那岐山(Cコース〜Aコース)  
道標

旧・三角点付近から見る那岐山山頂方面
◆【山行日時】 2002年11月3日  くもり、稜線はガス一時雪
◆【コース・タイム】
蛇淵の滝・駐車場=10分=B・Cコース登山口=12分=林道=8分=水場=23分=大神岩=30分=旧・三角点=5分=避難小屋

=23分=滝山方面、東屋=30分=那岐山山頂=10分=A・Bコース分岐点=20分=六合目=40分=菩提寺
◆【正味歩行時間】 3時間31分
パタゴニア

◆【詳細】
文化の日である11月3日といえば秋では、これまでの体育の日の10月10日と並び晴れの特異日として毎年のように紹介され、事実、自身の記憶の中でも悪天は覚えがない。

しかし、体育の日が10月10日から10月第二月曜に変わって2、3年。これが原因のはずはないのだが、確か、今年の10月10日は天気が悪かった。これに追随したわけではないだろうが、前日の天気予報によると、一週間ほど前から早々に居座る時期外れの寒気の影響で北部、日本海側や山間部は時雨模様がつづくらしい。

明けて3日、目を覚ましてみると、瀬戸内の我が家付近はまずまずの天気。

「出来れば氷ノ山に・・・」
と考えていたが、予報どおり冬型気圧配置であることを考えると、あえてそこに向かう意味がなさそうなので、
不安なく歩くことが出来、かつ、そこよりもわずかながら南に位置し降雪の心配も少ないであろう岡山・鳥取県境、那岐山に向かうことにした。
那岐連山
帰路、奈義町柿畝付近より那岐連山を仰ぐ
それでも、やはり山陽、山陰の国境をなす山域。美作町付近まで来ると那岐山稜線がすぐそこの山の彼方に見え隠れするようになるが、あいにくガスが湧いて微妙な天候のようだ。残念だが、天気予報が当ってしまったようだ。

奈義町に入る頃にはすっかりガスに覆われ、稜線は全く見えなくなってしまった。

この先の天候がとても心配になってきたが、「山の駅」を右手に見て、もうしばらく直進。小さな石碑の所で左上へ進むと、蛇淵の滝・駐車場があるが、『次にここに来る時はこのコース』と考えていたAコースを歩くべく、下山時に備え菩提寺・駐車場までもうしばらく細い道を直進。やがて、菩提寺駐車場に出るので、ここに駐車する。
菩提寺を後に蛇淵の滝・駐車場へ向け舗装路を歩き出す。ほんの2〜3分も歩いただろうか。後方よりエンジン音が聞こえてきた。
「もしや・・・」
そばを通り過ぎたかと思ったその瞬間、軽トラに乗ったおじさんが車内からこちらをちらりと見やる姿があった。

元来、そんなに時間がかからないと思っていたうえ、「いい準備運動にでもなれば」くらいで歩くつもりでいたが、折角の好意を無駄にするのは忍びなく、”ダメ元”の気分で通り過ぎざま手を挙げてみると、
「やった〜。」
すぐ先の路側帯で止まってくれた。

思わぬいいおじさんに出会え車中の人となれたが、この道程、思いのほか遠くに感じられ労せずして駐車場まで来れたことはタイミングが良かったとしか言いようがなかった。

ここから登山口へ向け歩き出すが、蛇淵の滝・駐車場まではしばらく舗装路を歩く。地道となった林道をほんの少し歩くとB・Cコース登山口だ。
あらかじめデポしておいたザックを担ぎ登山道を歩き始める。
登山口
登山口
すぐに、Bコースを右に分け左手、植林帯の中につけられたCコース登山路を登る。
しばらくすると林道を横切り、再度登山道を登るようになる。ここからが本来の登山道といってもいい。
水場 登山路
水場、水量少なくわずかに流れる程度 明るくなった登山路
谷側が植林、山側が自然林の登山路を登るようになると水場がある。すぐ先で鋭角に南に折れ、徐々に高度を稼ぐ。

水場付近と同じ様な風景の登山道を歩くようになると、やがてベンチが現れ、植林帯の急登となる。
これまでなら、ここから大神岩まで植林帯の急登だったが、登山口付近より行われていた植林の間伐がここでも行われ、この一環かどうかは不明だが、特に急登の続いた五合目標識手前からはルート変更されていた。

