◆【山行日時】 2004年1月31日 ガス
◆【詳細】
前日の天気予報によると明日は北部も含め穏やかに晴れると伝えていた。
翌、当日、意気揚揚と目を覚ませてみると・・・、予報に反し、ぬるーい空気にどんよりとした空。
今日はきっといい天気に違いないと昨日のうちにカメラ一式の用意も整え準備万端で朝を迎えたのに、これは一体どうしろと言っているのか。
恨めしげにほんのり白みかけた空を見上げながら重い足取りでそれらを渋々車に積み込む。
これでは少しばかり重い気持ちのまま車を走らせざるを得なくなってしまった。
登山口となる若桜氷ノ山スキー場に到着したら、足早にゲレンデに向かう。
まるで自分の気持ちを推し測ったように低く垂れ込めるガスを見上げながらゲレンデへ入ると、いきなりこちらに向かいストックを振る人・・・。
「はて・・、誰だろう??」
このスキー場に来れば何人か知り合いはいるにはいるが、あまりにいきなりのことにいささか面食らった。
正直言って、初めはこちらの背後の人にでもストックをかざしているのかと思ったが、ゴーグルを外された次の瞬間、
「へ〜、こんなこともあるんだね〜。」
その人は昨年のスキーツアーでも同行し、昨秋にも殿下コースから家族で登った際、偶然にお会いしていた地元、若桜町のTさんだった。
Tさんが地元の方とは言え、もちろんここで出会うことは全く想像していなかったことなので、それ自体、狐につままれた思いだったのだが彼のいでたちを見てさらにびっくりさせられた。
「やったね、Tさん!」
確か、昨年のツアーの際はマイ・テレマークスキーではなかったはずなのに、今は上から下までどころか、頭の天辺はもちろん背中のザック(オスプレー)からブーツ(スカルパ)、スキー(不明)まで全部おニューのテレマークアイテムでバッチリ決まってる。
おまけに板はこちらも欲しいステップ・ソールらしい。
「いいな、いいなぁ〜。」
ホントは購入したばかりのその板でゲレンデで練習!だったらしいけど、
「これから(山に)上がりますが、一緒にどうです?」
と、ややもすれば強引とも取れるお誘いをかけたところ了解してくださり
「今日は思いがけない荒天の中、一人で登るか(滑るか)」
と思ってた矢先、良きパートナーと出会うことが出来た。
Tさんの身支度が整うのをしばらく待ち、パトロールに入山届を出したらパノラマリフトに乗る。
ここに来て思わぬパートナーに恵まれこの先の行動の視界は良好のように見えたが、それとは裏腹に見上げる空は相変わらずどんより曇り、気持ちと視界は晴れそうになかった。
ゲレンデトップで準備が出来たら、三人パーティーのボーダーに続き二人、三ノ丸を目指す。

昨夜のわずかな新雪に先週よりも足は潜る気もするが、先行のボーダーやTさんのスノーシュー(これもおニューの
MSR)のトレースがあるのでいくらかマシなようだ。
小さな樹氷を見ながら植林帯をしばらく急登。
先週のそれと較べてもずいぶん大きくなった雪庇のところを過ぎるとやがてブナの森に着く。
ここからは傾斜も緩くなりシール登高に切り換えるが、稜線に出たせいかガスが濃くなり見通しがこれまでにも増して良くない。

三ノ丸の雪原に出ると見通しは更に悪化。
これはもうホワイトアウト同然。言うまでもなく、ここでの油断は禁物だ。
先週の体験も踏まえコンパスで度々方向確認。
ボーダーより先に入山したと見られるワカンの4人パーティーを先導する格好で展望所着。
ボーダーの後を追うようにやがて避難小屋にも無事到着できた。
この状況下、三ノ丸の雪原に出た時点で氷ノ山山頂に向かうことは諦めていたので、小屋でゆっくりすることにする。
小屋にいたのは先行のボーダーの三人。(ワカンのパーティーは後にもここには立ち寄らず氷ノ山を目指したようだ)
ランチタイムがてらしばらく談笑。
彼らは東尾根から氷ノ山に上がり国際スキー場へのコースは滑ったことはあるらしいが、こちら(若桜氷ノ山スキー場からのコース)のコースは初めてらしくこの後の滑降コースについてはどこと言って決めてないらしい。
「それならわさび谷!」
彼らも持参のエリア・マップ『氷ノ山
鉢伏・神鍋』で位置を確認。
こちらは彼らに先立ち小屋をあとにした。

展望台付近でも先週とならかなり積雪量が増えたことを実感しながらも、目の前に広がる真っ白な世界に「今日もまた東斜面を滑れなかったな〜」などと思いつつ「そのうちきっと滑ることが出来る日が来る