那岐連山・滝山  

東屋付近から見る那岐山
◆【山行日時】 2002年12月15日  快晴
◆【コース・タイム】
禊橋・駐車場=25分=滝神社=10分=奥の院滝分岐=10分=五合目=25分=八合目=15分=稜線=5分=滝山山頂

=12分=滝山の東、独自のビュー・ポイント=20分=東屋

=23分=独自のビュー・ポイント=15分=滝山山頂=10分=滝山〜爪ヶ城、下山路分岐付近

=12分=滝山山頂=3分=下山路分岐=20分=5合目=10分=滝神社=15分=禊橋・駐車場
◆【正味歩行時間】 3時間50分
パタゴニア

◆【詳細】
今年も週末に限れば、残すところあと三週。

歳末のあわただしい時期、これ以上押し迫ってしまうと身動きが取れそうにない。では、今年最後の山行としてどこがいいだろう・・・、
しばらく考えてみる気になったが
「やっぱ、那岐山かな・・・」
今年、最もよく出かけているからではないのだが、ここに落ち着くのにそう時間はかからなかった。

すでに積雪もあるだろうから一味違った光景を見せてくれるに違いない・・、との思いと、冬日和との予報に胸を弾ませ、那岐山の絶好の展望台、滝山に向かうべく、その登山口である日本原高原に向け車を走らせた。

兵庫県から岡山県へと車を走らせている頃には辺りを覆い始めた霧に、どうなることかと不安を覚えたが、幸い奈義町近くまで来ると厄介物のそれも何とか晴れ、次第に姿を現せた連山にホッと胸を撫で下ろす。

登山口近くの那岐池まで来ると、わずかに残っていた稜線部のガスも次第に取れ、すっきり晴れるのも時間の問題のように思われた。天気予報どおり今年最後の山行を飾るにふさわしい好天となりそうだ。
那岐池より滝山〜那岐山を仰ぐ
那岐池より滝山〜那岐山を仰ぐ
登山口である禊橋へは、那岐池手前の立派な標識や、その先々に何ヶ所かある小さな石柱、標識を目印に進めば迷うことはない。

しばらく演習場の中を標識に従い、右に行ったり左に行ったり。山側に向かって左折すると一本道を進むようになる。
やがて橋が見えて来ると演習時の集合場所にもなっている立派な駐車場に着く。
登山口の道標
登山口の道標
『滝山渓谷、滝神社』標識に導かれ山中へと向かう。一の渡で沢を渡るとお稲荷さんがある。かつては石段が崩れ下の登山路を通過する際、注意を要したが無事補修され、参拝はもちろん通行も安易になった。
急な階段 小さなお社
急な階段を上り切ると小さなお社がある
上る際には振り返ることさえ出来そうにないほどの恐怖感を伴うこの階段、それもそのはず、振り返ってみればすごい傾斜だったことに気付く。角度はどれくらいもあるのだろう。おまけに幅はわずか1.5メートルほどで、手すりも何もないものだから恐怖感にさらに拍車がかかり、さながらスキーのジャンプ台に立ったようだ。(ジャンプをしたことがある訳ではないけれど・・・)

そんな階段を登り詰めると小さなお社がある。

「この階段を上り切れたら、この先、不安なことはもうないのでは・・・。」

こんなことを思いつつ、とりあえず今日の無事を祈り拍手を打つ。
「パチ、パチ」。

お社の裏手の道を進むと登山路と合流する。

二の渡で再度沢を渡り、石の階段が現れ出すとやがて正面上方に滝を見るようになり、間もなく滝神社に着く。
滝神社 滝神社 滝神社
これからの本格的な登りに備え、一息入れよう。

ここでも、もう一度
「パチ、パチ」。

神社を後に、道標に従い沢沿いにしばらくジグザグに登ると沢を渡る。この付近まで来ると高度をかなり稼いでいるようで、登山路脇の積雪量も少しづつ増す。奥の院滝への分岐を見ればいよいよ急登となり、ここから稜線に出るまで、しばらく辛抱が必要だ。
奥の院滝分岐
奥の院滝分岐
『五合目』標識を見ると傾斜はもちろん、徐々に増える積雪とも相まって、これまで以上に苦しい登高が続く。

ここ、五合目から八合目にかけては距離は短いが急傾斜の直登ルートと、距離は長くなるものの少しばかり傾斜の緩い巻き道とがあるが、今日の状況では前者を登るのは不可能に近く、スリップの餌食になるだけだ。

後者を選択すれば少しは歩きやすいが、それでもかなり苦労する。

この付近、見事なブナ林帯が広がるが、それらを見る余裕もないほどの急登が続く。
五合目 ジグザグの巻き道 八合目
五合目 ジグザグの巻き道 八合目
『滝山山頂まで0.5キロ』標識が現れると、すぐ八合目。ここまで来れば稜線まで、もうひと頑張りだ。

ブナ林に変わりヒノキの植林帯を進むようになると、やがて傾斜も緩くなりようやく稜線に出る。
右手(東)に目をやれば、雪をまぶした那岐山が稜線の向こうにりりしい容姿で迎えてくれる。立ち枯れの樹間から見え隠れしていた那岐山方面だが、ここで初めて遮るもののないところから望めるようになり、一気に胸のつかえが取り払われた気分になる。

左(西)へ少し進めば、滝山山頂だ。

新設の展望台の上に上がれば、さらに展望が広がり300°(?)の大パノラマ。
(一部植林を伐採したにもかかわらず、なぜか大山方面だけは以前のままで、植林に遮られ展望が利かない)
滝山山頂展望台から東望

