或る人に問われた。
「なんでチェブラーシカが好きなん?」
私は答えに窮した。なぜならすべてが。だからである。
「DVD貸しますから…観たらわかります。」
と回答から逃げてしまった。

後日、返却されたときに
「ワニの声が怖かったから途中で(ロシア語から)日本語に替えちゃった♪」
とチェブラーシカに関してまったく感想をもらえなかった。

魅力を伝えられなかった私が悪いのだろう。

そんな反省をこめて、このたび魅力について総力を挙げてこの場で伝える所存である。

声について話題がのぼったので、まず声のかわいらしさについて述べるとする。
ロシア語の声ももちろんかわいいのだが、日本語吹き替え版もとてもかわいい。
チェブラーシカ役には、ポケモンのピカチュウでおなじみの大谷育江さん。
純粋な少年のような声でやや自虐的なセリフを発せられると母性本能がくすぐられる。守ってあげなければ、と自然と思うようになるのである。(作中はワニのゲーナが我々の代替としてその役割を担っている。)

次に造型的な部分に触れてみよう。
熊のようでサルのようなナゾの生物、チェブラーシカ。
絵本の時点では、どちらかというと狸のような生き物として描かれている。
きっとそのままでは人気はでなかったであろう。
ひとえにレオニード・シュワルツマンの表現が見事であったというしかない。
チェブラーシカの話は全4話であるが、それぞれチェブラーシカやゲーナは回を経るたびに作りなおされており、若干違いがあることに気づく。

ちなみに私が好きなのは2話目のチェブラーシカ。

1話目はロシアに着いたばかりだからなのかぼさっとした感じ。

2話目はロシアになじみ、余裕が出てきた感じ。

3話目は眉毛がなぜだかりりしい。

4話目は頭がまるっこい。

作品によっても生じるイメージの違い。

それと同じくグッズのチェブラーシカもかわいいのや、微妙なやつがいる

何がチェブラーシカのかわいさを作り上げているのだろうか。


1話目からの考察。毛がぼさっとしたやぼったい感じが野生の生き物を連想させるという部分をマイナス要素と捉えるならば、毛並みの揃っていないことはチェブの魅力を十分に引き出さないと考えられる。

3話目眉毛の点。眉毛のサイズや位置(目を含め)が違うと、大きく雰囲気が変わるということが伺える。目力の強いチェブは自立を表現してしまうため、母性本能をくすぐるかわいさから遠のいてしまうのである。

4話目頭が丸っこいという点。はっきりいうと頭でっかち。顔の面積が小さいと目の大きさが際立たなくなり、かわいらしさが半減する。女の子があこがれる浜崎あゆみの大きな目のようなもの、である。


キャラクター造型の基本は丸であり、ディズニー・手塚治虫のキャラクターの基本的な骨格も丸からできているのは有名な話である。

チェブもそれと同様に多くの丸で構成されている。
頭・耳・目・眉・胴体・足・尻尾…

しかしそれに反して一番目立つ鼻がカクカクの三角形なのである。
丸は中心に据えられた三角に収斂されていき、しまりが出てくる。

チェブのなかで、かわいいと思われる場合、その三角の線を延長していくと…
眉と目の空間部分(ヒトで言うと、おでこと眉間)が逆三角形ラインを形成しているのである。チェブの黄金逆三角形が形成されているチェブは安定したかわいさを発揮するのである。

 
 

最後は“しぐさ”について。小さいので相手を見るときはいつも上目遣い、その物欲しそうな瞳でしゃべったかと思うとネガティブ発言で下に目が動き、耳が下がる。

その一連の動きがとても芸術的である。これは映像で感じられるかわいさであり、これこその点は監督や人形師の技術のたまものである。

他にもかわいい部分もあるが、もはや言葉で語ることができない自己の精神的な範疇に在る。

それぞれが映像で観てこそ監督のすばらしい表現が織り成す独特の世界を味わうことができる深奥なる部分ではなかろうか。




やはりとどのつまりは

「観たらわかります。」

の一言に尽きるわけである。


 おすすめの

新版 チェブラーシュカとなかまたち』新読書社,2001…表紙はチェブ中身タヌキ!
チェブラーシカ(おひさまのほん)』小学館,2007…お子様に!
チェブラーシカ(ピクチャー・フレンズ)』プチグラパブリッシング2001…いつでもチェブを

DVD
チェブラーシカ』…ジブリの方が簡単に手に入るかと。

サイト
チェブラーシカ公式サイト…グッズの情報は要チェック!
JR西日本マナーキャンペーンポスター…2009年チェブ40周年×JR西日本の奇跡のコラボ!

記事
チェブラーシカがいっぱい@秀逸のサイトを一挙公開!:イザ…勉強になります。