MEMBER'S PAGE YOSHIKI(10)
HIDEのYOSHIKI個人へに抱く魅力」こそが、唯一HIDEの]加入の理由だった。他のメンバーとの関係では『それまで付き合いがないからね、他のメンバーは』(『PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK』P60)。しかも、]と言うバンド自体にも興味を抱いてなかった。]をどう思ってたかと言えば『んー、結構、非難されてるなっつうー』。テレビに出た事件で、彼らは雑誌社をある程度通した上でテレビに出ると言う当時のコースを通らず、いきなり出たもんだから雑誌社の機嫌を損ねていたらしい。シングルを出せば、雑誌社にも配布する慣わしをしてないと聞いてHIDEは、『ああ、やっぱりそうなんだ。そういうみみっちい奴らなんだ』と思っていたらしい。]への批判は、そのリーダーYOSHIKIのやってることへの批判でもあるなら、業界の慣習を通ろうとしなかったYOSHIKIへの批判に踏み込んで彼をも嫌悪すると言うのが心理の流れ。しかし周囲の評判や自分の心象も一部よくない中でも、HIDE自身はどう思っていたかと言えば『んー、あんまり何も考えてないでね、よく行ってた。ヨシキのいる打ち上げとか面白いって言うのがあったからね。なんか打ち上げに特異な世界があったからね』とYOSHIKIへの免罪符を口にするのである。]の音への興味はどうだったかと言えば『んー、あんまり好きだとは思わなかったけど。その頃自分がやってたのが、だから、結構お客さんなんかにわかってたまるか的なの。だから、アレンジ的に。それに、ほら、その頃]って結構歌謡曲っぽいアレンジが多かったでしょ?だから、そんなに好きではなかったのね』。しかも、HIDE自身にも明確な決意があった。バンド解散を受けて美容師で行こうと決意し『いろんな友達とかにも電話して。中には、だから、一緒にバンドやろうよって言ってくれる人もいたけけど、それでも『いやあ』っつって。『もう明日、髪切るから』っつって。切るって言うのはいうのはやっぱり、ねえ?ズルズルしたくなかったし、それからもギターを持っつていうのはみみっちいと思ったから、きっぱりやめちゃおうと思って。それからはもう、ハサミ1本でいこうと思って』(『同』59P)。 世間の評判、]と言うバンドへの魅力へもそうなし。他のメンバーとの付き合いもなし、]の音にも興味なし。しかも、自分は美容師でやってゆくという明確な意思があった。その方向で着々とバンド関係の整理に進んでいると言う状況の中、もう戻ることなどありえない事実が積み上がってるのに、なぜYOSHIKIに誘われて、気持ちがころっと変ってしまったか。不思議中の不思議。YOSHIKI個人のどこの部分がそうさせたんだろう。]の音に魅力を感じないと言うのは、YOSHIKIの音楽にもそう魅力を感じてなかったことになる。音楽家なら、その人への魅力はやはりその人の“音”にあるのじゃないのかな。我々も]が好きになった理由は、あの出で立ちから放つ心を揺らす綺麗なメロディーにあった訳だし、素人の自分達でさえ、音が魅力で引きつけられて行くと言う中でファンとなって来た。HIDEだって、YOSHIKIの繰り出す音が魅力だから、YOSHIKIになびいたと言うなら理解できるんだが、それじゃない。「そこまでハサミ1本でいこうと決意していながらヨシキに誘われて。そこがやっぱり不思議だよね。なんでそこで急に考え変えて]に入ったんですか」との市川さんの問いに『そこばっかりは今はわからない』。