三ノ丸〜氷ノ山
(氷ノ山で彩雲を見た)
三ノ丸より朝焼けの氷ノ山を望む

◆【山行日時】 2003年11月24日  晴れのち曇り・ガス、強風

◆【コース・タイム】


坂ノ谷林道・登山口=32分=三ノ丸・展望台=30分=氷ノ山山頂

=30分=三ノ丸・展望台=20分=登山口

◆【正味歩行時間】 1時間52分

パタゴニア


◆【詳細】

本格的な冬を前に、例年よりやや遅い初冠雪があったばかりの氷ノ山を訪れた。

氷ノ山はたびたび訪れるが、今回のそれはこれまでとは意味合いが少し違っていた。
それは、いつもなら気軽に、また身軽で出掛ける氷ノ山だが、つい先日ようやく手に入れた中判カメラ(PENTAX 645N)で撮影するにあたり、最初の被写体として何処を選択するか少し悩んだ上での山行となったからだ。

この連休が今年最後の連休との見方をすれば、もっと有効に休みを利用すべきだったが、あいにく、連休初日の23日に所要があり、泊りでの山行が出来ず、渋々こうせざるを得ないという現実があった。

日帰りでの山行となると、どうしても近場の山行になってしまうのはいかともしがたいところだが、この手のカメラの出番の場所を探すとなると、ある意味限られたものとなってしまうのが、絶対的に低山しかないこの地域での悲しいところだろうか。

そんな中、あえて探すとなると、やはり兵庫の最高峰、氷ノ山を抜きには考えられないということで、今回の山行となったわけだ。
朝日
ただ、いつもどおりの時間に登ったのでは何ら変化がないので、ここで一考。

「三ノ丸から朝日を見よう。」

早朝に登ることにした。

朝日を見るにあたり、前夜に登り山頂小屋で泊ることも考えたが、この時期は日の出の時間も夏にくらべればかなり遅く、暦を確認してもそこまでせずとも家を早朝に出れば三ノ丸には充分日の出前に到着することが出来そうだったので、逆算の上、早朝に自宅を出ることにした―。


林道登山口に着く頃、天空には星が出ていたのでもうしばらくの間の天候は約束されているようだったが、それよりもむしろ気になっていたのはほんのり白みかけていた東の空だった。

「まだ日の出まで一時間近くもあるというのに・・」

黎明の空が最も美しいだけに、あまりのんびりもしていられず、急いで準備し、つい先日の初冠雪時の名残雪を踏んで登り始める。氷ノ山

しばらくはヘッドランプなしでは歩けない状況だったが、ブナ林を抜け坂ノ谷コースとの合流点近くまで来れば、それなしでも歩けるようになった。
しかし、足元の不安がなくなったのとは対照的に、次第に明るさを増す背後の様子が、やけに気になる存在となってきていたのも事実だった。

『見返りの丘』標識まで来れば三ノ丸展望台への分岐は間近。
分岐を右に取り、避難小屋を右に見て急いで展望台に駆け上がる。
日の出時刻のわずか20分ほど前だった。

「間に合った。」
「展望も充分だ。」
大山遠望
期待どおり茜色の空が美しいが、景色に見とれている暇はなく、防寒具に身を包み大急ぎで撮影準備する。

それにしても寒い。寒暖計は摂氏2度を指しているが、折りからの強風もあいまって体感温度は氷点下に違いない。

展望台を独り占めだと思って日の出を待ちながら、しばし撮影していると
「同じような人もいるんだ。」
ラムダ製のザックを背負った人が慌てた様子で展望台に上がって来られた。
「お邪魔します。」
その人はいかにも慣れた感じでこちらに向け短い挨拶をし、更に大急ぎで撮影準備を始められた。

それもそのはず、日の出時刻は目の前に迫っていたのだ。

地元、波賀町から来られたこの人は、ラムダのザックにハッセルの4X5と6X6の二台のカメラをお持ちで、いかにもベテランカメラマンのよう。彩雲

聞けば、遠くはヨーロッパアルプスにまで撮影に出掛けられたこともあるそうだが、ここ二年ほどは氷ノ山に焦点をあて撮っておられるとのことだった。

やがて、日の出の時を迎え、素晴らしいご来光を見ることができた。

中判を持って始めての撮影山行の、いわばズブの素人に近いこちらと、かなりの経歴の持ち主のように見うけられるその人がごく狭い台上で同じ被写体を狙って撮影している。

「客観的に見れば、この光景はどう映るのだろう。」
この空間をたった二人で共有していることが少し不思議な気持ちになった。

日の出後しばらくして、南方から強風とともに押し寄せる黒い雲に、
「このまま下山するか」
とも思ったが、時間もたっぷりあるので氷ノ山へと向かうことにした。
(波賀町からの方は撮るものだけ撮ったら、そそくさと下山された)
氷ノ山より三ノ丸方面
状況は次第に悪くなり、氷ノ山山頂に着く頃にはガスで三ノ丸方面の展望はなくなっていた。

ところが、状況は悪化する一方かと思われた天候だが、山頂避難小屋で風の音を聞きながら一人遅い朝食を摂り、さらに、期待も込め山頂展望所でもうしばらく粘っていると、ようやく三ノ丸方面の展望が開け出し日も差して来た。

このまま崩れるものとばかり思っていたものの、ゆっくりしたおかげで再度見通しが利くようになり、何枚か撮影したのち、ここをあとにすることが出来た。

しかし、それも束の間。見えていた氷ノ山への稜線も、三ノ丸に着く頃には再度ガスの中となり、天候が下り坂であることを意味しているようだった。
三ノ丸
三ノ丸からは早足に拍車がかかり駈けるように登山口へと下山し、家路に着いた。


予報どおり午後からは雨が降りだしたが、朝早く出掛けたおかげで朝日を見ることができ、また雨にも遭わず今日の中判カメラデビュー山行を終えることが出来た。

これぞ
『早起きは三文の得』


◆【ワン・ポイント・アドバイス】

三ノ丸から見る朝日は素晴らしかったが、ひとつ注文を着けるとすれば・・・、
ウーん、実はこれが一番の問題かもしれないが、主役がないんだな〜。

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