○教育長(森田尚敏君) 教育長でございます。
 高校入試における総合選抜制度について、順次お答えを申し上げます。
 制度改革のための検討委員会等の設立についてでございますけれども、ご案内のとおり、 去る8月に実施いたしました市民意識調査において、総合選抜制度についての設問を設けた ところであります。これは、広く市民の方々から制度の長所や短所、そして今後についての 意見をお聞きする機会として実施をいたしました。このことによりまして、先ほどご指摘も ございましたように、明石市のホームページに多数のご意見が寄せられております。すべて 私、目を通しております。
 なお、この市民意識調査の結果集約をもとにいたしまして、改めて各方面の方々の意見、 またその場の設定、そして現時点で行われております阪神間の総合選抜制度等に導入されて おります志望枠設定、そういったものを調査研究を深めていくために、調査研究会を設けて いきたい、こういうふうに考えております。
 制度の決定につきましては、県の教育委員会の権限でございまして、そういった中で、市 民意識調査、そして改善等々について、県教育委員会の方に十分そういった旨の連絡を密に してまいりたいと考えております。
 ご指摘がありました希望がかなえられない生徒が出る、この問題につきましては、やはり 総合選抜制度のデメリットに当たる部分であろうと、こういうふうに考えておるところでご ざいますので、このことも含めて調査研究をしてまいりたい、こういうふうに考えておりま す。
 また、スポーツ推薦枠でございますけれども、これは前回にもお答えをいたしましたが、 そのような推薦枠はないと県教育委員会、また県立高校長からも我々は聞いておるところで ございます。しかしながら、水面下においてそのような事実があるということであるならば、 やはり総合選抜制度のその趣旨に照らして不都合なことでありますので、そういった面につ いても十分明確にするように県の方に申し入れていきたい、こういうふうに思っております のでよろしくお願いいたします。

○議長(冨田賢治君) 大西議員。
○議員(大西洋紀君) それでは、2回目の要望なり、再質問等させていただきたいと思います。

− 中略(総合選抜に関して以外の発言)−

 それから、高校入試における総合選抜制度についてでございます。
 最初の質問でも申し上げましたけども、市民意識調査の項目に上げていただけたことは、 ほんの少しではありますが、前進しつつあると評価させていただいております。また、今ま でご答弁になかった調査研究会なるものの設立のご意思を表明されましたことも、今非常に うれしく感じている次第であります。設立された折には、広い範囲で老若男女を間わず、十 分に時間をかけ、意見集約をしていただきたいと強く要望しておきます。
 次に、志望校枠の設定、提案につ一きましては、志望校に入学できない生徒たちの発生をこ の制度のデメリットとして述べられたにすぎませんでしたけども、今後の見直しの最大テー マとして、再確認していただけたかなと思っております。
 最後にスポーツ推薦枠についてでありますが、推薦枠というとあたかも定数があるように 感じられますが、定数があるという意味ではなくて、実質的にスポーツで優秀な成績を残し た生徒たちには、中学校と高校の先生方の水面下のやりとりが存在しまして、そこで話が成 立すればその生徒たちは志望校記入欄に話のまとまった高校名を記入し、その予定どおりの 高校に入学できていると申し上げているわけでありまして、ですから人数の多い年もあれば、 少ない年もあるわけなんです。教育長のご答弁にもありましたように、現行の明石方式によ る総合選抜制度の趣旨からいきますと、非常に不都合な事態であります。私はこのスポーツ 推薦そのもの全面否定の立場ではなく、1回目の質問のときにも申し上げましたけれども、 これを容認できているのであれば、学業で頑張っている者、あるいは経済的事情でいろいろ しんどい方、病気等の特殊事情のある方などに対しても、志望理由を十分に考慮できる制度 でなくてはならないと主張しておるわけなんですけども、教育長はどのようにお考えでしょ か。再度お答えいただけますでしょうか。

○議長(冨田賢治君)教育長。
○教育長(森田尚敏君)教育長でございます。
 再度のご質問にお答えを申し上げたいと思います。
 先ほどご指摘がありました件につきましては、県教委の方も高校の特色ある学校づくりと いうことの中で、全体的にいろんな改善を出しておりまして、一部阪神間でも取り入れてお るように聞いておるわけでございます。
 ですので、そういった面で総選の中でも、やはり定員の中で今ご指摘あったような方法が とられるのであれば、そういうふうに全面的にこの調査結果を待って、要請するものは積極 的に要請してまいりたい、こういうふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○議長(冨田賢治君) 大西議員。
○議員(大西洋紀君) 

