北の俣岳・山スキー(富山県)] 平成19年4月28日(土)〜4月29日(日) メンバー.2名
4/28(土)曇り雪 9:00飛越トンネル−11:40神岡新道−15:10避難小屋(雪洞泊)
4/29(日)晴れ 8:05避難小屋−10:45北の俣岳−11:30避難小屋(昼食)13:05−14:15寺地山−17:10飛越トンネル

陽光に輝く北の俣岳

雪洞の入り口

 雪の通せんぼから林道を半刻歩くと、飛越トンネルはまだ冬眠中と口をふさいでいる。
右の斜面から板を担ぎふうふう登ると、枝がいらぬお節介。
尾根からはシール歩行で稜線をたどる。

 左鋭角に曲がる箇所は地図上で赤丸要注意。
先行者のトレースについて進むと、前方から道を間違ったと二人組が行き違う。
おっやっぱり、GPSナビは確かに左後方だと主張している。

 低くなってきた空から白いフレークが舞い、うすねずみの点描が景色のキャンバスを埋め、瞬く間に樹々をクリスマスツリーに変える。
人がいた痕跡を消し、何事もなかった白の世界へリセットする。

 神岡新道合流のあたりから、湿った雪がシールと共同作業で雪団子をせっせと重く大きく育てる。

 ようやくに着いた避難小屋、赤い小さな三角屋根は満員で泊まれないよと誰かが言う。
それじゃ雪洞を作ろうかと、近くの斜面に2時間かけて、2x1.5x1mの空間を雪の中に確保する。
 入口にツエルトをかぶせ、棚を作り、マットを敷けば立派なマイホームの出来上がり。
ローソクの灯りが雪の壁に乱反射し、目が慣れれば十分に明るいのだ。

 翌あさはぴかぴかの快晴、無木立の広大な斜面を登っていく。
ハードクラスト面が交互に出てくるからスキーアイゼンの助けを借りる。
登るに連れてせり上がる白い山々に感嘆の声が出る。

 北の俣岳の右に赤木岳、黒部五郎、左に薬師岳が近い。
サイドアタックをかける風は稜線を越えていき、ひとところにいられない。
 雪に白く覆われたまっさらな雲ノ平や鷲羽山を初めて見る。
槍ヶ岳や立山、剱、遠く御岳や乗鞍、白山がきらめく。
 言葉をなくす感動は、ここまでの苦労と相殺してもなお余まる。

 シールを外し、北の俣のてっぺんから慎重に滑り出す。
クラストした箇所を避け、柔らかい雪を選んでターン。
 大きく小さく一枚バーンの斜面を好き勝手にシュプールを描く、楽しい時間は短い。

 昼食を済ませ、ザックに荷物を押し込み、雪洞を後にする。
重いザックでは、転ばぬように滑るのが精一杯、楽しむのは二の次、ボーゲン・横滑り・たまに普通ターン。
軽い荷物で追い抜いていく日帰りスキーヤーがうらやましい。

 飛越トンネルの上部まで滑り込み、板を担いでトンネル前に無事帰還、乾杯のビールが喉を鳴らす。

(山)

北の俣避難小屋

雪面に顔を出した笹の葉

前のページに戻る