マクベス

久々に舞台を見ました。 2001年4月25日渋谷のbunkamura シアターコクーン。 演目はシェークスピアの悲劇「マクベス」。 蜷川幸雄演出、マクベスに唐沢寿明、マクベス夫人に大竹しのぶという話題を呼んだ姉さん女房の夫婦役です。 ウッキーは東京へ来て舞台を何回か見に行ったけれど、いつも直前に決めるものだから、小さな無名の劇団だったりして。 それなりには楽しめるものの、今回のように体が震えるような舞台は本当に久々。 やっぱりいいものを見ないと、本物の良さがわかりません。 

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さて、蜷川幸雄の演出を見るのも初めてでしたが、なんとも「凄い」。 舞台は緞帳のかわりに鏡張りのパネル。 開演前には席に着いている観客の姿が映ります。 この鏡も劇の中で効果的に使われているし、舞台の道具類、照明、音響等すべてが迫力に満ちていました。 蜷川が、大竹しのぶという実力派キャストを駆使して作り上げた舞台の絶妙さ。 あらためて舞台のすばらしさを実感しました。 

演技で印象に残ったのは、大竹しのぶの達者な演技と、六平直政が演じるヴァンコー。 大竹しのぶと言う人は、どうしてあんなにも演技がうまいのでしょうね。 テレビのトーク番組に出ている時なんか、おっちょこちょいで、か弱そうな人なのに、演技力って天性のものなんでしょうか。 マクベス夫人はマクベスをそそのかして、主君ダンカン王を殺害させます。 殺す時には夫より肝が据わっていたマクベス夫人ですが、ダンカン王の亡霊に悩まされ、夜中に夢遊病のように歩き回ります。 そして、ウッキーがマクベスの中で一番好きな場面、マクベス夫人が手に付いたと本人が思っているだけのダンカン王の返り血を落とそうと、手をこすり合わせる場面になります。 大竹しのぶは、最初夫思いで、次いで気丈で、最後は気がふれてしまう夫人を見事に演じ分けます。

もう一つ印象に残ったのは、六平直政演じるヴァンコーの亡霊が食卓に出てくる場面。 首がテーブルの上に浮かんで見えるのですが、これ六平さんの顔ならぴったりだなあ。

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この顔に血糊をべったり付けて、暗闇で浮かび上がると、それだけで迫力があるものなあ。

本当に満足のいく公演でした。

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