声に出して読みたい日本語

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 草思社 齋藤孝著 1200円

最近ベストセラーにあがっているので、書名だけは知っていたこの本を、新刊本の棚で見かけて何気なく手にしました。 著者は教育学を専攻する明治大学の先生です。 パラパラっと頁を繰ってみると、大きな活字で、いつかどこかで見たようなフレーズが目に飛び込んできます。 それは高校時代に古文で習ったものであったり、歌舞伎の名場面のせりふであったり、童謡の歌詞であったりします。 中には「久かたの 光のどけき 春の日に・・・」とか「智に働けば角が立つ。 情に棹させば・・・」とかウッキーでもそらんじて、親しんでいる文言も。 著者はこのような名文を覚え、腹から声を出して高らかに朗誦を楽しむという文化が、日本から消えつつあることを嘆きます。 高校時代の恩師が朗誦文化の実践者で、大きな影響を受けたといいます。 

確かにウッキーのような理科系に進学した人間でさえ、成人した今の年齢でも頭から離れないフレーズがあるものです。 それらは、受験でやむを得ず頭にたたき込んだものもあるし、受験から解放されてから、覚えたくて覚えた名文もありました。 夏目漱石や石川達三のような作家だったり、アインシュタインやファインマンのような物理学者が書いた文章のときもありました。 この本を読み終えて、通読するのもいいけれど本棚の手の届くところに置いて、何度も読み返したい一冊になるだろうという気がしました。

 

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