消灯になって、すぐToshI、楽団横通用口から現れる。スタッフ5〜6人に両脇をガードされながらステージへ登壇。上がってすぐのステージ右側、向こう側、左側の客席へ手を振り、そしてToshIのピアノに着席。白スーツ上下に、白革靴、白ソックス、胸ポケットには、黒彩色に輝き粒を配したスカーフの飾りが、腰辺りまで垂れ下がっている。10分、@『春の願い』の演奏が始まった。ToshIを照らすスポットライトの中を、スモークの流れが方向を定めずに流れ行く。聞き入って動かない観衆の視線が、ToshIを照準に釘付けられて、頭の輪郭が微動だにしない。13分次曲へ、会場暗くなって、星空の静止の夜景が映し出され、A『星空のネプチューン』が始まると、止まった夜景が回転を始めた。暗いうちにピアノの弾き手は女性に代わって、私の正面には、ToshIの後姿が立っている。会場内のペンライトが、曲のリズムに合わせてゆっくりメトロノームに動き、ToshIは、二つのピアノの中央に立ち、正面(向こう側)へ向きながら、右手は顔横でリズムを刻み、時々は腰を下げて、力を込めて歌っている。星空は回り続け、ペンライトが泳ぎ続けて19分終わる。終わって T「皆さん、こんばんわ。えー、ようこそToshIフィーチャリングYOSHIKIディナーショーへ。前回、あのー、1月にここで初めて、こういう企画をやりまして、たくさんの方が来てくれました。2回目も来年ぐらいにやろうかと、やると言う(自信はあったんですが)、日本に帰って来た時に、XJAPANばかりじゃなく、近くで皆さんに ということで企画しました。よく来てくださいました。『星空のネプチューン』と言う曲、やっと今日は、メッセージを付け、オリジナルバージョンとしてリリースさせて頂きました。次の曲は、前回ここでやってDVDに収録、おそらく皆さん買って下さったと思いますが、ちょっと遅れたのはすいません。決してYOSHIKIのせいではありません。そのボックスセットの中だけにつけさせて頂いた曲をやります。ボックスの中の曲は、僕の実話の曲ですが、その中の曲B『なごり雪いつまでも』、聞いてください」。23分始まる。ピアノ演奏は、同じく女性、会場暗くなる。ToshI真上のシャンデリアが鈍く光っている。ToshIには、向こう二階の左右より、2つの照明光線が、照準を合わしてる。向こう向きで歌うToshIの姿が、YOSHIKIのピアノの側面に映り、動作の動きを揺らしている。曲のイメージと会場の暗さは、図らずも一致させているのだろうか。この会場の暗さは、当時の心境を反映させた演出だろうか。今日の髪型は、昨日の側面オールバックの流れではなく、ソフトな髪を後ろへ流してる。背中から下へ、黒い影が通り、両側の服の端が、ライトに光って、後姿の輪郭を作っている。体をひねって、下へひざを折って歌は終わり、うつむき加減に伴奏の終わるのを待った。30分終。女性ピアノ演者は、退席。T「『なごり雪いつまでも』でした。この近さというのは、すごくやりにくい。じゃ、次の曲は、サムライジャパンに入れましたC『春の息吹』と言う曲、聞いてください」。オレンジ色(黄色系)の照明が、やや暗く天井から照らされ、会場側壁には、結晶模様がゆっくり同じ位置で回転。一つの段落が終わると、左右の白い照明が、ToshIに当たる。伴奏はバイオリン演奏が中心なので、私の後ろの演奏団が動いているんだろうが、じっと聞き入った静止の中では、後ろを振り返るなどとても出来ない。観衆の顔は、動かない。35分終。終わって拍手、とその時、向こう側のドラムが打ち始まり、ステージには、昨日同様、ToshI名前(背中は武士ジャパン)入り黒Tシャツの軍団が、ステージに上がり、会場を盛り上げ、叫び声を発して、乱舞を始めた。D『武士ジャパン』とToshIの一声が響き渡り、ギター3人、フリーの9人(うち2人はマイクで歌う)がToshIの笑顔と共に表情豊かに無礼講。軍団の中には、チャリコンの受付の責任者やさっきToshIのピアノへ楽譜を運んだ人もいる。会場は総立ちの輪となって、中心の乱舞に輪を揺らしてる。はやし立て、こぶし上げ、叫ぶ姿を、カメラ2台が、ステージの動乱を激写している。「行くぞー!」とToshIがペットの水を客席へ注ぐ。ステージ下の客席に注ぎ入れると言うやわらかい流し方。向こうの客席、そしてこっちの客席。私のメモノートにもかかってしまい、このくだりの部分がにじんだ跡になっている。どういうわけか、かけられて嬉しいのであった。