私は、明石生まれの明石育ちで、今も明石に住み続け、明石で勤務しております。ちょう
ど28年前総合選抜1期生で高校入試を受けました。ふだん学校での学習をそれなりにして
いると、特に受験勉強らしい勉強もせず、希望の高校に入学することができ、当時は何も考
えず他校へ回された人のことなど気遣いもせず、高校を卒業しました。また、当時もクラブ
活動枠で市内に限らず市外から入学してきていた友達がいたのも事実です。
あれから28年、私も人の親となり長女、次女は希望校に入学しました。家の窓をあける
とすぐ目の前に高校が見えます。歩いて5分ほどのところです。実は今春三女が高校を受験
しました。体が丈夫でなく、生後3ヵ月からいまだに病院とは縁が切れず、定期的に心疾患
で検査に通っているので、親子して近くの高校へ行くことだけを考えて、子どももそのつも
りで受験に備えていました。合格発表の日、何と志望校以外の一番遠く離れた高校に回され
ることがわかりました。しかもその中学校からはたった一人だけでした。発表から帰ってき
た子どもから出た言葉は、すぐ横で希望がかなった友達が大喜びしているのに。私が泣いて
悲しんだら友達の喜びが消えてしまうから泣きたくても泣けなかった。でも何で一番遠い学
校へ行かなあかんのやろう。どこにあるのか、どんな学校かも全くわからんし、というので
した。
何を基準に、我が子が自宅から遠い学校へ行かなければならなくなったのか。学カで振り
分けているのはわかるが、できるだけ親や子どもに負担の少ない近い学校へ回すことはでき
ないのか。しばらくの間、祖母までも中学校の校長先生に手紙を出すと言って聞きませんで
した。入学後の生活は想像していたより親子へのしかかる負担が大きなものでした。通学に
かかる時間と疲労、学校から帰ると食事をするのが精いっぱいで、風呂にも入らず寝てしま
う毎日でした。心身ともに疲れ切っている様子でした。これが自分から行きたいと思い、受
験し、合格して行っている学校であれば、子どもの疲労もこれほど大きくないのではと、子
どもの寝顔を見ながら心を痛める毎日でした。
時は金なり、時は命なりと言っても過言ではないと思っています。時が過ぎるごとに命が
減っていくのです。高校3年間通学のために使う時間は、我が子にとってどれほど大切な時
間かと思うと、またどうしてこんな遠くへと思ってしまいます。毎日子どもの様子を見てい
るとふびんで仕方ありません。心身の負担のみならず、金銭的負担も勝手に遠くへ回されて、
定期代も負担させられるのでは納得できません。経済事情もよい家庭ばかりではないはずで
す。遠くへ行けというのなら、せめて県なり公共の負担で通学費用は出すべきではないでし
ょうか。いま一度この総合選抜が本当に親や子どものためになっている制度なのか。また、
総合選抜が28年間も見直されずに続いてきたことにも疑問を感じずにはいられません。教
育委員会は明石の高校の学力が下がってきていることを闇かれたことはないのですか。学力
幅の広い生徒を指導する高校の先生方の苦労は大変なもの牟と思います。逆に、中学校の先
生方の進路指導は簡単なので、総合選抜制度に反対する声は出てこないのではないでしょう
か。
3月議会のやりとりを拝見していて、市の教育委員会の逃げの姿勢が強く感じられました。
その後、審議会等入試制度を考える会はつくられているのでしょうか。今後一人でも私たち
と同じ目に遭う人が出ないためにも、選抜制度の見直しを早急に始めてください。議会の中
で頑張って取り組まれていることに、バックアップになればと思いお便りいたしました。こ
ういった生の声を伝えることによって、選抜制度が正しい方向へ向かうことを祈っておりま
す。
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