[黒法師岳・丸盆岳] 平成16年9月25日(土)〜26日(日)  
9/25(土)曇りのち雨
 6:30戸中林道ゲート−7:00登山口−10:50稜線分岐−11:15黒法師岳11:45−12:00分岐(昼食)12:40−13:20カモシカ平(テント設営)13:35−14:00丸盆岳−14:25カモシカ平(テント泊)
9/26(日)曇り
 7:20カモシカ平−8:20稜線分岐−10:55登山口−(林道・昼食)−13:25林道ゲート

登 山 口

黒 法 師 岳


 金曜夜、京都を発って東名・浜松西I.Cで降り、152号線を北上する。
水窪ダムの標識に従って右折、ダムを渡り、戸中林道ゲート前の車道横のスペースに車を止め、車中泊。

 翌朝、ザックを担いでゲートまで行くと、ゲートの鎖を外していた軽トラのおっちゃんが登山口まで乗せてくれると言う。
 渡りに船と、ありがたく助手席に乗せてもらう。
6キロ、約1時間半の歩きが短縮され、おっちゃんに感謝。
 「どこから?」、「京都から」、「今西錦司を知っているか?」、「名前は知ってる」、「昔、不動岳まで道案内をしたんだ」、「へえー」と跳ねる軽トラの中で話は続く。

 ガイド本には、日蔭沢林道を入り小屋の辺りから取り付き・・となっていたが、日蔭沢林道入口の先に登山口標識があり、そこから等高尾根に登っている。
 日陰沢の登山口でテント泊用の水を補給するつもりだったが、深く考えずに登ってしまったため、登山用にザックに入れていた水だけで、テント泊をすることになってしまった。

 等高尾根に出て、ルートが変わったことに気付いたが後の祭り、まぁ何とかなるさ。
登り始めて下を見ると、ヒルがわんさか地面からヒョコヒョコおいでおいでをしている。
 30分後に靴下をめくると、ヒャー!右足首上に小さなヒルが血を吸っている!
やられた!、とその30分後、左足首にもヒルが!ウギャー!

 ヒルの次は、滑りやすい急坂で、あえぎあえぎ登ると、バランス良く坂が緩くなる場所が現れる。
 休憩しながら、あのキレットが鎌崩かなと丸盆岳から先のギザギザの稜線を望む。
背丈ほどの笹が、膝下になり、樹木がまばらになり出すと、やっと稜線の分岐に出る。

 ザックをデポし、黒法師岳を往復する。
三角点マニア垂涎のX印一等三角点はこれかーと写真に納める。
X印でも東西南北を十字方向にちゃんと合わせてある。
 それにしても、この三角点はなぜこんなに埋まっているのか?地表から5cmぐらいしか出ていない。

 分岐まで戻り昼食の後、丸盆岳への笹原に突入する。
あまり人が入っていないのだろう、道は笹で埋まり足下が見えないのに加え、滑りやすい急下降で、まったく気が抜けない。
 コルまで降りて登り返すと、気持ちの良い笹原の稜線が続く。

 40分ほど進むと稜線の東側に別天地といえる、広く快適な窪地状のテント場が現れる。
立ち枯れて、すくと空を指す白い木々と広い緑の笹原の中に、小さな赤いテントをポツンと一つ設営する。

 まだまだ時間もあるので、丸盆岳も登っておこうと笹原の中を歩む。
けもの道が縦横に走り、どれが登山道か分からない。
 稜線を外さなければ大丈夫と、道を選び歩けば丸盆岳に至る。
さぁーて、日本南限のハイマツはどれかな?、幹が曲がり背の低い松がハイマツ?、健やかな五葉松の中にハイマツを探す。

 丸盆岳からの下りから雨が降り出し、あと半時間待ってくれたらレインウェアも出さずに済んだのにと。
テントにもぐり込み、寝不足を少しでも解消と昼寝を決め込む。
 うとうとと夢うつつに雨の音を聞き、ヒルが大挙して開け放したテントの入口から入り込み素足にくっつく夢を見て、恐怖で飛び起きる。
 ヒル恐怖症ナイトメアだ。

 そぼ降る雨も降ったり止んだり、夜にはおぼろ満月がテントから見られた。
もの悲しく鳴く鹿の声を子守歌に、ビール・焼酎の酔いと疲れと寝不足で、いつしか深い眠りに引き込まれる。

 泥のように眠った翌朝はスッキリと目覚め、雨音も聞こえない。
テントから顔を出すと、朝焼けが薄い東雲の間に赤く、丸盆岳の右に富士山!が見える。
 テント泊の醍醐味は、人が便利さと引き替えに失ったもの、生きることの原点に帰れることではないだろうか。

 と、哲学者モードも、歩き出して10歩で飛んでしまうのが凡人か。
笹原を辿り、下る時に難儀した分岐までの登りを、笹を掴みながら必死に登る。
 分岐からの下りは、ザックの重さが、そのまま足の負担となる。
適度に休憩を入れながら下り、ヒルの危険地帯は一気に下る。

 林道まで出て靴を確かめると、両方の靴に1匹ずつヒルが入っていたので、不法侵入者を極刑に処す。
 林道を歩き、日陰沢で水を汲み、水不足で我慢していたカップラーメンを作り、コーヒーを涌かし、ゆっくりと昼食する。

 長い林道をゲートまで歩き、肩に食い込んだザックを降ろす。
土日であったが、他に登山者に会わず、動物の声しか聞かず、南アルプス深南部のしっとりした自然の懐に抱かれた2日間だった。

 ロックフィル式の水窪ダムの上を走り、山王峡温泉・しらかば荘(400円)で汗を流す。
外来入浴は15時までなので、下山後入浴を予定している人は要注意です。
(山)

X印一等三角点

カモシカ平

前のページに戻る