北アルプス・赤木沢沢登り


北アルプス黒部源流・赤木沢(平成16年9月2日から4日 前夜発1泊2日) 雲水

 参加者:CL雲水・SL公男さん・敏夫さん・一夫さん・丈夫さん・富子さん(計6名)
 9/2 稲美役場(19:50)~中国道滝野社IC~舞鶴道小浜西(21:52)~北陸道呉羽PA(1:15)仮眠
 9/3 呉羽(5:05)~立山IC(5:23)~有峰林道入口(5:45)~折立駐車場登山口(7:00)出発~太郎坂~太郎平小屋(10:10)~カベッケガ原(12:55)~薬師沢小屋(13:15)着(泊)

 9/4 小屋(5:00)起床、朝食(6:10)入渓~赤木沢出会(7:25)~赤木沢大滝(9:00)~沢登り終点(10:10)稜線(11:10)~赤木岳・北ノ俣岳(11:55)~太郎平小屋(13:18)~折立駐車場(16:00)~亀谷温泉入浴(17:30)~北陸道立山IC(18:13)~南條SA(20:30)~山陽道三木.小野IC(11:30)~稲美役場(24:00)着


 9月2日 稲美町役場を出発。滝野社ICから中国・舞鶴道小浜西ICでR27、敦賀ICから北陸道を呉羽Pまで走り仮眠。 ここは割合静かで快適なビバークサイトでした。
 5時に起床し北陸道を立山に向かう。正面には朝日を背にした剣・立山連峰がシルエットとして浮かび上がる。 特徴のある剣本峰を中心に左には三の窓、小窓、大窓が、 右には別山、立山連峰、さらに目を移せば薬師岳までもが朝焼けの空に浮かぶ。
黒い屏風を立てかけたようなその姿を初めて見た。今日一日快晴が期待できることに嬉しさがこみ上げ眠気も一瞬に吹き飛ぶ。
朝も早いので有峰林道入口には05:45に着く。6時の開門に合わせ既に4~5台並んでいた。 通行料金1800円を支払い折立へ向かう。
8月の台風により大きな被害を受けた北陸地方だが、この林道はさして大きな被害に遭わなかったようで無事折立に到着。 広い駐車場も近隣からの登山者や釣り人の車で一杯。我々もテントサイト前の良い場所に車を停める。
軽い食事とパッキングを済ませ前年よりは軽くなったザックを担ぎ登山計画書を避難小屋へ提出し07:00太郎平小屋目指して出発。
気持ちよく晴れた秋空の下快調に登る。三角点までは樹林の中、花の少ないこの時期、御前タチバナの赤い実が一際目立つ。
急登を小一時間一本立てる。三角点を過ぎると視界も開け、薬師岳への稜線から剣の本峰が三角錐の山体を現す。振り返れば遠くに浮かぶ白山連峰、その左には大日岳などの奥美濃の山々、足許には有峰湖が湖面を見せている。
ホントに気持ちの良い登山日和だ。
akagi1 akagi2
太郎平小屋前でくつろぐ 太郎平小屋を振り返る

 今回のメンバーは脚が揃っていて太郎平小屋には3時間半、10:30頃到着、小屋の前のテーブルを囲んで早速ビールで乾杯。 北には薬師岳が大きく裾を広げ、沢を挟んで雲の平に高天原、黒部源流の山々、ひときわ際だつ水晶岳、
昨年は生憎の天気で、この景色が見られなかったのである。なんて素晴らしい景色だろう。
 コーヒーも飲み、ビールで少し火照った顔で太郎平を後にする。木道をゆっくりペースで降る。 振り返れば太郎平小屋の紅い屋根が我々を見送ってくれた。
 第1徒渉点で黒部源流の太郎沢を渡り、第2徒渉点で薬師沢左又を渡る。 名前の通り、昔は沢を裸足で渡っていたが、現在は橋が架かっており楽に渡ることが出来る。
さらに下降を続け針葉樹林帯を抜けると一面の笹原に出た、ベンチも設えてあり一休み。 大昔この辺りにはカッパがいたので「カベッケ原」と呼ぶそうである。
暫くで沢の音がだんだん大きくなり右も左も沢になったと思ったら目の前に小屋が現れた、 これが今日泊まる薬師沢小屋です。太郎平から2時間半13:30到着。

