英語と悪戦苦闘するの巻

このコーナーは英語に苦しむウッキーの赤裸々な記録です。 ちょっとオーバーかな。
ウッキーは、英語が特に堪能な訳ではないのですが、はからずも、ある日突然、国際会議で英語の発表をする羽目になってしまいました。 残された時間は1年。 さあ、どうしよう。

 

1.サイは投げられた

平成11年の暮れも押し迫った頃、ウッキーは東京へ単身赴任になり、虎ノ門の職場で業務引継ぎを受けていました。
前任者・・・・「〜と言うことで、来年、国際会議で発表することになっています。」
ウッキー・・・「はぁ・・・・ (沈黙)」
思い起こせば、この時です。 ウッキーの悪戦苦闘の始まりは。 学生時代から何度もトライしたけれど、結局英語で仕事ができるほど、自由に操れるレベルには達しませんでした。 所詮、日常会話の域を出ず、そのたびに涙を飲んできた「英語」。 仕事で英語の文献を読んだり、外国からのお客さんの対応をしたり、英文レターを数回書いたことくらいはあったけれど、本格的に英語を駆使する業務の経験はなかったから、今では、もう縁のないものとあきらめていました。 それが、この時ウッキーの目の前に「国際会議での発表」という現実的な解決すべき課題として立ちふさがったのです。 しかし、「誇り高きサラリーマン」を自認するウッキーとしては「わ、私、あまり英語が堪能ではないので・・ とても、国際会議なんて・・」などとは口が裂けても言えません。
(もっとも、口が裂けたら言いたくても言えないのですが・・・)
そこで、ウッキーは一念発起しました。 「よ〜し、英語がなんぼのもんじゃ、ひとつやったろうやないか。」 (ウッキーの心の中の声はいつも関西弁です。) 
かくして、ウッキー苦悩の日々の火ぶたが切って落とされたのであります。

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2.ウッキーの英語歴

ウッキーは、決して英語に無関心であったわけではありません。 受けたTOEICの回数が5回もあるのだから、どちらかといえば興味を持っていた方だと思います。 学生時代を過ごした京都にはアメリカンセンターという、米国の広報センターの様なものがあり、そこへ日参して勉強した覚えもあります。 「日米自動車貿易摩擦」だったか、日本語で聞いてもわからないような英語の講演会へ行ったこともありました。 西山千さんという、有名な同時通訳者の話に啓発されたり、どう見てもやさしくないNHKラジオの「やさしいビジネス英語」を連日聞いたり、雑誌を購読していたこともあります。 個人的な英会話教室へも2年ほど通いました。 英検は2級止まり。 仕事じゃない日常会話や旅行であれば聞き返すなり、手振り身振りで表現するなり、どうにかする自信はありますが、問題は、仕事をこなせるほどのレベルにはないという悲しい現実。 入社直後のTOEICは理系の新入社員平均をわずかばかり上回る程度。 「やさしいビジネス英語」を聞き続けて、やっとTOEIC全体の平均点を越えるくらいになりました。 しかし、それ以来疎遠になっていて、自慢じゃないが国際会議に臨めるような実力じゃない。 ああ、あと、1年しかない。

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3.たかが英語 されど・・・・

過去何回もトライしては、その都度、目的を達成できなかったんだから、今回はその轍を踏んではいけない。 でも、勉強し始めて、今までと何か違うことに気づきました。 一番違うのは、学ぶ明確な目的があること。 国際会議は待ってはくれないから。 少しの閑を見つけて英語のラジオ放送を聞いたり、テレビでも英会話をできるだけ見る。 インターネットで英会話関係のホームページをサーフィンする。 東京に居残る週末は図書館へ通って勉強してみる。 出張があれば、往復の電車は勉強の場に変わる。 などなど、とにかく始められるものから手をつけてみました。

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写真は勉強用にここ1年間で買った教材です。 教材は勉強するための道具ですから、数を誇るものではありませんが、こんな教材を繰り返し勉強するようにしました。 そして次のことを学んだり、改めて実感しました。 どれも当然の事だけれど。

@語学は総合力 
当たり前だけど、話せるけど読めないとか、書けないけど話せるとかってなんか変。 あるホームーページで、英語は総合力だと強調されていました。 特に仕事で役立つ英語力をめざすのなら、読む、書く、話す、聞く全部できてこそ実力ですよね。 ヒアリング偏重の風潮や、英会話学校のうたい文句にだまされないようにしなくっちゃ。

A徹底的にパソコンを使おう 
勉強を再開し始めて痛切に感じたことですが、パソコンがすごい武器になる。 例えば、フリーメールや英語のホームーページにどれだけ教材が転がっていることか。 それを簡単にコピーして自分の教材を作ったり、単語リストを作成してソートしたりできます。 おまけに辞書のフリーソフトまであるんだ。
 
B日本にいたってマスターできる 
「英語なんて一年もアメリカ留学すれば話せて当然さ」とまことしやかに信じられている神話。 でも、アメリカに数年留学しても、大した英語力がついていない日本人って山ほどいるんだそうな。 意外に思ったのは、英語に堪能な方が英会話学校をあまり評価していないこと。 理由は、マンツーマンで話せるわけではなく、本当に会話している時間が限られているから、思ったほど勉強にならないのだそうです。 そういえば、英会話学校の外人教師の本音を何かの雑誌で読んだことがあったっけ。 英語教育の資格も経験も熱意もない素人が、アルバイトで教えている場合も少なくないようです。

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4.国際会議だ!

