◆【山行日時】 2003年6月7日 晴れ
◆【コース・タイム】
若桜氷ノ山スキー場、いぬわしゲレンデ・アルパイン・ヒュッテ=40分=クサリ場(1つ目)上部
=15分=稜線・コシキ岩基部=15分=氷ノ山山頂
=40分=三ノ丸・展望台=5分=三ノ丸・展望所=20分=スノーピア・ゲレンデ最上部
=15分=自然探勝路・展望デッキ=15分=いぬわしゲレンデ上部=5分=アルパイン・ヒュッテ
◆【正味所要時間】 2時間50分
◆【詳細】
梅雨入りを直前に控えたこの時期、氷ノ山〜三ノ丸稜線はスズコ街道だった―
久しぶりに山行に出掛けられそうな日に出くわしたが、前日、床に着く前までにしばらく思案した。
とうのも、遠方に出かけるわけには行かず、とりあえず
「久しぶりに氷ノ山にでも行くか」
と山域はあっさり決まったものの、さて、どの「コースで登ろうか?」。
若桜側から登るのはいいが、
「ゲレンデの上り下りはキツイしな〜」
「そうだッ!、確か、ゲレンデ上部辺りに遊歩道らしき道があったような・・・」
これを上手く利用すれば何とかなるかも。
仙谷コースなんてのはどうだろう・・・。
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ゲレンデより仙谷(中央)、山頂方面を見上げる |
冬季にはすっかり雪の下となるゲレンデも今は見る影もなく、ゲレンデ全体から見れば猫の額ほどの場所ながら、馬鈴薯を栽培中。
畑を見て、ゲレンデ内にぽつんと立つ道標に従い左手へと進み、山中へと入る。
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タニウツギ |
登山路となると所々に咲くタニウツギの花を見ながらしばらく歩くと自然探勝路入り口。コース案内図があるので確認しよう。
「ふむ、ふむ、確かにぐるっと回れる!」
(そう言えば、三ノ丸展望所にこれと同じような案内板があり、それを目にしていたことに、この時気付く)
自身でもルートを再確認の後、自然探勝路と分かれ左折。小さな沢を渡りトラバース気味に仙谷へ向け進む。
やがて仙谷と出合い、沢沿いに急登。何度か渡渉しながら高度を稼ぐ。
幸い、ここしばらくは雨量が少ないせいか谷筋の登山路ながら全く問題ない。
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仙谷 |
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クサリ場 |
クサリ場を過ぎると沢は小さくなり源頭の近いことを実感できる。
振り向いても見よう、樹間越しにゲレンデを見下ろすことが出来、やはり高度を稼いだことを感じ取ることができるだろう。
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樹間よりゲレンデを見る |
二つ目のクサリ場が現れると流れはほんの小さなものとなり、登山路は沢を離れる。
間もなくにあるベンチを過ぎるとササの茂るブナ林帯を急登。
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沢を離れるとベンチあり |
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ブナ林帯 |
しばし苦しい登りだが、稜線が近くなるのを楽しみに歩を進めよう。『辺りのブナと対話しながら』くらいの気持ちで歩けば、ずいぶん気楽になれる。
やがて傾斜が緩くなるとコシキ岩下部の稜線に出る。
あいにく、ここから山頂を望むことは出来ないが、そこまではほんのわずかなので、元気良く、次々通り過ぎる自然学校の子供たち負けないよう、もうひと頑張りしよう。
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氷ノ山へ向かう子供たち |
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コシキ岩を見上げる |
コシキ岩は兵庫県側を巻くように進む。
ここは積雪期には少々緊張させられる所だが、今はそんな心配は皆無。幅3〜4mもあろうかという立派な遊歩道並みの登山路のお陰でそれが何処なのかも解からない。
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コシキ岩下部よりハチ高原、鉢伏山 |
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山頂避難小屋 |
避難小屋が見えると山頂に到着だ。
先ほどの子供たちはパスしたにもかかわらず山頂はすでに大賑わい。漸次、彼らが到着すると歓声があふれた。
大人たちの自慢めいた話が聞こえてくると、つい耳を覆いたくなるが、子供たちの歓喜の声は苦にならず微笑ましく感じるのは自分だけではないはず。
いくつになっても童心のままでいたいものだが・・。
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氷ノ山山頂より三ノ丸、西尾根へ続く稜線 |
昼食の後、三ノ丸へ向け歩き出すと・・・、先ほどまでの賑わいは何処へやら。
ここからは『これが本当の氷ノ山』と思われる静かな山行を楽しむことができる。
氷ノ越〜氷ノ山〜東尾根辺りが”表”なら、氷ノ山〜三ノ丸〜西尾根はさながら”裏”ってところだろうか。
途端に、これまでとは打って変わって、全く静かな”裏氷ノ山”となる。
