トウカエデ(唐楓)
| 樹形 | 樹皮 | 葉 |
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高さ10〜20メートルに達する落葉高木です。
幹は直立してまっすぐ伸び、枝を旺盛に広げて、全体として端正な卵型や長楕円形の美しい樹冠を形成します。
若木の頃は平滑ですが、老木になると縦に不規則で深い割れ目が入り、薄い大きな破片となってペラペラと剥がれ落ちます。
剥がれた跡が淡褐色や灰褐色の独特なまだら模様になります。
枝に対生します。葉の先が上品に3つに浅く裂ける(三裂する)のが最大の特徴です。カエデの仲間ですが切れ込みが浅く、基部は丸みを帯び、縁には鋸歯(ギザギザ)がほとんどありません。春は瑞々しい新緑、秋には鮮やかな黄色や赤色に美しく紅葉します。
花期は4〜5月です。新葉の展開と同時に、今年伸びた新しい枝の先に、淡黄色を帯びた小さな花が散房花序となって多数群がって咲きます。
秋(10月頃)に熟す翼果(よくか)です。
2枚の羽のような形をした翼があり、カエデ属のなかでもあまり開かず、ほとんど平行か鋭角(U字形)に閉じた状態でつきます。
翼果の基部には、それぞれ膨らんだ球形に近い種子が含まれています。熟すと風に乗ってヘリコプターのプロペラのようにくるくると回転しながら遠くへ飛んでいきます。
長卵形で先端が尖った鱗芽(りんが)です。
淡褐色から褐色の芽鱗が多数重なり、その縁には灰色の細かい毛が生えています。
枝先には頂芽(真ん中が大きく両脇に頂生側芽を伴う3個の姿)をつけ、側芽は枝に対生します。
葉痕はV字形、維管束痕は3個です。
樹木にまつわるエピソード
トウカエデ(唐楓)は、その名が示す通り中国(唐)が原産の樹木です。
日本への渡来は江戸時代の享保6年(1721年)、徳川幕府の第8代将軍・徳川吉宗が清(当時の中国)の商人から苗木を取り寄せ、
江戸の「小石川御薬園(現在の小石川植物園)」に植えさせたのが始まりと伝えられています。
徳川吉宗といえば「享保の改革」や「米将軍」として有名ですが、実学や本草学(植物学)の発展を奨励したことでも知られ、
海外からの有用植物の輸入に積極的でした。
このとき日本にやってきたトウカエデの原木は現在も小石川植物園に健在であり、歴史の生き証人として大切に守られています。
中国では「三角楓」とも呼ばれ、古くから庭園樹や盆栽として親しまれてきました。
日本に渡来して以降は、大気汚染や剪定、乾燥に極めて強く、美しい樹形を維持しやすいという強健な性質から、
明治時代以降の近代都市計画において街路樹や公園樹の代表格として広く普及しました。
また、文学の世界では、カエデの仲間は古くから秋の「紅葉狩り」の対象として愛されてきましたが、
トウカエデは日本の在来種であるイロハモミジなどとは異なり、
どこかエキゾチックで大ぶりな三裂の葉が黄色、オレンジ、赤へとグラデーションを伴ってダイナミックに変化するため、
近代以降の都会の秋を彩る風物詩として多くの短歌や俳句、現代文学の都市描写の中で「街路樹の楓」として親しまれ、
人々の目を楽しませています。