ちくさスキー場〜駒の尾山〜鍋ヶ谷山

後山(中央奥)へと続く稜線と雪原にくっきり残る野ウサギの足跡(右は舟木山、左手前が鍋ヶ谷山)
◆【山行日時】 2006年1月29日  快晴
◆【コース・タイム】 
ちくさスキー場・トップ=65分=1,206.8(大海里)ピーク=60分=駒の尾山山頂=25分=鍋ヶ谷山

=15分=駒の尾・避難小屋=20分=大海里峠=30分=ダルガ峰=20分=ゲレンデ・トップ

(コースタイムはシール歩行時間と滑走時間が混在しています)
パタゴニア

◆【詳細】
ちくさスキー場からダルガ峰、駒の尾山山頂を経て鍋ヶ谷山までの兵庫、岡山の県境尾根を歩いた。

リフトに乗車しトップまで上がったら、植林帯に向かい歩き始める。
このルートは初めての歩行だったので、この植林はどこから入っていいのか判らずにいたが、とりあえず圧雪された部分を一番左端(南東)まで歩き、コンパスで方向確認のうえ林の中へと入ることにした。

少し歩いてもトレースは見当たらなかったので、どうやら今日の先行者はいないようだ。

植林帯の中の展望のない歩行は方向感覚が麻痺しそうだったので、夏道のある県境尾根をはずれ植林帯を南西へ突っ切って岡山県側を歩くことにした。
すると広々とした植林伐採地に出て展望は開けずいぶん気が楽になった。

好天時でもこれだから、悪天時のこのルートは要注意だ。

伐採地の雪原をしばらく進むと大芽スキー場からのルートの標識に出くわし、これに習い進むと植林の中に入って行った。

この付近の森林は岡山側は伐採されており、兵庫側はそうではないようだ。
まずは植林帯を行く 大芽スキー場からのコースの標識
まずは植林帯を行く 大芽スキー場からのコースの標識
間もなく、ちくさ高原を示す標識も現れ、夏道らしきところを歩くようになる。
すぐに植林帯を出ると左手に雑木、右手に展望を楽しみながらほぼ水平に歩く。
ここがダルガ峰山頂の一角のよう。

正面(南)にはこれから向かう駒の尾山や1,206.8ピーク(大海里)、西に那岐山が遠くかすみ北に沖ノ山が見える。

左手の雑木を抜け兵庫県側へ回り込むと滑れそうな斜面があったので、シールを外し短く滑る。

足を止めた切り開きからは北東に天児屋山〜三室山稜線が綺麗に見えた。

ダルガ峰東より天児屋山〜三室山 ダルガ峰付近から見る1,207ピーク(左)と駒の尾山
ダルガ峰東より天児屋山〜三室山 ダルガ峰付近から見る1,207ピーク(左)と駒の尾山

再度シールを貼り、1,206.8(大海里ピーク)へ向け登る。

積雪期は岡山側を巻くのがセオリーのようだが、ここはあえて山頂通しで行く。

かなりの急坂だったが、小さな雪原を形成するその山頂部からの景色は素晴らしく、見えなくなっていた三国境付近から三室山へのスカイラインが青空の下、綺麗に浮かび上がっている。

もちろん正面には後山〜駒の尾山稜線が、ほぼ目線の位置に見えるようななった。
1,206.8山頂から北望
1,206.8山頂から北望
1,206.8ピークより見る舟木山、後山稜線 1,211付近より1,206.8を振り返る(右奥は東山)
1,206.8ピークより見る後山〜船木山稜線 1,211付近より1,206.8を振り返る(右奥は東山)
大海里峠まで急降下したら1,211への登り返し。

左手に気持ちのよさそうな斜面を見ながら登高すると次第に急登するようになり、植林帯をジグザグに斜登高すると1,211。

この途中で振り返ると、大海里ピークに誰やら人がいるのが確認できた。

これまでに野ウサギの足跡は数多く見てきたが、こと人に関してはてっきり「今日は貸切」とばかり思ってここまで来たが、そうではないようだ。

ここまで来れば傾斜は緩やかになり、避難小屋は間もなく。
逆光に映える木々を見ながらのんびり緩やかに歩けば、その屋根や煙突が見えてくる。
影 駒の尾・避難小屋と右奥に駒の尾山山頂
駒の尾・避難小屋と右奥に駒の尾山山頂
駒の尾山山頂
駒の尾山山頂 (遠景はダルガ峰、東山)
展望の開けた雪原を歩くようになり、駒の尾山山頂へは後山への稜線を背後に見ながらもう少し。
山頂に着けば、避難小屋付近よりもさらに展望が広がり、ぐるりと見える。

西、遠くに那岐山がかすみ、北に沖ノ山、東山(とうせん)とその手前に歩いてきたダルガ峰稜線。北東の梢の向こうに氷ノ山。

東には三室山〜植松山と、近景はここでの主役、後山とそこへの稜線上の舟木山や、これから向かう鍋ヶ谷山。
その右に、三つコブの日名倉山。

ところで、無雪期には石のモニュメントが並ぶ山頂だが、今はすっかり雪の下でそんなものがあることすら想像できない。山頂を示す一際大きな石柱でもご覧のとおりだから(上画像)、積雪は1メートルくらいだろうか。

