大山・三の沢から槍が峰再訪

 米子から見ると裾野を広げた姿から「伯耆冨士」と呼ばれる大山(1710m)は、 冬の季節風の影響を強く受け積雪量も多く、中国地方で唯一のアルペン的な山容を誇ることで知られている。
 米子側(西)だけがなだらかに裾野を日本海まで広げ冨士の名に相応しい姿ですが、 北面と南面には崩壊の激しい斜面が荒々しい姿を剥き出しにして屏風のように立ちはだかる。 とりわけ南壁には、ブナの原生林が広がり、春の芽吹きや秋の紅葉を求めて多くのカメラマンが集まり、 交通渋滞を引き起こすことでも有名です。
 今年4月2日に計画をしたが、生憎の天気のため中止としたルートである。 神戸のアイゼントレが中止となり、急遽計画を決め明宏さんとひろみさんの3名で行ってきました。 今シーズンは雪が多く相当の困難を覚悟しての挑戦となりました。
 期待に違わず、天気予報どおり午後から晴天に恵まれ念願の景色を堪能することができた。


【山 域】鳥取県西部(米子)
【場 所】三の沢から大山天狗が峰
【地形図】大山
【日 時】2006年4月16日(日)
【コース】文殊堂→三の沢→槍が峰→天狗が峰、下山は槍尾根を戻る。
【参加者】CL雲水、明宏さん、ひろみさん、 (3名)
【天 気】曇りのち晴れ


三の沢俯瞰
槍尾根稜線から望む三の沢大堰堤(写真中央)
 早朝5時稲美町を出発。新しい愛車「ラッシュ」で快調に中国道・米子道を経て文殊堂には8時過ぎ到着。 単独行の山スキーヤーも三の沢を目指すようでシールを着けて先に出発、我々も支度を調え三の沢へ足を踏み入れる。
 昨年の秋と同じガスの中雪で埋まった沢を遡り休憩一回で最上部大堰堤に到着。雪のない時は右岸のガレを攀じ登ったが、 雪で埋まった斜面を簡単に登り堰堤上部に出る。一面の雪原を期待したが、雪解けのため一部ガレが現れていた。
 一本立て、行動食を食べていると幾分か明るくなってきたようで、少しだが上部も見えてきた。 北アルプスの涸沢を小さくしたようだと、どこかの記録に出ていたとおり。

 沢を横切り右寄りに登る。雪の上を歩いていても潜ることは全くない。雪のないガレ場を登った時より歩きやすい。 少しずつではあるが傾斜も増し念のためアイゼンを着ける。本日のもう一つの目的が、 ゴールデンウイークに北ア・北鎌尾根を予定しているので、足慣らしを兼ねてアイゼントレのつもりである。
 灌木帯に沿って雪面を登る。微かな踏み跡が尾根上にあり前回はこれを辿ったが、 雪のため踏み跡を期待できないので、行けるところまで行き尾根に上がる予定。
 なおも登り続ける。雪面をよく見ると足跡が付いているのを発見。先行者が居るようで、不安な気持ちが消え足跡を辿る。 時々ガスが取れ一瞬ではあるが周りの様子が判るようになる。上部岩壁帯が近づきやがて見覚えのある岩稜に沿って踏み跡は続いてる。
 稜線に抜ける草付きのガレた斜面を登り切ると槍が峰南峰のすぐ下のコルに到達。 前日からの悪天候で辺り一面エビのシッポが岩や灌木にびっしりと着いている。 4月とはいえ、まだまだここは冬山、慎重にトラバースし、やっと稜線に上がる。

