技術資料室
A01  需要率の設定    y-326

需要率は、その電気系統における需要
電力と最大電力の比率です。

変圧器容量や分電盤の主幹、供給ケー
ブルサイズを選定する時に使用する要素
です。

例えば、100KVAの変圧器に20KVAの空
調機が2セット、10KVAの換気ファンが
6セット、接続された場合、全負荷は
100KVAになります。

しかし、空調機が朝夕で別々に動くことが
決まっていたり、換気ファンが同時に運転
しないなどの条件があれば、全負荷
100KVAになることはありません。

よって、需要率70%や60%に減じることが
できます。

このように、電気機器が同時運転しないこ
とを予測、想定して、変圧器や主幹容量、
幹線ケーブルサイズを調整すること
がで
きる。

このことが、需要率と言います。

需要率の設定は、電気設備のイニシャル
コストにきわめて大きく影響します。

例えば、需要率100%で計算した場合と
80%で計算した場合を比較するとケーブル
サイズ、遮断器容量、変圧器容量などが
ワンランク以上増減します。

需要率設定には設計対象設備の運用方
法を十分理解し、最適な需要率を選定しな
ければ、過剰設計にもなり、また、容量不
足による設計不足になるおそれがあります

特に、工場などでは一律な需要率の選定
は非常に危険であり、一般的な電気利用
の常識はできません必ず、綿密な運用方
法のヒヤリングによる設計基準の補正が
必要です。    
         
各種負荷の需要率の考え方    
         
照明設備の場合、昼光利用などによって
全点灯しない場合が考えられ、変圧器や
幹線の需要率を50%程度まで下げられる
かもしれません。

しかし、空調機の場合、需要率は100%
です。
場合によってはインバーターへの電源供
給が過大になり、定格電流の120%まで
電流が流れることもあります。

換気ファンや排水ポンプ、エレベーターな
は60%程度で幹線計算するというように
経済的設計が可能になります。