旧古河庭園を訪ねて

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小雨にけむる秋の週末に、旧古河庭園(東京都北区)へ行ってきました。 ここは元々は日清戦争時の外相として有名な、陸奥宗光所有の敷地でした。 次男が古河財閥へ養子に入って古河家の所有となり、大正6年に古河家三代目にあたる虎之助が、洋館と庭園を築きました。 完成後、古河財閥の迎賓館として使われ、戦後は進駐軍の宿舎を経て国の所有となりました。 古典様式の洋館(大谷美術館)とテラス式の洋風庭園、和風庭園を絶妙に組み合わせた芸術品です。

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洋館は、天然スレートぶきレンガ造り。 ニコライ堂や鹿鳴館を設計した英国人建築家、ジョサイア・コンドル晩年の作品です。 事前申し込みが必要ですが、屋内をガイド付きで案内してもらうことができます。 ここを訪れるのなら絶対洋館を見るべきです。 こんな変わった和洋折衷の建物はない。 なにしろ一階は大理石造りのマントルピースやサンルームがある普通の洋館なのに、二階へ上がってドアを開けると、なんと畳敷きの和室が・・・。 そして、仏壇まで。 そうかと思うと、和室に出窓があったり。 ふすまとドアが二重になっていたり。 これ、折衷と言うのかな? 混在? コンドルは、こんな洋室と和室の混じった建物を4つ設計したそうですが、現存するのはここだけしかないそうです。 ウッキーが訪れた日は小雨交じりの天候だったから、外壁の安山岩が濡れて一層重厚感をかもし出していました。

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洋館のすぐ下にテラス式庭園があってバラ、ユッカ、シュロの花壇になっています。 春と秋には70種を超えるバラが咲き競い、見学者で賑わうのだそうです。 そしてツツジ、サツキの列を鋏んで、更に先に和風庭園が広がります。 洋館、洋風庭園と和風庭園の間には木立があって、お互いを遮っているので、見た目に違和感はありません。 見事に和・洋両式を使い分けた庭園です。 洋風庭園は洋館と同じくコンドルの設計、和風庭園は京都の著名な庭師・小川治兵衛の手になるものです。 

敷地面積は3万uを越える広大な旧古河庭園、昭和57年には東京都文化財に指定されています。

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