斜面
槍尾根稜線へ向け急斜面を登攀中の仲間
槍が峰
槍が峰の鋭鋒群をトラバース
 痩せた尾根に出ると、今まで風の影響を受けることは無かったが、 尾根上は強風が吹き、バランスを崩さないよう歩かなければならない。 少し安心なことは、右側には雪壁が稜線間近まであり、万が一落ちてもシュルンドで引っかかり下までは落ちないと思う。
 痩せ尾根上を強風に煽られながら、風の弱まる間隙を突いて、小さい上り下りを繰り返し天狗が峰まで登る。 残念ながら、剣が峰へのルートは、雪稜が不安定で、ガスと強風のため諦める。
 天狗が峰のピークに腰を下ろし行動食をほおばる。僅かではあるが少しずつ明るくなってきたようだが、 ガスの取れる気配はない。時刻も12時を過ぎているのでゆっくり出来ない。
 重い腰を上げ元来たルートを辿りキリン峠への降りも慎重に辿る。槍が峰南峰をトラバースする頃からガスも取れ、 足許には三の沢が切れ落ち、大堰堤も見えた。(最初の写真参照)
 槍が峰は、三の沢側をトラバースするが、南峰を過ぎると反対側の壁沢側も見え、振り子沢から矢筈が山も見え出す。 山スキーヤーが振り子沢を滑っているのが小さく見えた。
 高度も下がり風も弱くなり落ち着いて展望を楽しめるようになる。 振り返れば、剣が峰に続く雪の稜線も望め、青空さえも現れ、冬山から一気に春山へと変わった。
 時々立ち止まり写真を撮る。正面には烏が山・足許には三の沢・二の沢・一の沢、遠くは蒜山三山まで一望。 尾根上は崩壊が進み両側とも切れ落ち油断できない。正面が一気に切れ、見覚えのある鉄柱が現れた。 キリン峠の鉄柱である。休まず最期のガレ場を降りようやく安心できる所まで降りてきた。

流れ尾2
烏が山をバックに(槍尾根稜線にて)
流れ尾4
振り返れば槍が峰の鋭鋒が姿を現す
 ここでしばし休憩。明宏さんは、ここから下に続く雪面をショートスキーで降る。
 ひろみさんと私は、草付きの斜面をもう少し降り、雪面を一気に文殊越え目指すこととし、 車で落ち合うことに決める。明宏さんがガレ場を降り雪面に降りたのを確認し我々も出発。
 暫くすると下の方から声が聞こえてきた。見るとガイドに引率された若者7・8人が鳥越峠から登ってきた。 話をすると彼らもここから谷へ降るようだ。
 彼らと別れ、藪を漕いで雪面に降り立つ。 傾斜も35度位、ツボ足でも潜ることはない。春の陽射しを一杯に浴びブナの林の中を快適に降る。 暫く降ると、スキーのシュプールに出会う。明宏さん以外にもここを滑って降ったようだ。
 段々傾斜も無くなり鳥越峠から奥大山スキー場へ下る道と文殊堂へ下る道の分岐点まで降りここでも一休み。  雪のない季節なら、鳥越峠経由でしか降れないが、春山の残雪は藪を隠しどこでも歩ける。

 日だまりで暫く休み、本日最期の登りとなる文殊越えに向け急斜面をジグザグに登る。 尾根上には半分ほど埋まった道標が峠であることを示している。
 これから降る文殊谷は、雪の無い季節暗くて狭い滑りやすい沢だが、雪で埋まった沢は明るく快適に降れる。 ほんの20分程でドライブウエイに出て三の沢駐車場まで戻る。明宏さんは、待ちくたびれたのかツエルトを張ってお休み中。
 明宏さんは、文殊谷を降らず、奥大山スキー場へ降りてしまい、ドライブウエイを戻る様になったが、運良く 朝会った山スキーヤーに車で送ってもらったそうで、目出度し目出度し。
 天気も晴れ渡り、三の沢からの南壁を写そうと多くの観光客がカメラ片手にうろうろ。 出発間際にも山スキーヤーが一人滑り降りてきた。 この時期多くのバックカントリースキーヤーが広い雪原を滑りに来ている。 来シーズンは是非テレマークで三の沢や振り子沢を滑ってみよう、お付き合いください。
流れ尾5
鐘掛け峠からの大山南壁
 帰りは鏡ヶ成へ出て、烏が山を眺めながら蒜山高原までドライブ。 新装なった蒜山高原休暇村で展望風呂に浸かり、雪の消えた蒜山三山を存分に楽しむ。
 蒜山ICから米子道・中国道と走る。道路脇に植えられた沢山の櫻を見て無事稲美町へ帰着。

 二度目にして三の沢や東大山の概要を理解できました。来シーズンは、スキーを使って機動力のある山行に挑戦です。
 今回の山行は、天気にも随分助けられたが達成感のある雪山でした。 北鎌に向け、足慣らしにはなったことでしょう。さあ 次は本番です。 頑張ってみます。

 ひろみさん、明宏さん、お付き合い有り難うございました。そして北鎌もよろしく。



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