終わったと思ったら、再び武士ジャパンの続き、43分終わって、銀テープが打ちあがった。すぐにE『男のプライド』とToshIが叫んで、曲が始まった。同じ“のり”での楽曲、リズム、ステージ上の男達は、こぶし出し、飛び上がり、踊っている。カメラが下からのぞくと、ToshIがカメラをのぞき込み、カメラマンの頭に水をぶっかけ、顔面、頭髪に水しぶきを光らせ、ひざつき、ToshIを接写してゆく。カメラをのぞき込み、そして右手を指1本立てての突き上げで「男の・・・」と繰り返す。46分終。「ToshIスタッフの皆さんに拍手を!」と笑顔のToshIが慰労してドリンクへ。3人のギターはそこに残り、その他はステージを降りて、次の曲F『エアポート』へと進んだ。曲中、ピアノ演奏が入ってきたが、ステージ上では誰も弾き手なく、シンセが演奏しているのだろう(よく見えない)。ステージは明るく照らされ、よく見えるが、ギターの3人は、そう演奏する場面がなく、ほとんど止まった状態。やっと「だから人は 旅に出る・・・」の部分から大音量になって、ギターも演奏に加わった。52分終わり、3人のギターは下りた。T「ではここで、今日のパートナーを呼びたいと思います。大丈夫?大丈夫?(スタッフに確認)。YOSHIKI!」とコールすると、53分、通用口から当方の右側(3席向こう)の通路を、サイドをガードのスタッフの人壁に守られて、登壇、楽譜のファイルを胸に抱えて、満面笑みを作ると、ステージ向こうで、花束等プレゼントのファンが数人、ステージ下に群がった。プレゼントを受けて戻り、YOSHIKI「何、カップラーメンがある」T「何で、カップラーメンある?」とにこやかに笑いながら「サッポロ一番塩ラーメン」Y「しょうゆラーメン」とか会話して、それぞれのピアノへ座り、楽譜を準備、Y「暑いね」T「じゃ、YOSHIKIへの思いを歌った曲」と告げて、55分、G『クリスタルピアノのキミ』が始まった。順調に始まったかに見えたが、さあ10秒ぐらいかな、急に笑いながら手を思いっきり眼前で横振り、楽団へ向き横振り。Y「サッポロ一番、強烈で」と大笑いで腹抱えている。Y「みな、巻き戻して」と一人、あわてふためく。俺にはわからなかったが全然違うところを弾いていたとの事。弘法も筆の誤り、YOSHIKIも指の誤り。再び演奏が始まる。YOSHIKIは、楽譜を見ながら、左足はピアノ下へ長く伸ばされ、顔は少し右傾斜に傾き加減。楽譜を見ながら、体全体は前後に揺らしながら演奏。「あの時と同じステージ・・・」からミラーボールが回って、会場光の回転が始まる。YOSHIKIの衣装は、昨日と同じ、黒スーツに赤の模様入り絹(らしい)ショールを引っさげている。ToshI側のスモークが急に吹き上がり、YOSHIKIの何もない空間に白く流れ込んでゆく。「神様はいたんだよ」からバイオリンが入り、「あの時と同じフレーズ」から再びミラーボールが回転(いつ止まっていたのか、不明)、バイオリンがずっと続き、YOSHIKIの前のめりの力を込めた演奏が入って、「何もかも同じ 何もかも輝いてゆく もう誰もとめること出来ない・・・」と音が大きくなって、YOSHIKIのピアノ伴奏が続き、バイオリンとの協奏でフィナーレ、9時4分終わる。YOSHIKI、ToshIそれぞれ楽譜を片付け、Y「暑い!」T「冷房、効いてない?」Y「ToshI、暑くない?」T「ぜんぜん」、歩きながらY「シカゴの時、ToshI、皮着てて、手袋までしてて、暑くない と俺に仕掛けてきて、ToshIは・・・」T「YOSHIKI、きげんいいね。YOSHIKI、一人でしゃべって」T「YOSHIKIラジオがあって、そこに僕がゲストで出たんだよね。僕がラジオニッポンに出た頃、(YOSHIKIの答えは)Yes
、No、
わかんないの3つ。YOSHIKI、ラジオ出てもじゃべらない。その(アメリカの)ラジオに出た時は、アメリカの流暢な英語で、最近日本語もうまくなってきて、DJがうまくほめて」Y「自分で自分をほめないとやってられない」T「じゃ、英語でスピーチしてよ。フランス語でもいい」Y「ふーん。サッポロ一番のあと、きついね」T「この部分を、YOSHIKI、ラジオの収録にしてもいい?」Y「毎月、始めの1週にやる」。そして、収録が始まって、YOSHIKI、流暢な英語のナレーションを披露。セプテンバーとか言ってるのが聞こえて、曲の紹介やって、曲が鳴り始め(YOSHIKI伴奏で)、『Jade』をToshIが歌い始めたが、すぐ「(歌詞)忘れた」と言って「バツ!バツ!」