しばらく展望を楽しんだら、シールはそのままで稜線を鍋ヶ谷山へ向かう。

小屋まで下ると1,211の登りで見た、大海里ピークにいた人らしき人物が林から現れた。
てっきり、駒の尾山へ向かいこちらに来ると思いきや、こちらは見向きもせず稜線を東進するではないか。
「もしかして、後山まで・・・。」

すぐ先の小さなコブで休憩しているその人に出会い話すと、予想通り後山まで行くとのこと。
(トレースの礼を告げられた)

日名倉山 駒の尾山
日名倉山
駒の尾山

こちらは予定通り鍋ヶ谷山止まりとし、再度先行して歩く。

右手には日名倉山がシュカブラの向こうにひょっこり顔を出し、振り向けば意外に立派な山容で駒の尾山が横たわる。

見えてきた鍋ヶ谷山西斜面は、今日のルートでは最高の斜面。
右手にそれを見ながら登高すると、目的地である鍋ヶ谷山山頂に到着。

といってもこのピークは、ホンの小さな丘にしか見えない何てことはないピークに過ぎない。

積雪期にようやくピークであることを他に知らしめ、またそこにたてば展望もそれなりに得られるようになるものの、無雪期となると付近にはネマガリタケがびっしりと生い茂り、展望はわずかに駒の尾山方面が見えるだけで、どこがピークかもはっきりしないほどの、ほとんど見向きもされず通り過ぎられてしまうピークなのだ。

では今回なぜ、このピークにこだわったのか。
それは、このピークから北東に派生する尾根を下山路に出来たらという気があったからにほかならない。

もちろん、後山まで行ったうえでここを滑ればベストなのだろうが、そうすれば元来の不安材料である滑降の技術的な問題に加え歩行時間の問題も生まれてしまうので、とりあえず歩行はここまでとし、この尾根を下山路として下降したらどうだろうと考えていた。

しかし、現実にその場に身を置くと、いくら天気が良いといってもそこは未知の世界。
稜線上は思いのほか強風が吹き荒れ、北斜面はクラスト気味だ。
雪崩の心配はなさそうだが、尾根上には白い斜面も確認したものの苦手の植林帯もある。

また、下山後には林道をしばらく下らなければならないし、これまでの状況を考えれば、こんなルートに人が入っているはずもなく、林道ではスキーが走るとは考えにくい。
その後、車道をスキー場駐車場まで戻らなければならないオマケもある。

良くないイメージばかりが膨らめば、なかなか決行する気にはなれない。

気の置けない同行者がいればもう少し強気になれたかもしれないが、すっかり弱気の虫が顔を出してきたので、ここは往路を引き返すことにした。
鍋ヶ谷山より後山、舟木山 駒の尾山
鍋ヶ谷山より後山(左奥)と船木山 駒の尾山と県境尾根
こう決めたらシールを外し、楽しみにしていた西斜面を滑降。

下手くそながら、白いキャンバスにそれなりのシュプールを描く。
楽しいことは、あっけなく終わってしまった。

シール歩行となり避難小屋で遅めの昼食。

小屋前でシールを外したら、往路をたどり緩やかに滑走。

1,211からは登高した際、”よさそうな斜面”と目を付けていた東の谷筋を短く滑降。
大海里峠までは何とか滑ることができた。

1,206.8はセオリーどおり岡山側を巻き、ダルガ峰も岡山側から上がる。
朝は見えていた那岐山は霞がきつくなり、ほとんど確認できなくなっていた。

植林帯に入ると展望はなくなり、大芽スキー場への分岐でちくさ高原方面へ進路をとるとその後は林間を進む。

この辺りはほとんど傾斜がないので出来るだけスキーが走るようにと、復路、避難小屋前で出会っていた二人連れのスノーシューのトレース上を歩くが、それでも漕がないと進まない。

少し傾斜が出てきたように感じたのでシールをはずしてみてもあまり変化なし。

やがて朝、林を突っ切った自身のトレースを見ると少しは走り出した。
最後にわずかに登り返し気味に開脚歩行したら、林を抜けゲレンデトップに出た。

ゲレンデで何本か滑ったあと、帰路に着いた。

北東尾根を下山した場合の下山口、鍋ヶ谷林道を覗いてみると案の定、トレースはなかった。


◆【ワン・ポイント・アドバイス】

ゲレンデトップから植林帯への入り口に案内板は確認できなかった。

その後のルートは県境尾根を進むことになる。

県境は尾根上とされているものの、ダルガ峰付近ではその尾根が特に平(なる)いので悪天時はルートファインディングが困難となるだろう。

荒天下に限らず雪山では充分な知識、装備をもって臨まなければなりません
なかでも地形図、コンパスはどのような状況においても最重要な必須アイテムです


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