− 中略(総合選抜に関して以外の発言)−

 これ質問じゃないんですけども、ちょっと最後に総選の件で、最後になりますので、ちょっとこれは聞いていただいたらいいかと思うんですが、お時間あると思いますのでちょっと だけお耳をかしていただきたいと思います。
この1回目の質問のときにも触れたんですけども、このテーマの質問を始めましてから、 明石市のホームページには想像以上の反響がありまして、また多くのお便りもちょうだいす るようになりました。そんな中で最近届いたお便りの一部を少し抜粋してご紹介したいと思 うんです。よろしゅうございますでしょうか。

 私は、明石生まれの明石育ちで、今も明石に住み続け、明石で勤務しております。ちょう ど28年前総合選抜1期生で高校入試を受けました。ふだん学校での学習をそれなりにして いると、特に受験勉強らしい勉強もせず、希望の高校に入学することができ、当時は何も考 えず他校へ回された人のことなど気遣いもせず、高校を卒業しました。また、当時もクラブ 活動枠で市内に限らず市外から入学してきていた友達がいたのも事実です。
 あれから28年、私も人の親となり長女、次女は希望校に入学しました。家の窓をあける とすぐ目の前に高校が見えます。歩いて5分ほどのところです。実は今春三女が高校を受験 しました。体が丈夫でなく、生後3ヵ月からいまだに病院とは縁が切れず、定期的に心疾患 で検査に通っているので、親子して近くの高校へ行くことだけを考えて、子どももそのつも りで受験に備えていました。合格発表の日、何と志望校以外の一番遠く離れた高校に回され ることがわかりました。しかもその中学校からはたった一人だけでした。発表から帰ってき た子どもから出た言葉は、すぐ横で希望がかなった友達が大喜びしているのに。私が泣いて 悲しんだら友達の喜びが消えてしまうから泣きたくても泣けなかった。でも何で一番遠い学 校へ行かなあかんのやろう。どこにあるのか、どんな学校かも全くわからんし、というので した。
 何を基準に、我が子が自宅から遠い学校へ行かなければならなくなったのか。学カで振り 分けているのはわかるが、できるだけ親や子どもに負担の少ない近い学校へ回すことはでき ないのか。しばらくの間、祖母までも中学校の校長先生に手紙を出すと言って聞きませんで した。入学後の生活は想像していたより親子へのしかかる負担が大きなものでした。通学に かかる時間と疲労、学校から帰ると食事をするのが精いっぱいで、風呂にも入らず寝てしま う毎日でした。心身ともに疲れ切っている様子でした。これが自分から行きたいと思い、受 験し、合格して行っている学校であれば、子どもの疲労もこれほど大きくないのではと、子 どもの寝顔を見ながら心を痛める毎日でした。
 時は金なり、時は命なりと言っても過言ではないと思っています。時が過ぎるごとに命が 減っていくのです。高校3年間通学のために使う時間は、我が子にとってどれほど大切な時 間かと思うと、またどうしてこんな遠くへと思ってしまいます。毎日子どもの様子を見てい るとふびんで仕方ありません。心身の負担のみならず、金銭的負担も勝手に遠くへ回されて、 定期代も負担させられるのでは納得できません。経済事情もよい家庭ばかりではないはずで す。遠くへ行けというのなら、せめて県なり公共の負担で通学費用は出すべきではないでし ょうか。いま一度この総合選抜が本当に親や子どものためになっている制度なのか。また、 総合選抜が28年間も見直されずに続いてきたことにも疑問を感じずにはいられません。教 育委員会は明石の高校の学力が下がってきていることを闇かれたことはないのですか。学力 幅の広い生徒を指導する高校の先生方の苦労は大変なもの牟と思います。逆に、中学校の先 生方の進路指導は簡単なので、総合選抜制度に反対する声は出てこないのではないでしょう か。
 3月議会のやりとりを拝見していて、市の教育委員会の逃げの姿勢が強く感じられました。 その後、審議会等入試制度を考える会はつくられているのでしょうか。今後一人でも私たち と同じ目に遭う人が出ないためにも、選抜制度の見直しを早急に始めてください。議会の中 で頑張って取り組まれていることに、バックアップになればと思いお便りいたしました。こ ういった生の声を伝えることによって、選抜制度が正しい方向へ向かうことを祈っておりま す。

※大西議員に宛てられたこの便りは、大西議員を通じ、便りの主に正式に許可を頂いて掲載しております。

 以上、抜粋してお伝えしましたけども、真に迫る命がけの通学ということで、これもまた 驚いてしまったんですけど。こういうことも氷山の一角じゃないかなと思ってます。きっと 水面下でたくさんの方がいろんな形で悲しんだり、苦しんだりしていることだと思っており ます。私はこのお便りをくださった方のような人たちを今後は絶対つくってはいけないと肝 に銘じまして、これからもこの総合選抜制度の改革に携わっていきたいことを申し上げまし て、質問終わらせていただきます。


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