叫んで、再び、YOSHIKI伴奏、『Jade』始まる。さわりだけ歌って、それで収録終了。皆、拍手で収録完了をたたえる。YOSHIKI神妙な言い回しで「次の曲は、もともとすごいので、この曲は、次の世界アルバムに入ります、英語バージョンで。今日は日本語バージョンで」。そしてH『Tears』のバイオリンの伴奏が始まる(9時11分)。YOSHIKIはToshIのピアノへ移り演奏。ToshI、こっちを向いて歌い始めて、2番からYOSHIKIのピアノ椅子に横掛けして、英語バージョンで歌う。次の一節から立ち上がり、YOSHIKIの背後で、客席への方向を変えながら歌う。間奏時は、胸下でマイクを両手で抱え持ち、わずかに伴奏に合せて首がリズムを取って動く。「流れる涙・・・」からYOSHIKIの弾くピアノ側面に移動、客席を右から正面へ移して終わりへ。歌詞が終わると、スポットライトはYOSHIKIのピアノへのみ当たり、19分、高音への連音が流れてTears
が終わる。T「えー何」Y「いつも弾いてて、ジーンと来ちゃうんだよな」T「昨日も言った」Y「感情の皮が薄い。喜怒哀楽が激しい」。YOSHIKIストローで水飲む。T「楽屋でもミルクとか、プリンとか・・・」Y「最近、丸くなったよね。サマーソニックで、時間押してて、スタッフがテンパッてて、本番遅れるわけに行かない。今何分前と言うと、(スタッフが)時計見せるんですよ。言えばいいのに」。T「(役者なんて、大変だな)機材がトラぶって、いつもYOSHIKIのせいにしてしまうんだよね。わかりやすい」。Y「(自分に責任あるのは)半分だよね。いや1/7だよ。俺ね、数学得意だったんだけど、うまくしゃべれなかった。体育もすごかった。マラソン大会、とにかく10番内で。俺たち、皆、頑張り・・・(クラブの話になって)ブラバン→サッカー部へ行って、退場させられた。サッカー、途中から飽きたんだよな。ToshIが昔、ユニフォーム吹いてた、俺がトランペット吹いてて、俺たちロックバンドだけど、その場だけ切り取ったら、何言ってんだかわかんない。来月から、怒涛の南米ツアー始まる。南米→アジア→アメリカ→ヨーロッパ」T「そんなに行って、いいね。メンバー、何とかしてよ」Y「なるべく世間を騒がせないようにしてるだけ。東京ドームも、18回してるが、キリが悪いので、20くらいしたい。東京ドームもいつも方向音痴で、それで自分のうちとかよくわかんない。昔、世田谷に家があるんだけど、今もあるんだけど、(タクシーの運転手に)どこへ、世田谷へ、世田谷のどこへ、世田谷へ、そしてわかんない。東京ドームの話だったか、昔、リハとか入れると聞くと、(お客の入ってない)東京ドームの5万席の中で、一人リハした。この前(たぶん1月のディナーショーの時)、ToshIの事で、直前にピアノ練習してたんだけど、ピアノの階、貸切」T「ピアノ入れるの、大変だった。ピアノ響くので、その階の人、移動してもらった」Y「きれいなピアノ弾くんで、いいじゃん」T「じゃ、やろうか。YOSHIKIのきれいなピアノ」Y「会話、続かないね」。9時28分、YOSHIKI
楽団へ、胸下で手を指揮するように楽団に合図して、I『Forever
Love』始まる。出だしはバイオリンだったが、YOSHIKIのピアノ演奏が続いて、途中バイオリンがまた入る。「Forever
Love〜・・」〜会場内へ、模様が回る。スモークが流れ出し、最後、クライマックスの域では、YOSHIKIの体の動きが大きくなり、後ろへ反り返りもあり、ピアノへ体を埋める様に、最後を締めて終わる。T「YOSHIKI、ありがとう」で、小さく手を振って、ステージを降りた(34分)。その間、ToshI自分のピアノに座り、「では、最後の曲になりますが、とりあえず。大切な友人でもあります坂本さんと、あの曲を演奏したいと思います」。そして静かに、ピアノが始まる。会場暗くなり、スポットライトがToshIのピアノへあてられJ『雨音』が始まる。ゆっくり、ゆっくり、思いの丈を込めるだけ込めて歌いだした。何度聞いても心の琴線に触れる思いがする。坂本さんの、わびしい音色のバイオリンが、やるせない情感を掻き立て、劇場場面を見るが如く、その曲の世界が移り変わってゆく。43分終わる。T「どうもありがとうございました」。小さな花束がToshIへ届けられる。ToshIが去って、会場暗くなる。暗い中、ざわめきが湧き、誘い込まれた世界から現実に戻る脱皮の音に聞こえた。クーラーの冷気が、その時感じられた。