さて、ウッキーの当面の目的は、2000年11月27日に国際会議でプレゼンテーションをしなければならないと言うこと。 ところで、この国際会議、隔年で開催されているのですが、幸か不幸か今年の開催国は日本の大阪。 ウッキー2重のショック。 なんで、大阪で外人相手に英語で話をせなあかんのや????
当日のセッションは、最初に1人の持ち時間20分で3人がプレゼンテーションし、その後、3人の発表者が聴衆の前へ出て、聴衆と議論するという独特の形式で進行しました。 参加者は約400名で、ほぼ半数が海外からの参加者との事でした。 国内の国際会議で、半数も海外の参加者が占めるというのは大変珍しい事なんだそうです。
ウッキーはプレゼンテーションの3人目でした。 発表はあらかじめ構成した通り順調に進みました。 なにしろ、発表が月曜日の午後だったので、直前の土日に会社へ出勤して、一人でOHPを写しながら、ぶつぶつと練習を重ねたのですから。 誰もいないと思っていたら、練習している途中で隣の部署に出勤してきた人がいて、恥ずかしい思いをしながら苦労したんです。 どうにか発表が終わりました。 その直後に簡単な質問が2件ありました。 実はさっぱりわからない部分もありましたが、国内からの参加者に小声でフォローしてもらったりして、どうにか終わりました。 こうなると、日本人が半数参加している国内での開催が幸いします。 ラッキー!
その後、他の2名の発表者とともに聴衆の前に並んだのですが、質疑は自然と英語の堪能な海外の発表者に集中します。 ウッキーなんかいてもいなくても同じようなものと言うと、いささか言い過ぎですが、まあ枯れ木も何とかかな。 それでも、また1件質問されました。 さて、ウッキーが発表したセッションは、会議初日の最後だったのですが、セッションが終わるやいなや、東洋風の風貌の研究者が近寄ってきて、しかも、ノートとペンを持って、文字を書きなぐりながら、あれやこれやと質問してきます。 アメリカの大学の研究者でした。 なんでも、ウッキーの発表と同じような課題に取り組んでいるんだそうで、会議終了後も何回か電子メールでのやりとりが続いています。 こんな風にしてウッキー初体験の国際会議での発表が無事(?)終わりました。 望んでもない、いい機会だったと思いました。 何でもチャレンジしてみるものですね。 写真はプログラムと論文集です。

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5.降ってきた次の機会

英語の勉強はまだ継続しているけれど、ちょっとマンネリ化を感じ始め、ニューヨークのテロの記憶が真新しい2001年10月のある日、その話は突然降ってきました。 世の中、何が幸いするのかわかりません。 テロの影響で、当初10月に予定されていたある国際会議が翌年1月に延期されました。 さらに、その国際会議にウッキーが出席してはどうか、という話が突然職場で持ち上がったのです。 国際会議だから、英語onlyの会議。 こんないいチャンスは願ってもありません。 開催場所はミュンヘン。 英語圏の国ではないけれど、この際、そんなことはどうでもいいや。 なにしろ、前回ウッキーが出席した国際会議の開催地は、なんと大阪だったんだから。 

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6.二度目の国際会議で

ウッキーが国際会議で発表するのは、これで2回目。 前回は国際会議とはいえ大阪での開催だったので、自分の発表にあわせて会場入りしましたが、今回の開催場所はドイツのミュンヘンなので、初日から最終日までずっと会場にいることになりました。 会議はワークショップと言って研究会だから、会場もさほど広くないし参加者も40人ほどです。 発表者の顔やスクリーンはよく見え、マイクを使わなくても声も届きます。

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会議そのものはさておいて、一日中英語浸けの中で、いくつかの事に気が付きました。

@英語を母国語とする人たちの中には、話す速度が凄く早い人がいて、とてもウッキーのヒアリング能力では理解できないことがありました。 そういう場合、救いはスクリーンに映った資料の映像と手元の論文。 それらを合わせて眺めながら、文意を解釈しようと必死で努力します。 ただし、どこまで理解できたのかはウッキー自身わからないけれど。 

A英語を母国語としない人たちの言葉で、母国語なまりが強いと、これまた理解に支障がありました。 特にフランス語っぽい発音は聞きにくかった。 これについては、いくら米語や英語のヒアリング教材を使って勉強しても効果はないでしょう。 慣れたらもう少しわかるようになるのかなあ。

B内容が自分の通じていない分野に及ぶと、これはもうお手上げ。 多分日本語で聞いてもわからないでしょうから、はっきり言ってこれは回避できません。 あきらめるより仕方ない。 

C会場へ着いたら早々に韓国からの参加者が近づいてきて話しかけてきました。 別れ際に彼曰く「アジア系の人の英語は分かり易い」。 同感同感。 しかし、あいつ、まさかウッキーが韓国人だと思って近寄ってきたんじゃねえだろうな? 顔を見たって区別つかないもんな。

Dワークショップの場合、ある分野の専門家が共通の目的で集まっているわけで、コーヒーブレイクの時間でも、話す話題は限られます。 たどたどしく質問しても、それなりに一生懸命聞けば、英語を母国語とする人でも相手をしてくれます。 相手が目の前にいれば、聞き直すこともできるし。

2回目の国際会議は、英語を勉強すること自体が目的ではなくて、それを道具にして意志疎通することが目的だと言うことを、改めて実感させてくれる大変いい機会になりました。 また、現状の自分の英語力の低さ、特に表現力の低さを改めて反省させられる機会でもありました。 ウッキーも発表しましたが、フィンランドからの出席者がコーヒーブレイクの時に Your presentation was excellent. と声をかけてくれた。 発表後の質問への回答では、自分の伝えたい半分も満足には答えられなかったし、沈黙が続いたこともあったほどだから、見え見えのお世辞だとわかっていたけれど、すごく嬉しかった。 実践の場で冷や汗だらけになりながらの貴重な体験でした。

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