北ア・コブ尾根敗退記


2004年6月5日(日)
参加者 CL:雲水・一典さん・武子ん(計3名)

 前日の奥穂高南陵登攀は何とか達成できたが、此程まで苦労するとは思っていなかった。
ガイドブックから読み取った内容と実際現地の状況とは大まかな違いはないが、やはりルートファインディングが難しく、 取り付き点を探し出す能力がその後の登攀の成否を分けることになる。
 人気のコースなら、取り付き点やルートは多くの踏後がありルートファインディングにさほど苦労はないが、人があまり行かないルートでは特に難しいと感じた。
 コブ尾根登攀日も天気は上々、コブ沢の押し出しからガラ沢を詰め雪渓に出会う。ここでハーネスをつけアイゼン装着、 落石の散乱する雪渓をシュルンドに注意を払い詰めると滝が現れ雪渓が途切れる。ここは右岸から取り付き上部で雪渓に戻る。
 更に詰めると二つめの滝が現れまたしても雪渓が途切れる。大きなシュルンドが口を開け、上の雪渓に取り付くには一旦シュルンドの中に降り雪壁を登り返さなければならない。 周りを見渡しコブ尾根に突き上げるルンゼを探すが判らない。
 もう少し上に顕著なルンゼが見えるが、そこに行くなら目の前の滝を越えていかなければならない。 シュルンドに降りるのはピッケルを支点に懸垂で何とか降りることができるがその上の雪渓に登れない。 右岸は傾斜したスラブ、左岸はナメ状の滝が掛かる壁。どちらも捲くには難しい。昨年の八ッ峰・ⅠⅡ峰ルンゼと同じ状態でこれ以上登るのは難しいと判断した。
 後で聞いたところによれば、左岸のナメ状の滝を登ると上部がルンゼに繋がりコブ尾根に取り付くけるのだと知った。後の祭りである。
コブ尾根1 コブ2
コブ沢の滝を懸垂で ジャンダルム頂上にて

 同行の仲間には悪いが、ルート変更を告げる。慎重に雪渓を降り下の滝は上部岸壁から懸垂で雪渓に降りテン場まで引き返し登攀道具を置いて再出発。
 ルートは、天狗沢を天狗のコルまで詰め、西穂と奥穂の縦走路に出てジャンダルムを往復する。
 岳沢ヒュッテの前を通りコブ沢を渡り天狗沢へ出て、お花畑の中をしっかりした踏跡を辿る。
 登り3時間で天狗のコルに到着。このコースは縦走路からのエスケープルートに利用されることが多いが、我々のように登りに使うパーティは殆ど居ないようだ。 日差しを背中に受けガラ場を横切り小さく残った雪渓を目指し岩を落とさないよう気をつけながらひたすら登り雪渓で一息入れる。
 雪渓の表面を削りコンデンスミルクを掛け食べる。小豆でもあればミルク金時だね。
 更に詰めると右手は畳岩が、左手は天狗の頭の垂直な岸壁が迫り、両側からの落石に注意を払いながら傾斜を増したガレ場を、 足許が崩れるのも構わずに足早に登り天狗のコルに到着。今は崩壊した避難小屋が残っている。 西側は笠ヶ岳が目の前に望め、天狗の頭からの降りはほぼ垂直、鎖が下がっているが大きな荷物でここを上り下りするのはスリルがあって楽しそうだ。 実際何人かは降りで苦労をしているのが間近に見える。
 ここからは西穂奥穂の縦走路を辿る。10時をすぎやはりガスが出てきた。沢山の縦走する人とすれ違う。 簡単な岩登りを交え登っていくと目の前にうっすらとジャンダルムが見えてきた。最後の登りも足場がしっかりしているので簡単に頂上に着いた。
コブ3 コブ4
ガスの中を天狗のコルからジャンダルムヘ もうすぐジャンダルム頂上へ

 しかし視界が無い。ジャンダルムを示す山名板もない。記念の写真を撮り降る。一瞬だがロバの耳が見えたがすぐガスの中、 途中で明宏・ひろみ・敏夫班から南陵の頭に着いたと連絡が入る。ガスの中の降りは方向を間違えないよう慎重にルートを選び降る。
 どこかで雷の音も聞こえだす。天狗のコルからの降りは、登りより慎重に上部雪渓まで降り、雨がちらほら落ちてくる中降る。 余り休みすぎたのかもう少しで岳沢ヒュッテというところで本降りになり小屋に駆け込む。
 何はともあれ二日間怪我もなく無事難しいコースを達成できたことを祝い3人でジョッキで乾杯。南陵班も帰幕しテントで祝杯を挙げる。
 コブ尾根をやり残したことが心残りですが、またいつか挑戦したいと思います。
 一昨年来から挑戦していますクラッシクナアルパイン山行も、北穂東稜・ヤツ峰上半・源治郎尾根に続き奥穂南陵に足跡を残すことが出来ました。 来年は剣岳周辺のアルパインを目指します。またお付き合いください。


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