akagi8 akagi9
カベッケ原で 薬師沢小屋前テラス

手続きを済ませ部屋に荷物を置き小屋前のテラスでまたまた乾杯、暖かい日差しの下、 黒部源流と薬師沢との合流点でビール片手にみんなで語り合い楽しい時間を過ごす。
それでも時間が余るので、一寸黒部の偵察に右岸を下る。水量は平常の様だが流れが強くどこでも渡ることが難しい。 ましてや水量が増せば通行不能となる沢であることが実感できる。戻って食事を済ませ部屋に入り寝る事にする。 夜中中走ってきてやはり疲れているのか瞬く間に寝息が聞こえてきた。
 4日5時起床、05:30食事を済ませ沢支度を調え06:30出発。昨夜からの天気予報では午後から雨の予想、 予定を早めて出発し、降られる前に稜線まで到達する計画である。
 黒部源流にいよいよ足を踏み入れる。ルートは左岸を伝い赤木沢出合を目指す、 広いゴーロを進むと崖が張り出しヘツらないと進めなくなる。
膝下まででも冷たさに脚がしびれる感じがする、ましてヘソ位まで浸かると流石に堪える。 水線ギリギリをヘツろうと頑張るが失敗すると冷たい目をみることになる。
heturi akagi3
黒部源流をへつりで 綺麗な滝が続く

私は幸い落ちることもなく通過したが、後続の誰かが落ちたようである、ご愁傷様。黒部の水は如何でしたか。
 何度かのヘツリを繰り返し遡上するがついに高巻きを強いられる。といっても難しいことはない、 高巻きの途中淵を上から覗くとエメラルドグリーンの水に悠々とイワナが泳いでいる、しかも十数匹。 見るからに大きそうなイワナの群れで、30センチはあろうかと思われる個体もみられた。
 赤木沢の出合で地元のグループに追いついた。我々と同じ赤木沢に入るらしい。
その出合は小さな堰堤状の段差があり黒部本流側は大きな淵である。赤木沢へは黒部の左岸の大岩をヘツって入っていく。 出合だけは狭いが上流は大きく開け明るい沢である。赤木沢の岩盤は赤茶色で、その名が示すように赤い岩が多い。 上流には幾重にも重なったナメ滝が白い布を垂らしたように豊富な水量を滑り落としている。
滝を登るにも難しい滝はなく快適に遡上していく。雲は多いものの時々薄日も差す天気、 しかし確実に悪化の傾向が見られるのでノンビリしていることは出来ない。急かされるように先を急ぐ。
30m大滝前で休憩し、いよいよ大滝の高巻きに取りかかる。といっても、しっかりした踏み跡があり忠実にそれを辿ると大滝の上にでる。 振り返れば雲の平が見えるものの頂上は既に雲に覆われ行く手の稜線も厚い雲に隠されている。
2本目の沢が左岸から合流、これを溯る。登るに従い視界は開け快晴なら360度の展望が得られたであろうが、 天気は更に悪化雲が低く垂れてきた。水線を最後まで辿りついに赤木平の一角に登り着く。

