words by taeka


     マテラの夕焼けを後にして、バスは皆が待ちに待っていた町アルベロベッロへ。車窓から見えるオリーブの木々に
     胸を躍らせているうちに外は真っ暗・・・。アルベロベッロの町はイタリア半島の長靴でいうと、丁度踵の部分に
     あたり、南イタリア・シチリア島へ行くツアーでないとなかなか行けない場所にもかかわらず、とても人気のある
     (特に女性に)町です。独特のトゥルリと呼ばれるとんがり屋根を持つ可愛らしい家が立ち並び、おとぎの世界の
     ような町で、ユネスコの世界遺産となっています。真っ暗闇の中にポツポツとんがり屋根が見えてきたら皆の大歓
     声!「カプリ島での宿泊が無くなった前日のショックを癒してくれるのはこの町しかない!!」と思っていたのは
     私だけではなかったはず・・・。

     宿泊予定の「コーレ・デル・ソーレ」はアルベロベッロの一番賑やかな中心地まで徒歩5分という立地、こじんまり
     していたけれどライトアップされた雰囲気がとても良い感じのホテルでした。隣にあったレストランですぐに遅め
     の夕食。忘れられないのはスープです。真緑色の塩辛いドロドロスープ、皆で考えた末「モロヘイヤの塩スー
     プ!?」だろうということに。アフリカが近いこととは関係ないのかな?ほんとイタリアは広い!南伊でも地方に
     より食が色々で楽しい。北イタリアじゃ食べられないよね・・スローフード!なんて言いながら。


















     小さめだけど赤が基調の可愛いお部屋に荷物を置けば、
     すぐに出発!午後10時頃でしたが8月のバカンスシー
     ズン(日本もお盆休みだし)ということで夜遅くまで開
     いているお店が多いよと聞き、夜のお散歩です。他の街
     じゃ危険もあるのでなかなかできないこと。翌朝も観光
     時間はあったのですが、お土産の下見も兼ねて。
     なにしろ南イタリアは北に比べるとやはり田舎なのか、
     (それが素敵なのだけど)お土産にする物や買う所がほ
     とんどない!皆さんそれでお困りでした。それで今のう
     ちにお土産物やさんの集まる此処で買っておくことに。
     ライトアップされた夜のトゥルリは最高でした。自分の
     テンションが今までに無いくらい高まるのを感じました。
     今までに見たことのない、想像したことのない物を見つ
     けて、心をさわさわとくすぐられてしまったような。
     「うわぁー」を何度連呼したことか!円錐形の黒い屋根
     に真っ白な石灰塗りの壁、くり貫かれたような小さな玄
     関に小さな窓、そこから洩れる温かな光。自分がまるで
     時間も空間も超えてこの小さな町に吸い込まれてしまっ
     たかのような錯覚、こんな素敵な世界が本当にあるのか
     と思いました。この町をカメラに収め、ポストカード等
     を売る人のお店,トゥルリをモチーフにした刺繍の布製
     品を売るお店,必要最低限の観光イタリア語しかわから
     ない私達に、お店の人は大抵「Can you spe
     ak English?」と話かけてきてくれます。一
     般にお店に入れば買っても買わなくても、気軽に挨拶、
     その場の会話を楽しむのがイタリア流だそう。

     「Ciao」(チャオ!)だけでも充分。そんな中で私
     が動けなくなってしまったお店が、陶器のお店。トゥル
     リの店の中には、厚みのある乳白色の地に手書きで果物
     やお花をペイントした食器や雑貨がわんさか。で、また
     それがビックリするほど安くて、店ごと全部ロープ引っ
     掛けて持って帰りたいくらい。陶器は割れるもの、ましてまだこれから4日間もあるのにずっとスーツケースに入
     れて日本に無事持ち帰ることなんてできるの?とかなり悩んだ挙句、買っちゃいました。数は絞ったけれど、後悔
     することだけは考えられなかったのです。(買い付けに来て日本でお店しようかなとその時は思いました。)日本
     でもお洒落な食器が、もっと手頃な値段であればいいのに・・と思った瞬間でした。夜のアルベロベッロは今だけ
     だからと、写真もたくさん撮っていたら日付が変わってしまっていました。ホテルに戻ると、私達の熱心さにフロ
     ントのお兄さんが「早朝のアルベロベッロもとても素敵だよ。写真を撮りたいなら最高だよ。おすすめは今行った
     お土産物屋さんや観光地のトゥルリではなく、普通に人々が住んでいるトゥルリがあるからそこへ行ったらどうか
     な」みたいな?ことを教えてくれました。余談ですが、主人は「日本語で「Thank You」は おおきに!
     だ」と教えていました。お兄さんとっても喜んでくれて今度来た日本人のお客さんに使ってみるつもりなのか、
     「おおきに!」を繰り返した後必死でメモってました。大阪弁なのに、大丈夫?









