十二番目の天使

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 求龍堂 オグ・マンディーノ著 坂本貢一訳  1200円

ウッキーは文学も嫌いではありません。 大学時代に若狭からウッキーと同じ京都の大学の英文科へ行った友達がいて、彼の下宿へたまに遊びに行くと、電気屋の私の本棚とまるっきり違う類の本が並んでいて、すごく魅力的に思えたことがあります。 実はそれに触発されて、シェークスピアやギリシャ悲劇を読むようになり、シェークスピア劇が大好きになるきっかけになったのです。 ところで、最近読む本と言えばほとんど文庫本かパソコンの雑誌だったりして、あまりハードカバーの本は読まなくなってしまいました。 その数少ないハードカバーの一冊で感動ものにお目にかかりましたので、紹介します。

ある人の薦めで、「十二番目の天使」という本を買いました。 会社の帰りに新橋の本屋さんで、名前だけをたよりに探してみると、本当に山の様に積み上げてありました。 2001年4月が初版ですから、まだ新しい本ですが、最近ベストセラーの上位に顔を出すようになってきました。

出だしは、40代の男性がまさに、自殺しようとしてピストルを手にしているところから始まります。 この男、ハーディングといい、ビジネスマンとして大成功をおさめ、ヘッドハントされて大会社の社長に就いて、生まれ故郷の人口5000人ほどの小さな町へ帰ってきて間がありません。 町は地元出身の成功者を迎えて、彼の帰郷を町をあげて歓迎してくれ、盛大な歓迎会を開催してくれたり、メダルを贈呈してくれたりします。 幸せの絶頂。 しかし、2週間後、突然不幸がおそいます。 交通事故で妻と一人息子を同時に失ってしまうのです。 生きる糧を失った失意のハーディングは、ピストル自殺を決意し、こめかみにコルト45を当てます。 そして、まさに引き金を引こうとしたそのとき、不幸を聞きつけた子供時代の親友が病院を抜け出して訪ねてきます。 そして、親友は打ちひしがれている男に、なんとリトルリーグの野球チームの監督になってくれと頼むのです。 引き金を引くタイミングを逸した男は、請われるままに監督に就任して、自分が率いるチームで不思議な少年と出会います。

ティモシーというその少年は、他のどの選手よりも体が小さく、人一倍運動神経が悪くて、打席に立っても球はバットにかすりさえせず、守ってはエラーを起こす難儀な子。 しかし、この子はいつも信じられないほど元気で、口癖のように「僕は毎日よくなっていく」と自分を勇気づけ、「あきらめるな 絶対 絶対 あきらめるな」と大声でチームメイトを励まし、三振したって決して落ち込まず、胸をはってベンチへ戻ります。 

いつの間にかティモシーはチームのムードメーカーになり、試合を重ねる毎に「絶対 絶対 あきらめるな!」の声援の輪が広がり、チーム全員、そしてスタンドの観客全員にまで広がるようになっていきます。 その声は、一度は自ら命を絶とうとした監督のハーディングにも、再び生きる勇気を与えます。

激戦を重ねたリーグのシーズンが終わりに近づき、ハーディングとティモシーのチームは優勝決定戦で勝利に輝きます。 ティモシーのおかげで働く意欲を取り戻したハーディングは、再度社長職に戻りますが、復帰まもなく一本の電話がきっかけでティモシーの大変な秘密に気付かされるのです。 そして・・・・

最後は敢えて書きませんが。 ウッキーは久々に数時間で一気に読み切ってしまいました。 読み進めて、残りページが少なくなっていくにつれ、読み終わるのが惜しい気持ちがつのるし、本当に時間を忘れて読みました。 それに文体が平易で、すごく読みやすい。 

いい本を紹介してもらって、Nさんありがとう。 ウッキーは、随分前にどこかに置き忘れてきた気持ちと、また巡り会ったような気がします。 心が洗われました。 ところで、ウッキーの場合、どこまで心を洗えばいいのでしょうね? 自分ではもう十二分だと思っているんだけどなあ・・・・。 ウッキーは心に灯がともった気分で最高!

 

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