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技術資料室
A04 電圧降下と簡易計算式     y-326
電圧降下とは     
電圧を印加したケーブルや電線において、末端
になるに従って、電圧が低くなっていく現象で、
変圧器二次側から末端までの間など、電線の両
端に発生する電位差の値を示します。

これは電線やケーブルのわずかな電気抵抗によ
り電流が流れることにより発熱が生じ、電線全体
が熱を発生させる負荷と同様になり電圧が低下
することを言います。     

末端までの電圧降下
  =送電端の電圧Vs-受電端の電圧Vr     

          Vs 変圧器二次側の電圧  
          Vr 末端の電圧  
       
電圧降下率%=(Vs-Vr)×100/Vr   
   
内線規程における許容電圧降下   
電源供給方式  こう長    許容電圧降下 
 幹線
  変電設備なし  60m以下  2%以下 
120m以下  4%以下 
200m以下  5%以下 
200m超過  6%以下 
   変電設備あり 60m以下  3%以下 
120m以下  5%以下 
200m以下  6%以下 
200m超過  7%以下 
       
電圧降下を考慮した幹線設計 (簡易計算式)    
幹線設計をする場合、電圧降下は許容電流と同
様に重要です。
    
電圧降下の計算は、電線の抵抗やリアクタンス
を使用した計算は、電線種別が多くなると非常
に煩雑であり、一般的には簡易式を用い計算し
ます。    
   

電圧降下の計算例 (変電設備ありの場合)     
単相3線式を幹線とし、キュービクルから分電盤
までCVT150゜を200m敷設そこに、負荷電流
250Aが流れる場合を計算します。    
 よって、キュービクルから分電盤の間において、
供給電圧が5.93V低下していることがわかります
 
上記の表から、200mを超過した幹線こう長で、
構内に受電設備がある場合7%以内の電圧降下
があれば問題ないと判断されます。 
 
    
許容電圧降下V =105V×0.07=7.35V 
   
しかし、この計算ではキュービクルから分電盤ま
での電圧降下を計算してます。

分電盤は負荷の末端ではなく、分電盤の先に電
気機器が接続されます。実際にはこの電気機器
に対し、分電盤からVVFケーブルなど、細い配線
が接続されここに、10~12Aという大きな電流が
流れると電圧降下も大きくなります。  
       
VVFケーブル2.0-2cを分電盤から20m敷設し
10Aの電流を流した場合。
VVF2.0-2cの断面積は、1.0×1.0×3.14
                    =3.13㎟となり。
 
                     となります。
このように、キュービクルから分電盤までの間で
大きく電圧降下すると、以降の末端負荷までの
配線での電圧降下が致命的となり、適正な電圧
を供給できなくなるおそれがあります。

このような場合キュービ
クルから分電盤までのケーブルサイズを大きくし
幹線の電圧降下をできる限り抑えることが望ま
れます。
     
分電盤1次側の電圧降下を低減させるために幹
線サイズを1ランクアップさせ、CVT200゜で計算し
ます。
     

これにより、幹線の電圧降下が許容できる値に
緩和されます。 
    
CVT150゜敷設の幹線電圧降下 
   5.93V+末端までの電圧降下2.26V=8.19V
     
CVT200゜敷設の幹線電圧降下 
   4.45V+末端までの電圧降下2.26V=6.71V
     
これにより、幹線サイズをCVT200゜にすることに
より、(許容電圧降下 7%)7.35V の許容でき
る範囲となり、分電盤2次側での長距離配線敷
設が可能になり無理のない計画設計となります。 
       
3相3線式、単相2線式の場合、対象となる電圧
降下は線間によりますが単相3線式、3相4線式
の場合は対地間となります。

単相3線式の場合、使用できる電圧は210Vとな
っていますが、電圧降下の計算は105Vを基準と
して算出することとなっています。