湖北・花房尾から白倉岳・金糞岳縦走

 滋賀県と岐阜県境に連なる湖北の山々は、冬の季節風の影響を強く受け標高の割には積雪量も多く、なだらかで広い尾根が数多く有る地形のため山スキーにはうってつけの所である。
 麓ではすでに雪も消えた頃国道8号線を走っていると、一際目立つ真っ白な山が目に入る、その山が金糞岳である。
 今回は、近江高山キャンプ場の裏から続く花房尾(この地方では「尾根」と言わず「尾」と呼ぶようだ)を辿り白倉岳を経て金糞岳を目指す。金糞岳と白倉岳を源流とする東俣谷(深谷)を挟んで西側の尾根が「花房尾」で、以前から金糞岳の登路として利用されてきた東側の尾根「中津尾」コースは、林道が鳥越峠まで通じたこともあり気楽に登れるようになり、多くの登山者を迎える山となった。
 今回の計画は、昨年一度計画したが参加者が少なく延期となったコースである。標高差千メートル、殆ど歩かれていないルートで、多少の藪漕ぎも覚悟の挑戦となりました。
 参加メンバーは、昨年から会として取り組んでいる「四国シリーズ」の主要メンバー、敏夫さん、公男さん、丈夫さん、女性陣では、富子さん、美智子さん、清子さん、節子さん、総勢8名で行きました。 人工林が一切無く広葉樹林のブナ林を抜け、高度が上がるに従い展望も開ける。
 南に連なる伊吹山の大きな山体、東側は幾重にも波打つように拡がる奥美濃の山々、西側は琵琶湖を望み期待に違わず素晴らしい展望、曇天ながら約4時間の稜線漫歩を楽しみ無事白倉岳・金糞岳頂上を極めることができた素晴らしい山行でした。


【山 域】滋賀岐阜県境(湖北)
【場 所】花房尾から白倉岳金糞岳
【地形図】近江川合・虎御前山
【日 時】2006年6月10日11日
【コース】近江高山キャンプ場→花房尾→白倉岳→金糞岳、下山は中津尾を戻る。
【参加者】CL雲水、敏夫さん、公男さん、丈夫さん、富子さん、節子さん、清子さん、美智子さん (8名)
【天 気】曇り


奥山頂上
花房尾を登り最初の三角点奥山山頂にて(撮影:敏さん)
 前夜午後9時役場駐車場に集合し、総員8名2台の車に分乗し出発、三木小野ICから山陽・中国・名神・北陸自動車道を長浜ICで降り、姉川の合戦で知られる古戦場を抜け、近江高山キャンプ場手前の道路脇の広場に12時過ぎ到着。早速テントを2張り設営。女性陣4名は新しいテント、少し狭いが我慢してもらい朝まで仮眠。

 4時半起床、食事を済ませ5時15分出発、キャンプ場で支度を調え5時40分登山開始。登山口には熊やマムシに注意の看板、地元の浅井(あざい)山の会の努力で道に覆い被さる灌木を切り払ってあり、予想以上に歩き易い。送電線までは管理道を進みいよいよ支尾根に上がるが樹林帯の中視界は無し、尾根上は深い溝が続く。

 空はドンヨリとして今にも雨が降り出しそうな天気、先頭を歩くので蜘蛛の巣が顔に着いて煩わしい。30分程で一度休憩、流れる汗を拭き衣服調整。北へ向いた尾根が少しずつ東へ変わると広葉樹が新緑に映え明るい尾根になり傾斜も落ちると滝谷の頭に到着。この付近は傾斜もない広い場所でガスの中では踏み跡を見失わないように気を遣わなければならない。
 最期の水場を過ぎると尾根は再び北へ延び三角点のある奥山(1056.6m)に7時50分到着一本立てる。頂は切り開かれこれから辿る稜線の先に白倉岳と金糞岳が望めた。

花房尾
白倉岳間近の花房尾を行く仲間
伊吹山
花房尾から振り返れば伊吹山が望める
 記念撮影を済ませ出発。少し降り尚も尾根を忠実に辿る。尾根上の木々も低くなり東側の中津尾も望める。振り返れば大きい山体の伊吹山が曇り空に浮かんでいる、足許には少しだが高山植物も見られる。少しずつ高度が上がるなだらかな尾根を進むと木之元町と浅井町を分ける尾根の分岐「五ロウ頭」(1140m)8時50分通過。
 小さな上り下りを繰り返し滋賀・岐阜県境のピーク(1161m)に9時14分到着、北西方向へ県境稜線は続き八草峠に至るルートだが薮漕ぎでなければ行けないだろう。
 尾根上の踏み跡はしっかりしており全く問題なし。最期は笹混じりの踏み跡を僅かで白倉岳(1270m)頂上9時40分到着。頂上は広く展望も360度、奥美濃の山々がどこまでも続くが山の名前は判らない。軽く行動食を食べ目の前の金糞岳へと最期の登りに備える。

 白倉岳からの降りはこの山塊で初めて岩場を降る。傾斜もありトラロープも設置されている。振り返ると白い岩が見える。この山の名前はこの岩から命名されたと想像できる。最低鞍部には東俣谷(深谷)へ降る道を分け少し登ると広い山頂に出る、ここが目標の金糞岳(1317m)10時20分到着、4時間ほどで登ったことになる。残念ながら展望は灌木に遮られほとんどなし。
 記念撮影を済ませ30分程休憩する予定であったが、やたらと虫が多くこれには閉口した。熱いコーヒーを入れ行動食を補給し早々に退散となる。
 やはりここは人気の山次から次に登山者が現れる。全てが林道からの往復で、白倉岳まで足を伸ばすパーティが多いそうだ。