人と会わなくなった代わりにと言う訳ではないが、登山路脇には無数のスズコを目にすることができる。
これ以上の旬の土産はないと思い、適当に採る。
登山路脇のものや時にはササの奥深くまで入り込み「これは!」というものを素人なりに見繕い何本も採ってみた。
帰宅後、美味く食したことは言うまでもない。
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キャラボクと三ノ丸方面 |
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氷ノ山を振り返る |
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三ノ丸展望台でしばし展望を楽しんだ後、西尾根方面へ向け下る。
波賀町・避難小屋を左に見ると坂ノ谷林道方面へとの下山路分岐点。
真新しい道標があり右に進路をとると鳥取側の展望所。
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展望台から三室山、後山方面 |
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下山路分岐点の真新しい道標
右、鳥取側西尾根へ 左、兵庫側坂ノ谷林道へ |
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積雪期、大雪原と化すこの付近だが、今はチシマザサが邪魔をして展望はほとんど得られない。
メリットはと言えば進路がはっきりしているので、まず道に迷わないことぐらいだろうか。
万一ガスられても、おそらく進路に迷いはないだろう。
ブナの森まで来れば西尾根を下る。やはりここからも樹林が邪魔をしてほとんど展望は得られない。
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ブナの森付近の広葉樹林 |
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西尾根からはあまり展望は得られない |
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次第に急坂となり植林を見るようになると、やがてリフト施設が現れ、ゲレンデ最上部に出る。
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リフト終点 |
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アサギマダラ |
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ゲレンデ脇の丸太で土留めの登山路を急降下。
第三リフト中間駅からは進路を右手(東)にとり、予定通り自然探勝路に入る。入り口には案内板があるので再々度、進路を確認しよう。
ゲレンデをそのまま下れば樹氷スノーピアゲレンデ下部へと出る事ができるが、車の回収の問題やゲレンデを歩くことに抵抗があったり自然探勝路なるものも歩いてみたかったことから、あえてこちらへと向かってみたが・・・、しばらくは植林帯の歩行が続き、
「自然探勝しようにも、どこでどうしたものか・・?」
薄暗い中をしばらく下るとようやく自然林が現れ、展望デッキに出る。
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トチの木 |
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展望デッキからの眺望 |
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展望デッキを過ぎ、気持ちの良い自然林帯をさらに下り出すと、次第に沢の音が大きくなる。ワサビ谷の沢音だ。
冬季、ツアーに出かけた際、三ノ丸北方より滑降して辿り着くのがここだ。
小さな沢を渡渉し、次に現れる大きな沢がワサビ谷。見上げると、名の通りブナの根元にワサビの葉らしきものが群生する。そして、それらを縫うように清流が流れる。
上りに利用した仙谷とは植生がずいぶん違い、こちらはブナやトチなどの大木が主体で沢幅も広く、傾斜もゆるく水量も多い。さながら『マイナスイオンの宝庫』ってところだろうか。
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ワサビ谷 |
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いぬわしゲレンデ上部の道標 |
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ようやく自然探勝路らしくなったと思ったのも束の間、ワサビ谷と別れると、再度、植林帯に。
『自然探勝路』は、少し穿った見かたをすれば『ワサビ谷を見る路』と言えるかもしれない。
いぬわしゲレンデからは探勝路を外れゲレンデ内をショート・カット。ゲレンデ下まで下れば山行は終わる。
◆【ワン・ポイント・アドバイス】
上りで利用した仙谷コース、ガイドブックによれば上級者コースと記されているものもあるが決してそうではなく、特にこれといった危険箇所は見当たらない。(私見)
ただ、沢筋のコースなので降雨中や降雨後間もない時には注意が必要。
二ヶ所のクサリ場、強いて言えばどちらもなくても通過できそうな箇所なので、これも問題はない。
◆氷ノ山の他のコース・データを見る