お陰で木の根っこの急登は免れ、それどころか紅葉を見ながら自然林帯を歩く事が出来、ずいぶん気持ちよく歩けるようになった。

上方が明るくなってくると以前の登山路と合流、いつの間にか大神岩に到達する。
5合目付近の巻き道 ササを縫うように歩く
五合目の植林帯、ロープが張られ
左手に登山路が新設された
新設の登山路では
紅葉を見ながらの気持ちのいい登高
大神岩 大神岩より見下ろす
大神岩とそこから見下ろす日本原高原
ここまでには時折日が射すこともあったので大神岩に上がってみたが、北の稜線はもちろん南に広がる日本原高原も思うようには見えず、大展望とはいかなかった。
上空を黒い雲が覆い、雪もちらつき始めた。
旧8合目 八合目
かつて八合目だったところ 新・八合目
これからは自然林のトンネルを行くが、紅葉は大神岩付近が最盛期だったようで、これより上部では落葉が盛んだ。

かつての八合目を過ぎ、標識の付け替えられただけの新・八合目を過ぎる。やがて潅木帯となり展望が開けるはずが・・・。ガスのせいで全くない。登山路脇にササが広がりだすと、ほどなく旧・三角点に着く。

展望もなく風も強いので、うっすら雪化粧した道を避難小屋へと急ぐ。
稜線
旧・三角点より山頂方面を見る
食事の後、今回の目的の一つであり、初夏に訪れた際、滝山方面へ少し向かった所に建設中であった展望所を見に行くことにする。

晴天時なら旧・三角点からや”那岐の家”にでも上がれば、概要程度はおのずと確認できそうなものなのだが、あいにく今日のような天候ではここからその様子をうかがい知ることは出来ず、足を運び至近距離まで近づかなければならない。

「それにしてもあんなに沢山の人が上がって来ていたのに、皆、どこに行ったんだろう。」
このルートに足を踏み入れると人っ子一人いない。

なるほど今日の天気では向かった所で仕方ないのも無理もないが、目的を達する為、雪混じりの強風の中歩くことしばし、ガスの晴れ間にようやく展望所が見えてきた。
稜線上の東屋
滝山方面から見た新設の東屋
見えてきた東屋の第一印象の本音を言うと、
「ちょっと、がっかり。」

折角の建物なのに今日のような悪天候の際には用を為さない。これなら近くの山にある東屋同然で、風を遮る手立てが全くなく天気のいい時にしか利用価値がないのではないか。厳しい気象条件も踏まえたうえ、悪天時にこそ為になるものであって欲しかった。
元来、歩く人の少ないこの縦走路、建設の意義は何だったのか。

「天気のいい日に来た際は、むしろ、のんびり腰を下ろしたほうが気持ちよさそう・・・」

悪天候の今日、山頂に向かう人はかなり居り、ほとんどの人が避難小屋を利用しているように見受けられたが、新設のこの施設、昼の日中にもかかわらず立ち寄ったのは自身以外誰もいなかった。

あーだ、こーだ言っているこの施設だが、自分自身はしっかり恩恵にあずかった。

到着後、しばらくは強風とガスでどうしようもなく
「そろそろ引き返すか」
と思いかけた頃、パーッとガスが晴れ西の滝山方面が見えてきた。その後、東にかかるガスも晴れ、那岐山も姿を現した。
「展望さえ利けば、なかなかいいところなんだけどな〜」
rainbow 那岐山
智頭町方面上空に現れた虹 那岐山
これ以前には、こんな天候ならではの虹も見ることが出来、寒い中、粘って長居した甲斐があった。

もちろん、この景観が長続きするはずもなく、しばらくして山頂目指し歩き出す。
日本原高原を見下ろす
縦走路より岡山県側を見る
(悪天候ながら見通しは良く、遠くの山々の稜線もくっきり見えた)
那岐山
滝山(左端)方面を振り返る
(右の丸い所が東屋のあるピーク)
毎度の事ながら、旧・三角点付近まで戻ると人影はなく(”那岐の家”に二人のみ)、旧・三角点、避難小屋、山頂、誰もいない。
「折角登って来たからには、もう少しゆっくりすればいいのに・・・」
那岐の家
”那岐の家”と滝山方面
小屋の改修のことは以前の記録にも書いたが、今回もう一点、外観で変わった所があった。(後記)

また山頂には、小さいながら石碑がもう一つ建てられていた。
折角スッキリしたと思っていたのに、以前のように石碑が二つになってしまい、県境にまたがる人気の山の宿命のようなものを感じてしまった。
「どちらも大変立派な石碑なのだから、一つあれば充分では・・」
こう思うのは自分だけだろうか・・・。
那岐山山頂 滝山方面
静かな山頂 山頂より滝山方面を西望
寒いばかりなので早々に山頂をあとに下山。

