今でこそ、うだつの上らない不況日本のオッサンに近づきつつある作者ですが、そんな作者も二十歳ぐらいの時は勢いだけでなんだって行動できる、もしくは行動しちゃうという良く言えばアクティブ、悪く言えば脳ミソ直結勢いバカな青年だった。
この戯言シリーズを読んでれば分かると思うが、過去にあまり利口な行動をとってない。当時の友人達はそんな作者を見て、
「普通じゃない!」
とか、
「変!」
なんて褒め言葉をよく吐いてくれてました。
そんな周りの人間が変だの普通じゃないだの言うくせに、作者が何か変わった事をしようとすると、
「ええぞええぞ!やったれやったれ!」
って、止めもせずに焚きつけるもんだから、作者の利口じゃない行動はエスカレートしていってたと思われる。
で、そんな二十歳がダラダラと年を取り、今じゃ酔った勢いでこんな汚れ文章の変な戯言を書いている。
そんな二十歳ぐらいの時、毎年夏になると当時よくつるんでた連中、男女あわせて10人ぐらいで地元の天満宮の夏祭りによく行った。
で、初めは普通に焼きソバを喰ったり、ビールを飲んだりしてワイワイガヤガヤして花火をして祭り満喫♪てな感じだったのだが、年々普通じゃない企画になっていった。なんせ火遊び大好きで普通じゃない上に変らしい作者に花火をさせるんだから、普通じゃない変な花火になった。
バイク雑誌の今月のおバカさんコーナーに投稿するために背中やかかとや単車の後ろに火を噴くタイプの花火をつけて走り、気分はゴレンジャーだったり、導火線に蚊取り線香を付けて着火し、アチコチに仕込んで、いつ飛んで来るか分からないロケット花火にドキドキしながらベトナム気分で遊んでた。
で、ある年の夏、作者と友人G君はその年の花火で何をしようか相談した結果、自作の花火を持って行こうとゆうことになった。これが作者のモノ作り魂に火を着けた!と言っても火薬の取扱はよく分からないから、ロケット花火40本を一斉に打ち上げよう!しかも腕から!ガンダムっぽく!というすでに普通の成人じゃない発想になり、三日程で試作タイプが完成した。その名も「ロボコップ君1号」。
チップスターやプリングルスといった菓子の筒状のパッケージにアルミを貼って耐熱処理をして、底の部分に導火線を張り巡らせてその導火線沿いに千枚通しで穴を開けて一本一本のロケット花火をその穴に刺し、その導火線と結線していったのである。そして腕にくくりつけるベルトを付けて、引き金の代わりにターボライターが付いていた。
なんとも原始的なロボコップ君である。
まず一口にロケット花火と言っても色々と種類があって、おおまかに分けるとシュッ!と飛んで上空でパーンッ!と鳴るタイプと、飛びながらピューッと笛が鳴るタイプがある。
「ロボコップ君1号」は笛の付いてないタイプっで造ったのだが、このタイプはコンビニなんかによく置いてて安いんだが、本体が軽いので火薬の量が少なく地味で導火線が紙タイプなので抜けやすくて着火性能が悪い。
で、「ロボコップ君1号」は導火線の火が途中で消えてしまい、40本中20発しか打ち上げ性能がなく、失敗作となってしまった。だから、少々高価なんだが導火線が糸巻きタイプになっていて、ちょっとやそっとじゃ火が消えない笛付きタイプを採用することになった。
ところが笛付きタイプは本体が重いので強烈な火を噴きながら打ち上がる!そして導火線自体もかなり勢い良く火を噴く!見た感じ的にも倍は火が出てそうな気がする。てことは、完成したあかつきには「ロボコップ君1号」で目の当たりにした4倍の火が出ることになる・・・
でも学生だった作者には予算が無く、試作品をもう一つ造る余裕は無かったので、笛付きロケット花火を40本搭載した「ロボコップ君2号」が完成し、ぶっつけ本番で打ち上げることになった。
夏祭りの当日、いつものように焼きソバ喰ったりした後に花火をすることになった。打ち上げテストをせずに火力だけをグレードアップした「ロボコップ君2号」がいよいよ登場である。
まあヤバイぐらいに火を吹くのは分かっていたのでその後、対処したのは「ロボコップ君2号」を装着した手を守る溶接用の手袋、頭を守る帽子、身体を守るブルゾン、目を守る防塵用のゴーグル等で、全てを着ると真夏の格好じゃない。
全部を着込んで構えてカウントダウンし始めた時点でギャラリーになってた他の連中は、変で普通じゃない作者がきっと何か変で普通じゃない物を造ってきたと確信したみたいでシーンと静かになった。
「・・・3・2・1・点火!!」
って、言った瞬間、ターボライターがシュゴーッ!っと火を噴き導火線に着火!で、どんどん短くなってく導火線が最初のロケット花火に到達した瞬間、作者の目の前には「エッ!?」という光景が!
予定では順番に着火するはずだったのが、導火線の火が強すぎる上に密集させたもんだから一度に着火し、顔面から1mも離れてない真上に掲げた腕からスゴイ勢いで火が噴いてるのである!
スゴイ勢いで火の粉が吹き付けられてるような状態で、目の前はすごく明るくて光の粒以外は何も見えないんである。で、その2秒後ぐらいに顔に当たってる火の粉や、首の辺りに入り込んだ火の粉が強烈に熱くなってきた!が、そうしてる間にもロケット花火はどんどん打ち出されてるので、作者が動くとギャラリーに被害者が出る可能性が・・・
てことで、目を閉じるぐらいしか出来なかったんだけど、目を閉じてもすごーく明るかったのはハッキリ覚えている。
そんな状況の中、耐え難きを耐え、忍び難きを忍んで少し火傷しながら、なんとか40発全てを打ち尽くした作者にギャラリーの方々が発した感想の言葉は、
「めっちゃ綺麗ーっ!!」
という野郎相手になかなか使わない感想だった。
「エッ、一度に40発も打ち上げてんけど・・・凄い!とかカッチョイイ!て感想は??」
と言うと、
「そんなん上に飛んでくもんより、下に噴き出す火の方が凄かったで。」
なんて言いやがる。
どうも打ち上げ中の作者の状態を聞くと全身が火の粉に包まれて、見たことも無い状態だったらしい。まるで光の塊の中に人が浮かび上がるような光景だったんだと。
せっかく40発を打ち上げるために試作品まで造ったのに・・・
その時一つ確信したことがある。こんな「ロボコップ君2号」を造った作者も変だが、人間が燃えかけてるのを見て「綺麗♪」なんて言ってる当時つるんでた連中も間違いなく変!!
いまだにその時の肩の火傷の痕が消えません(泣)
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