                                    歩いていると夢の中か

                                    現実かわからなくなりそう






     翌朝目が覚めると既に主人はいない・・新婚旅行でもそんな日あったよ・・と思いながら私も後を追いました。大
     好きな写真を撮るために先に起きて出発していたのでした。おかげで私も早朝の静かで美しいアルベロベッロに出
     会えたんですよ。その様子は写真で・・



         猫と一緒にのんびりした時間が流れる
         
         アイアピッコラ地区


















     この普通に今も人々が生活しているのがAia Piccola(アイアピッコラ)地区です。(ちなみにお土産
     物やさんやレストランになったトゥルリの集まった地区はRioneMonti(リオ−ネモンティ)といいま
     す。)早朝でもあり、会う人といったら偶然トゥルリから出てきたお家の人。皆気軽にBuon giorno
     (ブォンジョルノ)!

      リオーネモンティとは違い、それぞれの家毎にドアの素材や色が違ったり、お花をハンギングしていたりと個性
     が出ていて面白い。お洒落な車も止まっていて、ここの住人はどんな人かな?なんて思わず想像。そして何故か猫
     がいっぱい!私的にはとてもうれしかったです。猫の多い町は絵になる町が多いと思っている私にはうれしい歓
     迎。広島の尾道にも猫多し。そして昔から憧れのギリシャの島々・・も猫が多く写真集が出ているほど。猫と白い
     家と青い空・・最高!ほとんどのお家のドアの外にはカラフルな日本の玉すだれそっくりのものが掛けてあり、な
     んでも日中はドアを開け、カラフルスダレだけで過ごすんだそう。トコトコ歩いて素敵なお家だなぁとカメラを向
     けた瞬間、中からおばさんが・・「一緒に写真どうですか?」って仕草をしたら最初は「イヤ、イヤ、いいわよ
     ー」って感じだったのに、「あら、そう?」と急にはねた髪を両手で撫で付け三人で一緒にパチリ。

     ホテルに戻り、楽しみな朝食。ヨーロッパの朝食はあ
     まり期待していなかったのですが、アメリカンな感じ
     とは違って面白かったです。パンは(生地自体が)甘
     いクロワッサンが必ず出て、朝からカントリーっぽい
     ケーキやクッキーがたっぷり!な所が多かったですよ。
     ここのホテルでは、おじさんがコーヒーをカップに入
     れた後アツアツのミルクを高い位置からポットで注い
     でカプチーノを作ってくれました。これが本当に美味
     しくって、今でもその味は我が家のカプチーノのお手
     本です。

     朝食後は再びアルベロベッロ自由散策タイムでした。
     まずは皆一緒にガイドさんの案内で日本の人がお土産
     物やさんをしているトゥルリへ・・ここでは私達をお
     店のトゥルリの屋上へと案内してくれました。そこか
     ら見た景色は、辺りのトゥルリのとんがり屋根だらけ。
     よく見るととんがり屋根の先が三角・球・星の形、ほ
     かにも十字架の形をしていて、円錐状の屋根にはハー
     トや太陽のようなシンボルが白く描かれていたり・・
     屋根の先の形は「ピナコロ」と呼ばれ、トゥルリを作
     る職人トゥルッラーロの目印だそう。石灰で描かれた
     シンボルは魔術的なもので、一般的には家族を悪魔の
     目から守る、古代の神への信仰、豊かな収穫を得ると
     いったような意味を持つそうです。祈りは世界共通で
     すね。

     トゥルリは石造りの家で、平たい石をアーチ状に積み上げていきドームのように造りあげます。その内外ともに漆
     喰を塗り(断熱効果と耐久性が増すとか)、仕上げにはさらにその上に石灰を塗り重ねます。トゥルリをどんどん
     繋げて間に通路を作れば、幾つかの部屋のある大きなトゥルリの出来上がり!簡素なようで合理的に考えられた家
     なんですね。

     ここでは教会ももちろん大きなトゥルリでした。ガイドさんからトゥルリ型パスタがあると聞き、探したのですが
     見つからず残念。お土産に欲しかったなぁ。



















     <旦那の独り言>

     なんか私の文章より旅の様子がよくわかるよね。以後のシチリア島編も家内に任せようかなぁ・・・。
     っていうか私がずぼらしてるのがいけないんですがねー。


トップへ
戻る