MEMBER'S PAGE YOSHIKI(12)
人が人に恋する心理。それは、自分の心理状態が、相手の行動、しぐさ、表情、さりげない一言・・・と触れ合う一瞬に生じる。心に触れる何かが、忘れがたい心の躍動をもたらす。一緒にいたら楽しい。一緒に話していると、時間の経つのも忘れて話してしまっている。なぜ楽しいんだろう、なぜいつまでも話し込んでしまったんだろう、ふと突いて出る不思議にその人との何かを真剣に考え出す人も多いはず。その素地は、いろんな状況の中にある。出会いと言うめぐり合わせの邂逅。偶然にして、一期一会の出会いと言う機会。そこから人の付き合いは始まる。その瞬間に劇的な出会いもあれば、なだらかな丘陵を上ってゆく高まりのコースもある。 YOSHIKIの魅力を探る時、HIDEが]に入ったいきさつの中に、HIDE自身のYOSHIKIへの思いがどこかにあるとにらんだ。あの当時の]に入ろうなんて普通は思わない状況であった。世間の評判、人の忠告に反してまで入ろうと決意したHIDEの心の中に、この人だけとはやってみたいと引かれる何かがあったはず。しかし、HIDE自身も、]に入ったことは『そこばっかりは、今はわからない』と言うとおり自身も不明だが、『ヨシキの人間性っていうことになっちゃうのかなあ』と、“YOSHIKIの人間性”に原因を見出している。YOSHIKIがHIDEを自分のバンドに誘う際『とにかく見に来てくれ』と誘い、HIDEが見に行った。評判、忠告は悪いものばかりの中で『けっこう恐れてた]』を見、ステージングに度肝を抜かれたHIDEは、帰ればいいものを『一応、楽屋に会いに行った』。萎縮してしまってるHIDEの心に、向こうからトコトコ歩いてきた外人の子供みたいなのが『どぉもー』。『もう聞くと見るとじゃ大違い』。『“えっ!?”と思った』それがYOSHIKIで、『めちゃめちゃ愛想よくて、「打ち上げ来る〜?」みたいな感じで、もうめちゃめちゃ愛想よくて・・・。いやー、これはホント、会ってみなけりゃわかんないもんだよね、って思って・・。それから僕とヨシキの付き合いは始まるんですよね』(『夢と自由』P33)。このHIDEの予想を覆し、心を射抜いたYOSHIKIの“愛想”が、世間の評判、人の度重なる忠告をこっぱ微塵に粉砕したことは間違いない。自分の心理状態と相手の行動、YOSHIKIの“人間性”を感じる出会いがまずここにあったはず。それから何回かの打ち上げに参加してると、『ヨシキのいる打ち上げとか面白いっていうのがあったからね。なんか打ち上げに特異な世界があったからね』。『ライブに来たお客さんより多い人数が来てるような打ち上げだから。本当に何百人の人が来てるからね、打ち上げに。だって、MCで「どこどこで打ち上げやるから、みんな来いよ」「おおー!」の世界だから』(『VISUAL SHOCK』P59)。グラスは割る、消火器はぶちまける。初対面の奴とは、みそぎのようにケンカ。お店の人にはすごい迷惑で『とある渋谷の居酒屋に行くと、当時、それ系の金髪とか、髪の毛に色がついてる人たちが行くと、「ヨシキさんはいらっしゃいますか?」って、けっこう聞かれるんですよね。それだけブラックリストに載ってましたもんね。ただ、だからそういう人の噂っていうのは、なんていうのかな、そうじゃないヨシキの部分には、触れられてないなあっていうのは、今でもすごい感じますよね』(『夢と自由』p36)。『夢と自由』は、HIDEのオールナイトニッポンの肉声完全収録本。この部分の放送は1998年4月10日AM3時過ぎ。1986年頃の初付き合い(横浜へのステージ見学)から10年以上経っても、HIDEの口から、YOSHIKIの“そうじゃないヨシキの部分”を言わせる思いが強く残っていたことは、強烈なYOSHIKIの“人間性”を感じ続けていたからに他ならない。