Aコースへ向け尾根をしばらく東進。
既に人を見かけない状況だが登山路を見るとこれまでにかなりの人が行き来したことを察知できる。ぬかるんで大変歩きにくい。
山頂より
那岐山山頂、避難小屋、旧・三角点を振り返り見る
それもしばらくの辛抱、A、Bコース分岐近くまで来れば足元も良くなり、また、傾斜も緩くなるので歩き易くなる。
分岐 分岐
A、Bコース分岐点 鳥取側・東仙コース、Aコース分岐点
A、Bコース分岐を直進、すぐに鳥取側への分岐があり、ここからは今回のもう一つの目的、Aコースへと足を踏み入れる。

菩提寺を登山口とするAコース。B、Cコースに較べ距離が長いことは承知の上だが、さてどんなコースだろう。

踏み入れるや否や気付くことがあった。目に見えて踏み跡が少ないことだ。登山路脇のササはしっかり刈り払いが施され整備は万全にもかかわらずそれらを踏んだ跡があまり、いや、ほとんど見受けられない。

お陰で道に迷うことはないので気持ちよく下って行く。
しかし、その気分はそう長続きしなかった。
稜線を振り返る 八合目
山頂への稜線方面を振り返る 八合目
分岐以来しばらく適度な傾斜の下りだったが、八合目を過ぎると急坂となる。潅木帯を過ぎると植林帯を急降下する。傾斜が緩くなってくると間もなく林道と出合う。六合目だ。
(標識によれば、ここから西へ下ればBコースへ出るらしい)
六合目
六合目
六合目まで下りてきたわけだが、目の前には丸太造りの急な登山路が上方に延びる。

山頂方面から南東側を見下ろせば尾根が一度下り、その南にこんもりした1,010ピークが見えるはずだ。コルのように見えるところが、ここ六合目であり、これからはそのピークに向け再度、登り返すわけだ。
階段
下りであって下りにあらず
恐怖の階段
下りにもかかわらず上りだすと、これが中途半端な登りでなく、Aコースへ入った頃のいい気分はどこかへ行ってしまった。

丸太が終われば、傾斜は緩やかになるので、この際あきらめてしばらく苦闘するとしよう。
しばらくのんびり歩くとやがて1,010ピーク付近を通過するので、当然、これからは今度こそ本当の下りにかかる。
わずかな紅葉 分岐
紅葉 八巻城分岐(上)
薄暗い植林帯の中、丸太の急坂を下るようになると八巻城分岐を見る。展望は利かず、歩きづらい道だがしばらく我慢しよう。再度、八巻城への分岐を見ても、もうしばらく丸太は続く。なかなか一筋縄では行かない厄介な道なので、ゆっくり下るしか仕方ない。

傾斜が緩くなってくると、ようやく丸太は終わり普通の登山路となる。

この後、さらにもう一度、丸太の道をほんの少し下ると正面に舗装路が見え、左へ進むようになると朝、車を駐車しておいた菩提寺・駐車場に出る。
Aコース入り口
菩提寺、Aコース下山口
◆【ワン・ポイント・アドバイス】
詳細にも書いたとおり、新設の東屋は少々期待外れだった。
風防 避難小屋、冬に備え有用と思われる風防が出来た。

左手の丸太を束ねたものが、それ。見てのとおり、「いかにも手造り風」。


今回、Aコースを下ったが、詳細にも書いたとおり八合目以降は急坂が続き、六合目からの急な登り返しは覚悟が必要。

1,010ピークからは丸太の急な下りがしばらく続くので、膝に難のある人は当コースは敬遠したほうがよい。

Aコースより入山の場合も1,010ピークまでは急な丸太の上り、一度、急に下り、六合目から再び上りとなるので、同様だ。
◆【ちょっと寄り道】
◇菩提寺
実は今回、菩提寺に駐車したのには、もう一つ訳があった。

それは時期が時期だけに、あわよくば境内にある樹齢900年という見事なイチョウの樹の黄葉を見ようというものだ。

残念ながら黄葉には少し早かったようだが、さすがは岡山県一ともうたわれる見事な大樹。見事な姿を見せてくれることに変わりはなかった。

菩提寺は蛇淵の滝・駐車場からでも、帰路ちょっと車を走らせれば、すぐ。
わずかに黄色がかった菩提寺のイチョウ


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