akagi5 akagi6
赤木岳の草原を登る 薬師岳を望む

昨年はこの赤木平で一夜のビバークを予定したが果たせなかった所だ。ここで沢靴から登山靴に履き替える。 沢では威力を発揮する沢靴も草原の登りでは滑って全く使い物にならない。 急いで装備を調え赤木岳山頂目指して傾斜の増した草原を這松を避け縫うように進む。 ガスのため視界が無くがむしゃらに登る、ついには這松を漕ぎやっとの事で稜線の登山道に飛び出した。
 赤木岳より北の股岳寄りに出たものと思っていたが実際は赤木岳の黒部五郎寄りへ出ていた。 予定していたとおりのコースを辿ったと思われる。後は只ひたすら太郎平目指して主稜線を縦走、 北の股岳を越えた辺りから遂に雨が落ちてきた。
慌てて雨具を着け後は休むこともせず歩き続け午後1時過ぎ太郎平小屋到着。明日も雨の予想でこのまま下山することにする。
小屋に理由を告げ後は一目散に駈け下る。下山道は既に沢状態と化し昨年同様沢降りとなる。
午後4時過ぎ一度休憩しただけで折立に到着、雨も上がり荷物を纏め駐車場を後にする。 有峰林道ゲートを抜け国民宿舎「亀谷温泉」で入浴、冷えた体を温め一路稲美町へ。
途中名物の南條の「おろしそば」を食べ12時過ぎ稲美町役場到着解散。
 2年目にしてやっと念願の赤木沢遡行が出来大変満足の沢登りであった、 最後の日が悪天候のため一日短くなりましたが結果的に費用は安く行けました。
又機会があれば行ってみたい沢です。北アルプスの沢登り、今度は黒部の上の廊下にも挑戦したいと思います。

同行の丈夫さんからの報告

 沢屋なら一度は行きたい、黒部源流・赤木沢である。
胸をワクワクさせながら、折立駐車場を後にブナ樹林の溝状で足元の悪い太郎坂は、 登り始めから急坂でジグザグ道である。
 ひと登りすると展望が開けて小広い三角点に出た。 この辺りから道も良くなり、敷石や木道で歩き易くなる。
 天気は初秋の爽やかな好天気。周りを見渡せば有峰湖、遠くは大日岳・立山・剣岳が青空にくっきりと見える。
鼻歌気分で進むと太郎平小屋が見え、一気に小屋まで登り、目の前の薬師岳を眺めながらビールで喉を潤す。
一息入れてから、石のゴロゴロした道を下り、笹の原っぱに出て木道をしばらく歩くと、カベッケが原に出て、 目の前が薬師沢小屋である。小屋に荷物を置き、時間もまだ早いので、外に出てビールを飲みながら雑談。
夕食を18:00に済ませ、19:00には深い寝りに入っていた。

akagi7 akagi0
太郎平小屋をバックに 折立からの登り

  9/4:AM5:00起床・朝食後、沢装備に身を整え、6:10 入渓!
 小屋前の吊り橋横から、黒部川源流に足を踏入れる。沢は男性的で水音はゴォーゴォーと音を立て流れ、 岩・川幅等何もかもスケールが大きい。
水は針を指すような冷たさ、しばらく河原を歩いたり、高巻きを繰り返していると、 目の前に川幅いっぱいに広がる低い滝、美しさのあまり立ち止って見入る。 ここが赤木沢出会!左手が黒部本流、右手が赤木沢だ。
赤木沢方向に少し登ると豪快な、二段(20m)滝・・・美しさに息を呑むばかり。 滝の右側を登ると滑床、その先が優雅な滑滝、その滝の中央部を登る!自然の造型に感激。
さらに四段滝を登り、小滝・平滑が連続的に現れ感激で息をつく暇もない。
次に現れたのが、大釜のある四段(15m)滝。滝は連続的に8m滝・5m滝と現れるが、何れの滝も階段状で登り易い。 水・岩・緑・なんとも言えない美しさだ!!
 沢を更に登ると、30mと5mの二段大滝が全容を現し、ドゥドゥ落下する大滝直下である。 滝下は、水しぶきが舞い上がり肌寒い。沢登りのフィナーレにふさわしい大滝である。
 滝を登る事はできず、右側(左岸)を高巻きして大滝上段の落ち口に下り、さらに上流へと上り詰めると、 しだいに水量が減少し、細々とした流れの中森林限界を超えると周囲が明るくなり、水晶岳・雲の平が望め、 眼下には今登ってきた赤木沢が美しく展望出来た。流水が無く、石がゴロゴロした涸れ沢を登ると草原の斜面に出たので、 沢登り大成功!全員で赤木沢をバックに、記念撮影・・・
 登山靴に履き換え、草原及び這松を藪漕ぎしながら稜線に出て、赤木岳・北ノ俣岳・太郎平小屋へと下山する。 この頃から赤木沢との別れの涙雨が降り出し、明日も雨と判断して、小屋泊りの予定を変更し、 一気に折立駐車場まで下山する。
 雨で冷えた体と疲れを温泉で癒し、一路稲美役場へと帰路する。
 今回北アルプス黒部源流・赤木沢に入渓し、大小の滝、渓流の淵やナメの美しさ、豪快な滝を越える爽快さ、 濃厚な自然に分け入る楽しさ、本当に気持ちが洗われる思いでした。
 しかし自然を相手に行動する事は、いつどの様な事か発生するか分からないのが自然!良い体験をしました。 これからも、いろいろな事に対処出来る様に努力したい。ありがとうございました

