厳冬期の氷ノ山で雪洞ビバーク訓練

 雪山で非常時に備えるためのビバークを体験する目的で日本海に近い氷ノ山(1510m)へ雪洞掘りに出かけた。 先月の22日に流れ尾から氷ノ山に続き、一般的に割合い登られている氷ノ山国際スキー場中央ゲレンデから東尾根を登り頂上付近で雪洞を掘る予定である。
 今回は雪山で雪洞を掘る訓練と生活体験です。勿論CL以外は私を含めて初めての経験、期待と不安な気持ちで出発の日を迎えた。  参加メンバーは、義晴さんをCLに、稲美町のメンバー2名、合計4名で行きました。
 午前中は視界も良く、夏の尾根ルートの西側の尾根を登る。東尾根に合流する最期の斜面は45度以上、苦しいラッセルを続け稜線到着。 尾根上のトレースを辿り頂上へ、厳しい冬山とメルヘンの世界を体験出来した山行でした。


【山 域】兵庫県北部(但馬)
【場 所】氷ノ山
【地形図】氷ノ山
【日 時】2006年2月10日11日12日
【コース】氷ノ山国際スキー場→東尾根→氷ノ山(泊)下山も東尾根を戻る。
【参加者】CL義晴さん、明宏さん、ひろみさん、雲水 (4名)
【天 気】曇り後雪


休み
東尾根一ノ谷の頭付近、ここで一休み
掘る
吹雪の中で雪洞掘り開始
 前夜午後10時稲美町を出発し、12時過ぎ国際スキー場駐車場到着、テントを張り朝まで仮眠。 リフトが動く8時までに朝食を済ませテントを片づけ、リフトを2本乗り継ぎゲレンデ中央のロッジ逆水にあるパトロール事務所に登山届けを提出。 早速わかんを付け登山口から東尾根に取り付く。

 我々以外にも、大阪の労山15名や3人組など3パーティが東尾根から登り雪洞ビバークの予定とのこと。 この時期ならではの賑やかさ、労山パーティは逆水キャンプ場から直接尾根に取り付く様子。 我々は夏道を選んで登り始めるが最初からラッセルとなる。一つ上の台地に上がる斜面を無理矢理登りきると前方に労山パーティが長い列をなしてラッセル中。 誘惑に負けてこの踏み跡を使わせてもらう。

 初心者を含む15名の後について登るがゆっくりしたペース、順番に先頭を交代しながら樹林帯の中を忠実に登る。 登るに従い段々と傾斜が増してくる、左手尾根上に東尾根の避難小屋が見え次第に高度も上がり稜線が近づいたことが判る。 先頭の順番が我々に回ってきた、傾斜も更に急になり凡そ40度、最期は50度の斜面を登り切ると稜線に到着。 天気も上々景色を眺めながらしばし休憩。

流れ尾1
雪洞で寛ぐ義晴さん
流れ尾6
雪洞で寛ぐひろみさん
 稜線のトレースを辿り一ノ谷源頭を登り傾斜の緩やかな広い斜面を行く。 暫くして「下の千本」と呼ばれている杉林を抜け再び広い斜面に出る。 この辺りは、ガスの中を降るときには十分気をつけなければならない場所である。 ガスのため視界が悪く風も出てきた。前回同様「上の千本」の杉林はモンスターの林に姿を変えている。 風を避けてモンスターの中で最期の休憩をとり、堅くなった雪の斜面を高い所を目指し登ると突然目の前に頂上避難小屋が姿を現し頂上に到着する。 時間も予定より遅れているので早速雪洞を掘る場所を探す。
 避難小屋裏の斜面近くの杉の木傍に良い斜面を見つけここに決定。早速ザックを下ろしスコップで掘り始める。
 まず入り口の大きさを決め、斜面をL字形に削り取り真横に掘り進む。天気さえ良ければゆっくりと掘れるのだが生憎風が強くなりオマケに雪が舞う天気、ジッとしていると寒いので交替で掘り進む。
 1月後半に雨が降ったので中間に氷の様に堅い層があり掘り進むスピードが更に遅くなる。 やっと一人が入れる大きさになり、中に入り作業を進める。中は風の影響もなく快適だが削り取った固まりを外に出す作業が加わる。

