◆【山行日時・天候】 2005年2月11日〜2日
□2月11日 晴れ
□2月12日 快晴
◆【詳細】
三嶺に通い始めてはや4年。
今回は、これまでに見たことのない雪映えの三嶺を見るべく、徳島側の登山口である東祖谷山村・名頃へと車を走らせた。
景観はこれまでになく素晴らしかったものの、装備不足が災いし「あわや・・・」の局面を経ての下山となったことは痛恨の極みであると同時に、これから先の教訓というには余りある山行となってしまった。
※ この時期の三嶺を含めた剣山系は積雪量も多く紛れもなく雪山の様相です 充分な経験、装備をもって臨む必要があります
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R439を外れ三嶺林道を進むと、見ノ越から下るうちいつしか消えていた雪がすぐに現れ、いのしし牧場のすぐ上部で通行不能となったので路側帯に駐車する。
準備が出来たら三嶺頂稜部を遥かに見上げながら雪の林道を行く。
ここでは背後の塔ノ丸もまだまだ高い。 |
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約30分の林道歩きで登山口着。
ダケモミの丘へは眺望も想うように得られず何度かの急登もあるので少々きつい。 |
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ダケモミの丘からは気持ちのよい樹林帯を進むようになり、梢越しに頂稜部を目にすることが出来るようになる。
ここまで来れば、背後の塔ノ丸もずいぶん低くなる。

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やがて樹林帯を抜けると左前方に白髪別れ付近の稜線が見事なスカイラインを描き、振り返れば祖谷谷越しに兄弟仲良く太郎、次郎の剣山、次郎笈とそこから丸石、高ノ瀬へと続く景観が広がる。
次第に大きく広がる景観とは対照的に足元の積雪量は増し、クラスト気味となるので歩き辛くなる。
水場分岐標識からはルートはなくなるので先行者のトレースを頼りに登る。
大岩下で緊張は一旦緩むものの、頂稜への最後の登りでそれは最高潮に達する。 |
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結氷した頂稜池の淵に出れば一気に緊張はほぐれ、それに呼応するように眼前には見事な光景が広がった。
目と鼻の先の小屋に潜り込み夕食の準備が出来たら頂稜散歩。
表現する言葉のないほどの景色を堪能しながら山頂へ向かう。
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山頂に至るまでに見た光景は、すでに見事なサンセット・ショーを予感させるには充分なものだった。
背後にはアーベント・ロートの剣山。
もちろん、山頂からのショーが素晴らしかったことは言うまでもない。 |
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翌朝のサンライズ・ショーは昨日のショーよりもさらに素晴らしかった。 |

日が昇って間もない刻の見ものは山頂西面に繰り広げられるモルゲン・ロート。
西熊山〜天狗塚稜線の南面を赤く染めた。

山頂、頂稜でゆっくりしたら小屋に戻り、遅い目の朝食。
昨夜、同宿だった『阿波かすがい山歩会』パーティーの3人に少し待ってもらい、一緒に小屋をあとにする。
小屋付近でもうしばらく景色を楽しんだら、いよいよここからが今回の本当のメイン・イベント。頂稜からの下山。
斜度40°以上もありそうな雪壁の直下降及びトラバースだ。
―中略―
無積雪期なら10分程度で下れるところを、雪面とにらみ合うこと約1時間。
最後は小さなデブリをトラバースし、ようやく水場分岐まで下降できたのだった。
ここで一息もふた息も付けたのは先導しステップを切って下さった『山歩会』の3人の方々のお陰以外の何物でもなかった。
このときの彼らの顔は仏の顔に見えた。ザックを下ろすや否や、手を合わせ彼らに何度も頭を下げ礼を述べたが、全く意に介さず自分達の取った行動に涼しげな表情でおられた。
こちらは、「会の皆さんに教訓を訓示する際、『三嶺でこんな馬鹿なヤツに遭った』と、引き合いに出してください。」と伝え、自分を戒めるくらいしか術がなかった。

極度の緊張感からは開放されたものの、まだまだ油断は大敵。
それでも樹林帯に入ると塔ノ丸を梢越しに見ながらのんびり歩けるようになり、ビュー・ポイントまで下ったらミニ・ブレイク。

つい先ほどまで苦闘していた付近の雪壁が遥か上方に見えた。
見上げるたび、
「今、ここに居れるのは傍におられる彼らのお陰なのだ」。
ここまで来て、あらためてしみじみと感じざるを得なかった。
ダケモミの丘からは標識に従い進む。
何度かある急斜面は慎重にジグザグに下る。
左手に見える平尾谷の流れが大きくなると登山口は近い。
最後の急坂を短く下りきると林道に出た。
あとは、駐車地点まで今歩いていることを噛み締めながら、すっかり高くなった塔ノ丸見上げつつゆっくりと林道を歩いた。

ザックを下ろし頂稜方面を見上げると白く輝く雪田がそこにはあった。
ここから見るとずいぶん小さくしか見えない雪田だったが、むしろ小さく見えたことで余計、下山の喜びを実感することができた。
名頃のお堂前で『山歩会』の方に最後の礼の挨拶を交わし家路に着いた。
帰宅したことで最大級の教訓を教えられた今回の山行も無事終えることができた。
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