◆【山行日時】 2005年10月26日 曇り
時々晴れ
◆【参考コース・タイム(実際の歩行時間とは異なる部分があります)】
環状道路、健康の森・登山口=100分=キリン峠上部・鉄塔下稜線=60分=鳥越峠
=30分=駒鳥小屋=10分=振子沢出合=10分=駒鳥小屋=35分=鳥越峠=40分=登山口
◆【詳細】
つい先日、初冠雪の便りのあった奥大山に黄葉を求め出向いた。
早朝、自宅を出発。登山口の鍵掛峠下、健康の森・登山口に着いたのは日の出直前の6時だった。
すぐ先の鍵掛峠が南壁の絶好のヴュー・ポイントなので、そこで朝食を摂るが、あいにく稜線にはガスが垂れ込め見晴らしは思うに任せない。早々に食事を済ませたら登山口の健康の森入り口へ。
若ブナを見てしばらく歩くと三ノ沢・文殊堂からのコースと出合う。
鳥越峠へは右折するのが本来のルートだが、そこからキリン峠方面へ向かおうと考えていたので、そちらへは向かわず直進する。
樹林帯を抜け、ガレ場を歩くようになると、やがて槍ヶ峰、槍尾根が目に飛び込む。(左画像)
何とか稜線にガスはかかっていないようで、草付きのクサモミジの色鮮やかさは素晴らしく、山肌のグレー色と対照的で見事な景観をみせてくれた。
ガレ場は傾斜を増し、大きな雪崩跡の谷を左に見ながら急登。
すでに標高は鳥越峠よりも高くなり背後には朝もやに煙る中国山地が遠くに見える。
スリップには充分注意し登高。草付きを歩くようになるとさらに傾斜は増すものの、踏み跡はあるのでルートを外すことはない。最後はトラバース気味に回り込むとキリン峠上部の稜線に出て、そこからのルートと合流。緊張感から解放されようやく一息付いた。
右手には、いつの間にかずいぶん低くなっていた鳥越峠付近を流れる雲が素晴らしく、その奥には尖がりぼうしの烏ヶ山。

一方、見上げれば異様な山容を見せる槍尾根が圧倒的な姿で迫る。
北に深く切れ込むキリン沢は南の斜面とは全く違った様相を見せ、草ひとつない谷相は何とも不思議な景観だ。
しばらくここからの風景を楽しんだあと、ふと尾根を見上げると、手の届きそうなところに白い鉄柱が見える。
「あそこまで上れば、尾根の向こうに出るので南壁が見えるはず。」
こう考え、上に向かい歩き始める。
ところが、すぐに草付きは終わり、大山特有のもろい地形の登山路を歩かなければならなくなってしまった。

足がすくみだしたので、あえなく撤退。
今日は平日。それでなくても、あまり人が歩きそうにないこんなところで滑落しようものなら大変だ。
それにしても歳のせいだろうか、最近は平衡感覚が鈍り以前に比べると、どうも高いところが苦手になったような気がして仕方ない。
烏ヶ山を正面に見ながらグングン下る。キリン峠まで下り見上げると、槍ヶ峰の鋭鋒が天を突くように聳える。(右画像)
残雪期に見た光景となら180度違うことはもちろん、ここが潅木に覆われていたことも驚きだった。

白い鉄柱を見ると潅木帯を縫うように急降下。積雪期に鳥越峠稜線を越す際、立ち寄るコルを過ぎ、もうしばらく下ると鳥越峠。
ここで今日始めての人に出会う。
見るからにキノコ採りの三人。駒鳥、地獄谷方面で収穫を期し入山とのこと。
峠からは直下の急斜面を慎重に下ったら古ブナの点在する自然林帯をはじめトラバース気味に下る。
沢音が次第に大きくなりだすと谷筋を急下降するようになり、間もなく駒鳥小屋の脇にひょっこり出る。
中を覗いてみると、いかにも昨日、かなりの人数の宿泊者があり、荷物はそのままの状態。
沢に下りてみても、大掛かりな炊事道具や食器が流水にさらしてあった。
振子沢出合いまで行こうと沢筋を歩くと地獄谷をさらに奥へと向かう人や、出合いで写真を撮っていると振子沢の上流方面から下山してくる人。
話すと、この人たちが小屋の主だったようで、6人でキノコ採りを目的に小屋泊まりだったらしい。

こちらはキノコのことはよく分からないし、下手をしておかしな物でも口にしようものなら命の保障もないので、本来の目的に徹ししばらく写真を撮る。
しかし、朝方は少しは日の差す時間帯もあったものの天候はそれから良くなることはなく、ここではほとんど陽に照らされた黄葉を見ることが出来なかった。
辛うじて槍ヶ峰、天狗ヶ峰方面や象ヶ鼻、三鈷峰稜線が見える時間帯もあったが、見通しが悪いこともあり、思ったような景観を得ることは出来ずじまい。
小屋で収穫のキノコ(上、右画像)を見せてもらったり、それらの話を聴かせてもらいながら昼食とし、しばらくのんびりしたら帰路に着く。
鳥越峠へは往路を戻り、そこからは本来のルートで下る。
文殊越えでルートを左へとり、若ブナを見ながらしばらく下るとやがて環状道路が見えてきた。
”黄葉を満喫”とは行かなかったまでも、秋の奥大山を楽しめた一日だった。
環状道路に出ると地元のおじさんらしき人がキノコの即売会の店を広げていた。
そこにはブナハリタケ等、つい先ほど小屋で見せてもらったばかりのものと同じキノコがパックに詰められ並んでいた。
値段を尋ねると、1パック500円也。
かなりの数のパックが並べてあったので、期間は限定ながら
「これだけあれば、いい日当になりそう。」
駒鳥で見せてもらった彼らのキノコなら、さて如何ほどになるだろう・・・?
こんなことも思いながら14時過ぎ、早めに家路に着いた。
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