同行の敏夫さんからの報告

 9月3日06:00有峰林道のゲートが開き先日の台風による爪跡が残る林道を有峰湖を眼下に眺めながら折立の登山口に向かう。
30年ぶりに訪れた折立は近代的な野外施設が作られ広いキャンプ場は色とりどりのテントで賑っていた。
そこには昔日の面影は残ってはいなかった。立派な水洗便所と避難所が登山者にとっては有り難かったが・・・・・ からりとした明るさが何か眩しく感じられ秘境と言われた有峰折立は過去のものになってしまった寂しさがこみ上げてきた。
登山届けを提出し07:00出発する。登山道沿いの左手に愛知学院大学の遭難慰霊塔があり参拝をして樹林の中の急坂を登る。 取付きからの急登は小屋泊りの軽装とは言え寝不足の身には堪える。
視界の利かない樹林帯の中を喘ぎながら1時間で平坦な休憩地を見つけ一息つく。
私を除く他のメンバーは昨年もこの道を登っている。30年前の記憶など無きに等しいもので目に付くもの全てが珍しい。
やがて視界が開け1870.6mの三角点を越えると道は平坦となるが木枠で石畳が敷かれ景観の良い所には休憩用のベンチが置かれ無粋なことこの上もない。 道の両端は荒れ果てて埴生の後退は見るからに痛々しい。
左手に薬師岳の稜線が眺められるようになると太郎平小屋の赤い屋根が見えてくる。
休憩したいのを我慢して10:10 太郎平小屋に到着。
予想以上の早い到着に気を良くして薬師岳を背に冷えたビールで乾杯する。
快晴無風、周囲は遮るものはなく黒部源流を囲む山々を一望出来る。 2250mの草原はこのまま寝転んで居たい様なのどかな気分だ。
他のメンバーは昨年来た時は雨とガスで何も見えなかったと今日との違いを強調する。 「行いが悪い人が参加していたのでしょう」と言った所で皆のひんしゅくを買う。
右手には主稜線に続く縦走路が延びている。11:00薬師沢の小屋を目指して出発。
太郎平小屋裏には立派なバイオトイレが立っており清潔で良いなあと話しながら側を通ると使用料500円の表示。 余りの値段の高さにびっくりする。
埴生保護の為登山道は木場道となり主稜線からは左手へと下ってゆく。 最初は急な下りから始まり支沢を横切る頃から平坦となる。小さな掛橋を渡り薬師沢源流の清水を味あう。 此処から見上げる薬師岳は北面の大日岳から眺めるのとは異なり平坦で全く迫力がない。
草原の中に敷かれた木場道を進むとやがて一面笹に覆われた明るい感じの湿地帯に出る。