 これから降る中津尾は多くの人が利用する道、灌木が茂り展望は無い。なだらかな尾根を降る途中何度も振り返るが頂上は見えない。ブナなども多く明るい尾根である。小さなピークを何度も越えると前方に大きなピークが現れひと登りで小朝の頭(1124m)頂上11時40分到着一本立てる。展望は北側が少し開け金糞岳も見える、東へ藪を降ると鳥越峠に向かう県境稜線だが踏み跡すら無い。南へ明るい尾根をひたすら降ると東側に林道が近づきしばらくでヘアピンカーブの林道に出る。12時10分
 滋賀県や三重県の車が数台止めてある。多くの登山者はここに車を止め、頂上を往復するのだろう。兵庫県からでも日帰りも十分可能です。尾根を切り開いてあるので展望は申し分なし、朝から登った花房尾のすべてが見える。勿論白倉岳までも。「あれを登ったんやなー」と今日の行程を振り返りながら休憩。

白倉岳
展望の良い白倉岳の山頂で一休み(撮影:敏さん)
金糞遠望
白倉岳から金糞岳山頂を間近に望む
 ここからの降りは余り利用されていないルート、広い尾根に広場があり藪の中に古びたテープを探し出し、頭上を樹木に覆われた登山道を頭を低くして潜るように降る。登りの花房尾と同様溝のように掘れた箇所もあり手入れの行き届かない荒れた道になっている。

 どんどん高度も下がり2度目の林道に12時50分出会う。舗装された道路にへたり込み最後の休憩を取る。しばらくすると登山者が一人で降りてきた。白倉岳を降る途中出会った単独行者で白倉を往復してここまで降りてきたそうだ、なかなかの健脚ぶり、車をすぐ上の広場に止めて登ったようだ。

 ここから尾根末端の追分までは高度にして200m距離500m程、だんだん沢の音が聞こえるようになり草深いジグザグ道を降ると堰堤脇にでる。最後に細い鉄の橋を渡ると登山口の標識がある追分に13時30分到着、天気も回復し蒸し暑い日差しの中林道をただただ下る。

 突然富子さんが「熊だ」と叫ぶ。急いで目をやると沢の藪が揺れている。私にはハッキリとは確認できなかったが、林道脇の茂みに小熊が居たようで、人の気配に驚いて逃げていったそうだ。人里に近いこともあり餌を探しに降りてきたのだろう。ニュースではよく耳にするが我々が近接遭遇するとは思わなかった。
 注意の看板には、「まむし」に注意・「熊」に注意と書いてあったが、「まむし」はともかく「熊」とは驚きである。都会とは違い本当に自然が生きずいているのだ。何はともあればったりと出くわさなくて良かった。風もなく草いきれの林道を歩きやっとの事でキャンプ場に14時15分無事到着。

 近江高山キャンプ場は、整備の行き届いた立派なキャンプ場だが、自動販売機すら無い。利用者も多いと思うが、なんとも商売毛が無いのだろう。有り難いことに駐車料金もいらないらしい、感謝感謝。


金糞岳山頂
金糞岳山頂に無事到着、記念撮影(撮影:敏さん)
林道出会い
中津尾を降り林道に出る。ここに車を置き登る
 時間も割合早く降りてきたので、汗を流しに温泉に寄ることに衆議一決。一番近い須賀谷温泉に決める。戦国時代の近江の領主浅井長政の山城「小谷城」のすぐそばにある温泉で、お市の方も入ったというふれこみ、期待して行ったが入浴料金900円、ゆっくりと汗を流す予定だがお湯が熱く早々に上がる羽目になった。露天風呂もあるにはあるが狭く洗い場までも同様、サービスも悪く二度とは来たくない温泉でした。

 北陸道長浜ICから高速に乗り、渋滞もなく順調に稲美町に帰れると思っていたが、中国道への分岐を通り過ぎてしまい、西宮から阪神高速を経由して帰ってきました。時間的にも大差はなく長時間お待たせすることもなく役場駐車場で解散。


 二年越しの金糞岳、曇り空ながら雨にも降られることもなく静かな山旅を楽しめました。
 奥美濃シリーズも、冠山に始まり、横山岳、夜叉が池から三周が岳、伊吹北尾根、能郷白山と足跡を残してきました。これからも毎年一度くらいは奥美濃に通い続けたいと思います。出来れば残雪を利用したスキー登山もやってみたいし、沢登りにも出かけたいと思っています。

 以前とは違い林道も奥まで延び随分と登りやすくなった奥美濃ですが、如何せん開発の荒波に曝され多くの自然が消えてゆく運命です。
 今のうちに少しでも奥美濃の自然に触れ、古来からこの地域にある自然を求めて「樹林の山旅」を楽しみたいと願っています。

 新緑の季節は元論、全山紅葉の季節もまた良いものです。そして雪を纏った県境尾根をスキーで駆け抜けるのも良いかもしれません。是非ご一緒しましょう。



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