シエナ美術展

シエナとはイタリア北部の街の名前です。 ルネサンスの中心地フィレンツェと100km足らずしか離れていない所にあって、金融、商業を中心に中世に繁栄した都市国家のひとつです。 今でも、当時の面影をそのまま残す頑丈な城壁に囲まれていて、1995年に町全体が世界遺産に登録されました。

さて、この美術展は繊細、典雅で気品に満ちていると評されるシエナ派美術を紹介してくれました。 たくさんの作品の中で仮に一点どれかを選ぶとしたら、ウッキーは迷うことなく入場券のデザインにも採用されている聖母子を選びます。

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細部まで神経の行き届いた抜群の仕上がりといい、目が覚める思いの金箔の輝きといい、550年もの時間を経ているとは思えない状態の良さで、すばらしいと思いました。 祭壇の装飾品の一部なのでしょう、高さ1mくらいの板にテンペラで描かれたものです。 作者はサーノ・ディ・ピエトロ、画題は「聖ヒエロニムス、シエナの聖ベルナルディーノ、そして4人の天使をともなった聖母子」という長ったらしい名前で、1450〜1550年ころの作品です。

日本ではこういう作品にはなかなかお目にかかれません。 もともと教会の装飾品だから、あまり絵画の市場に出なくて日本の美術館で購入されることも少ないんだろうし、日本人の好みも印象派などに偏りすぎていて、国内では見たい人が少数派だからじゃないかと思います。 この美術展は、これだけをとりあげても、行く価値があったと思います。 

もう一つ写真を載せたのはルティリオ・マネッティという画家の「蝋燭の光に照らされて、カードと演奏をする人たち」と言う作品です。 つい先日カラヴァッジョを見に行きましたが、この絵の光の当て方を見て、カラヴァッジョの影響をうけた後継者の一人なんだろうなと思って印象に残ったものです。 

展覧会には、小ぶりながら彫刻も出展されていたし、陶器類の鑑賞も楽しめました。

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