 雪の中に座って作業するのでゴアのカッパまでも濡れてくる。勿論手袋も同様だが、今回のためホームセンターで買ったゴムの手袋を使ったのでミトンを濡らすことは無かった。 3時間近く掛かりどうにか4人が寝るスペースを確保、早速中に全員が入りバーナーでお湯を沸かしティータイム。 入り口を閉めていないので、暖まった空気と外気が入れ替わり暖かくならない。


メルヘン
メルヘンな雪洞の中
 雪洞は大きくすればするほど寒くなるので、最小限の広さにするのがコツだとCLからアドバイス。 高さも私にとっては窮屈あと25cmは欲しかった。外では相変わらず風が吹き雪も降り続いている。 夕暮れが迫る頃になり夕食の準備を始める。献立は「キムチ鍋」。いつもCLが買い出しから全て準備してもらい申し訳ありません。 手際よく料理が出来上がり早速頂く。鍋のふたを取ると雪洞が風呂の中の様に湯気でかすむ、湿度120%。
 外も暗くなりいよいよローソクの出番となる。壁にローソクを置ける様窪みを2箇所開け火を着ける。 たった2本のローソクだが、真っ白い雪洞が暖かい光で満ち溢れとてもメルヘンチック、 シートで入り口を仕切ると吹雪の音も聞こえず、静かで暖かい空間が出現する。これは体験しないと判らないでしょう。 夕食でお腹一杯になり身体も温まり寝る準備、着ていたカッパもいつの間にか乾いている。狭い雪洞の中でマットを広げ寝袋に入る、 同時に準備は出来ないので奥から一人ずつ交替で寝袋に収まる。身動きが取れない状態だが寒さは全く感じない。明かりを消すと静寂が訪れる、テントとは違い静かな一夜を過ごせました。
明宏
雪洞で寛ぐ明宏さん
雲水
ちょと窮屈な雪洞で、雲水
 翌日も朝から吹雪き、入り口が半分ほど埋まっている。雪を押しのけ外に出るガスで視界不良。 朝食を軽く済ませ狭い雪洞の中でパッキング。靴を履きスパッツを着け外に出る、わかんを履こうとするが、吹雪の中思うように行かない、慌てて雪洞に逃げ込む。
 雪洞の中では風もなく落ち着いて装着できたが、テントだったらと考えると雪洞もなかなか良いものだ。

 全員準備も整い下山開始。コンパスで方角を確かめながら「上の千本」を降る。  勿論先行者のトレースなど有るはずもなく、新雪の降り積もった中をラッセルしながら進む。  「下の千本」までの広い斜面は特に注意しないとルートを失う。幸い下から赤旗を持って登ってくる3名のパーティに出遭い、お互いのトレースを使い快適に降れた。  「下の千本」まで降ると、前日合った大阪の労山パーティが残した雪洞を林の中に見つける。 4本掘った横穴をトンネルで繋いでいたようだ。更にしっかりしたトレースを使い尾根を降る。 暫くすると先行の労山パーティに追いつく。一ノ谷の頭で右に降るパーティを途中から左の尾根にトラバースで導き東尾根に無事乗ることが出来た。
 狭くなった尾根をラッセルしながら避難小屋まで降り暫し休憩。上で遭った3人パーティが小屋に入ってきたのを潮時にスキー場まで一気に降り無事ゲレンデ到着。
 パトロール隊へ下山届けを提出しリフトを2本乗り継ぎ駐車場着。帰路は温泉で汗を流し夕方稲美町へ帰る。

 初めて雪洞ビバークに挑戦し、雪洞の堀り方や生活技術など貴重な体験が出来ました。CLの義晴さん有り難うございました。明宏さん、ひろみさん、お疲れ様でした。


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