【司法Voice】

弁護士 橘 英樹さん

2012年01月14日

               南部地域に裁判所支部が必要

 近くに裁判所がなくて「困ったな」と思ったことはありますか? 多くの方は「そんなに困らないよ」と思われるでしょう。では、消防署や警察署ならどうでしょう。さすがに「困った」「不安だな」と思われるでしょうね。たとえ自分が火事や犯罪を起こさなくても、被害に遭うかもしれないという心配はあるでしょう。訴訟について、同じような心配は本当にないですか。

 民事訴訟や民事調停は、相手の住所地の裁判所で行うことが原則になっています。ですから、あなたが訴訟を起こされて裁判に臨むとなれば、あなたの住所地の裁判所へ出向くことになります。この裁判所が自宅から遠いとしたら、困りませんか。

 京都市より南の南部地域には、地裁や家裁の支部がありません。管轄の裁判所は京都市の京都地裁・家裁の本庁です。南部地域から各本庁までは遠く、出向くのに時間がかかる。生活圏から離れた場所で裁判を受けることは心理的な負担にもなります。

 南部地域で育ち、精華町に事務所を構えた私はいま、南部に裁判所支部の新設を求める運動に取り組んでいます。実現には南部の住民のみなさんのご理解や賛同の声が必要です。でも、冒頭に書いた通り、裁判の経験がない方には問題意識を持ってもらうこと自体が難しいと感じています。

 そこで京都弁護士会は昨秋、マンガ入りのパンフレットを作り、各種イベントや各自治体の役所などで配っています。内容は決して難しくありません。読んでもらって「へえー」と思っていただけたら十分です。ご希望の方は京都弁護士会(075・231・2378)へ。