頑丈な椅子とテーブルが置かれ休憩にはもってこいの場所である。 雲水さんが「カベッケ原ではないか」と言うので「いやこんな感じではなかった」と否定した所、 富さんが「かべっけ原」と書かれた標識を見つける。
「昔来た時はもっと神秘的で気味悪かったんだけどなあ」と言い訳するが30年前の記憶ほど頼りないものはない。
カベッケ原の由来を説明するが余り信用してくれないのでそれでは小屋で聞いてみようと言うことになり一投足で13:10薬師沢の小屋に着く。 小屋は黒部本流と薬師沢が合流する左岸上流にあり古き良き感じを残した小さな山小屋である。
此処で黒部川は両岸が一気に狭まり対岸の雲の平に向かって小屋の前からは立派な吊橋が懸かっている。 42年前の最初に訪れた時は吊橋はなく野猿であった。
吊り下げられた篭に乗り自らロープを手繰り寄せ対岸に渡った記憶がある。
当時の黒部川は入山者も少なく簡単な仕掛けで40cmの岩魚がたやすく釣れたことを覚えている。
小屋には感じの良い若夫婦と若者の3人がおり宿泊手続きを済ませ2階の個室に案内される。 二段ベッドの1人一畳はあるゆったりとした部屋だ。荷物を置き黒部川に突き出たテラスの上で早速ビールで宴会を開く。
 先ほどのカベッケ原の由来を富さんが小屋の若衆に尋ねたところ私の説明と大差はないと言うことで面目を施す。 夕食は17:30からでそれまで時間は充分にある。1L入りの缶ビールを追加注文し杯を傾けていると対岸に登山者が現れた。 雲水さんが吊橋を渡り黒部川下流の探索に向かう。やがて太郎平からの登山者も続々と到着し小屋は活況を呈してくる。
ガイドを連れた女性客も多く小屋の前で盛んにストレッチ運動を行っている。それを肴にビールを飲む。 上空には一寸気になる雲が流れ始めた。明日の遡行ルートを小屋番に相談に行くと親切に注意箇所を教えてくれる。 入口にある靴箱を見ると25足の登山靴が並んでいた。
夕食は宿泊者全員が一緒に揃って食べる。小さな家庭的な山小屋だから出来ることなのであろう。 その上御飯、味噌汁は食べ放題。おかずも品数多くビールの酒肴にもぴったり。食事もビールもぐんぐん進む。 雲水Lは立場上余り飲まず、私と一夫さんの2人がピッチを上がる。
夕食後一夫さんがテレビで19:00の天気予報を入手。秋雨前線の北上で明日午後より雨との予報。
雲水Lと相談の結果明朝の出発を1時間繰り上げて06:10 の出発とし、稜線には12:00到着を目指して頑張ることを申合わせる。
空を見上げると月が雲間よりぼんやりとした姿を覗かせていた。明朝の準備を整えて20:00就寝。