滝山山頂展望台から東望

正面に那岐山とその右、日名倉山、左には三室山や沖ノ山、東山の間には一際白い三ノ丸、氷ノ山。さらに青ヶ丸、扇ノ山と続く
扇ノ山〜氷ノ山方面

左奥に扇ノ山〜青ヶ丸と右、東山〜沖ノ山間に三ノ丸〜氷ノ山
東に大きな山容の那岐山は言うまでもなく素晴らしく、左右に中国山地東部の山々を従えた格好だ。

左手(北側)の山々はそれぞれが山頂に雪をまとい、なかでも三ノ丸〜氷ノ山の白さが一際目を引く。扇ノ山の大きな山容も印象的だ。日本海もよく見える。

これらにも増して印象的なのは反対側、南側に広がる光景。

真下の日本原高原から吉備丘陵へと目をやると、真下の奈義町方面がわずかに見える程度で中景よりも遠景、また、西方よりも東方の方が展望が利くよう。下界では登山口までの道中、一時立ち込めていた霧が未だ晴れていないようだ。

あいにく小豆島も見えないが、さらに遠く、感覚的には上方、遥か彼方に目をやると・・・、そこで目にしたものは、なな、何と、横たわる黒い影。

位置を考えると、阿讃山脈か、もしくは奥祖谷の剣山、次郎笈や寒峰、三嶺、天狗塚のようだ。直線距離にして約150キロ。極上の眺望が広がる。
大山遠望
大山遠望
見えないのは、なぜか植林を伐採していない西側。

稜線上を東、那岐山方面へ進めばそれも叶うので、しばらく展望を楽しんだら東屋へ向け出発する。

少し歩いたらこのコースに来た時の定番、お気に入りの場所で那岐山と対峙し、しばしゆっくりする。

少し雪の積もったササ原に足を踏み入れれば西の展望が開け、案外りりしい滝山や右遠くに泉山。
彼方には雪のヒダをあらわにする烏ヶ山、大山、矢筈ヶ山がさながら厳冬期の様相で他を圧倒する。
東屋までは展望を楽しみながらのんびり歩こう。右手(南)彼方には相変わらず四国の山々が雲海上に頭を覗かせ、西に大山方面もよく見える。天気予報以上の好天気に恵まれ、極楽の稜線歩き。

東屋まで来ると那岐山がずいぶん大きくなる。相前後しながらここまでやって来た倉敷からの3人組と共に、ここで昼食。
大勢の人で賑わっている感の山頂付近とは対照的で、ここは訪れる人はまばらなのでゆっくりできる。
(倉敷からの三人以外でここを訪れたのは延べ四人のみ)
東屋付近から見る那岐山
東屋付近から見る那岐山
氷ノ山〜三ノ丸 三室山
氷ノ山〜三ノ丸 三室山
しばらくのんびりしたら滝山に向け東屋を後にする。

来た時同様のんびり歩き、お気に入りの場所で再び腰を下ろす。
ビュー・ポイントより
ビュー・ポイントより
滝山山頂、展望台でも再度展望を楽しんだら下山にかかる。

「さて、どこから下ろうか・・」

登る際、利用したルートは、あまりの急坂なので出来れば敬遠したい。
かつて滝神社から爪ヶ城方面への稜線から滝山へ登ったことがあるので、逆ルートで禊橋へ直接下山するルートを取ることにしよう。

滝山を後に爪ヶ城方面へ向かう。小さなピークを一つ越えると見覚えのある『火の用心』の標識の立つ小さなコルに出る。

「そう、そう。ここだ。」
遠くになった那岐山を望む
遠くになった那岐山を望む
「確か、すぐ先の小さなピークから左手に伸びる尾根を上がってきたはずだ。」

ところが・・・、ピークにでて見るとあるはずの尾根に向かうルートが見当たらない。先へと進めば爪ヶ城方面へ下ってしまうし、
「なぜルートがないんだ。」

しばらく右往左往するが下山口を見つけることが出来ず、このルートでの下山を諦め滝山方面へ後戻り。
中途半端な積雪にササが中途半端に倒れ、ルートの入り口を塞いでしまっていたようだ。

滝山山頂で今日三度目の展望を楽しんだら、いよいよ下る。
滝山展望台から北望
滝山展望台から北望
稜線を外れると、案の定急坂が待ち受ける。特に五合目まではとてつもない急坂が続き、ひたすら足元に注意しながら下らなければならない。

それも奥の院滝分岐まで下ると一息つく。沢沿いとなった道をもうしばらく足元に注意しながら下ると滝神社。

ここまで来れば、これからはのんびり下れるようになる。

お稲荷さんで今日の無事の礼を拝み、一の渡で沢を渡れば、やがて駐車場の禊橋に出る。

◆【ワン・ポイント・アドバイス】
滝山山頂に展望台が出来た。

これまでほとんど眺望の利かなかった滝山山頂だったが、これができたことにより視点がずいぶん高くなり、素晴らしい展望を得ることが出来るようななった。

稜線から滝神社への下り、直登のルートは論外で巻き道を取ってもかなりの急坂なので、スリップには十分な注意が必要。

◆【那岐連山の画像一覧はこちら

◆【那岐山の他のコース・データはこちら



G A L L E R Y | 山のアルバム | 岡山の山TOPへ