 9月4日曇り後雨
05:30からの朝食を素早くとり終え遡行の準備を手早く整える。
他の登山者より服装の珍しさも手伝ってか「何処に行くの」と盛んに声を掛けられる。
06:10曇空の下小屋の前より踏跡を辿り黒部川に降り立ち大石が散乱する左岸を進む。 両岸の支流から土砂、流木が大量に流れ込み山腹には崩壊の跡が生々しく残っている。
黒部川の遡行ルートは全て左岸である。暫くして小さなゴルジュとなり腰までのへつりで突破。早朝の水浴びは流石に冷たい。 次のゴルジュは踏跡に沿って高巻きを行うが大雨の為一部が崩れており結構緊張を強いられる。
ルンゼを下降しまたもやゴルジュに出合うが水中に岩棚があり臍までのへつりで何とか突破しナメ状の流れに出る。 淵には大きな岩魚が20匹余り悠々と泳いでいた。此処で男性4名の先行パーテイを追い越す。
声を掛けると地元のメンバーで服装はショートパンツ、沢サンダルの軽快そのもの。 勝手知ったる地元の沢であれば此れぐらい気楽に動けるものなのかと感心する。
やがて岩が堰堤のように川幅一杯に盛り上がり大きな淵となり左岸より赤木沢が合流する。
赤木沢の出合いは両岸が狭まり深いゴルジュとなっており左岸の岩場をトラバースし上部の滑床に降り立つ。 07:100 嗜好品を腹に納め装備を再点検して07:45出発する。
眼前には美しい滑滝が川幅一杯に懸かり我々を出迎えてくれる。雲水Lを先頭に女性を挟み左岸を直登する。 全身シャワーを浴びるが足場はしっかりとしており快適に登り落口に立つ。
すぐに赤褐色の長さが50mはあろうか美しいF2が待ち受けている。これもLが先頭を切り流芯を一気に登リ切る。 右岸よりウマ沢が滝を落としている。正面には4段30mを越すF3が現れる。 大きな滝壺は美しいほどに青く澄み切っており時間に余裕があれば泳いで楽しみたいところだ。
F4は階段状の滝で白いレースのカーテンを落としたように水が流れている。 各人自由にルートを選び童心に返って水と戯れる。
両岸が狭まり今までとは異なる桶状のF5が現れるが右岸を快適に登り落口に立つ。 F6、F7と美瀑が連続するが全てが似通った様な滝で区別をつけるのが難しい。
垂直に落下する滝とは異なり階段状かナメ滝の連続で豪快に流芯を登れるので楽しいの一言に尽きる。
最近はガイドを頼んでの入渓者が多く、 別名観光沢と言う有難くない名前を付けられているが幸いなことに谷筋にはゴミ一つ見当たらない。
5mの幅広の滝を越えると前方を50mの岩壁に遮られる。右の奥まった所に二段35mの赤木沢最大の大滝が現れる。 豪快に大量の水を落下させ盛んに飛沫を上げている。上段の滝は此処からは仰ぎ見ることは出来ない。
この沢で只一つ直登不可能の大滝である。上空には暗雲が流れ始めた。これから稜線までは雨との勝負である。
腹ごしらえをして09:20 二手に分かれて左岸の急峻な草付の岩場の高巻きを開始する。 雲水Lは真直ぐに、私、一夫さんは左斜めにと踏跡を辿る。
上部で一緒になり2段目の落口に下降する。上部5mの滝は左岸を直登し落口に立つ。 下を眺めると随分と高度観があり遥か下方の川床には先ほど追い抜いたパーテイが休憩しているのが見える。
左岸から赤木平への支流が入るが二つ目の支流にルートを取り赤木岳を目指す。 頂上に突き上げる支沢は入口に5mの垂直の滝を掛けるが順層なので容易に乗越える。
やがて谷はゴーロ状となり水流も消え源流に近いことを教えてくれる。小さな這松を越えると周囲一面にお花畑が広がった。
振り返ると黒部の源流を織り成す山々が指呼の間にある。10:10 此処で登山靴に履き替え身軽になり、 美しい草原をゆっくりと稜線を目指して登って行く。赤木岳南の肩に到着し山頂を目指す。
11:05赤木岳標高2622m、予定より1時間早く着くことが出来た。ガスの襲来と共に霧雨が降り出して来た。 間一髪の差であった。
上の俣岳を越えた所で本格的な雨となり霧と大粒の雨の中を一気に太郎平の小屋を目指して駆け下る。 登山道は小川と変わり靴はびしょ濡れである。13:10 太郎平の小屋に到着するが中は避難した登山者で溢れていた。
好天であれば宿泊し明朝薬師岳に登る予定であったがこの天候では明日の好天は望めそうにない。
雲水Lと相談の結果このまま一気に折立まで下ることにする。予約していた宿泊を解約し13:30大雨の中下山を開始する。
登山道は濁流と化しておりジャブジャブと茶色い流れの中を下って行く。途中大雨をついて登って来る多数の登山者と出合う。 降りしきる雨の中を一気に下り折立の登山口に16:00に到着。
亀谷温泉の湯船に身体を沈め雨に叩かれ冷え切った身体を温める。雨中の北陸道を走り稲美役場23:20無事到着。


- Copyright © 2004-2018 Yabuyama Unsui -
Produce by Τoshio Εnomoto