カラバッジョ展

バロックの巨匠カラヴァッジョ展が、東京都庭園美術館で開催されています。 ルネサンスやバロックの時期の絵画は比較的展覧会も少なく、見る機会はさほど多くは有りません。 その数少ない機会が訪れたのですから、これはもう出かけるしかない。 この頃の絵は、宗教色が濃いか、題材を神話に取った比較的地味な絵が多いけれど、ウッキーはこの頃の絵も大好きです。

春先に、目黒美術館へ行こうと思って、間違ってたどり着いた東京都庭園美術館へ、今度は迷わずにたどり着きました。 ところが、まず入場券売り場で20人ほどの行列ができています。 さらに入り口でも入場者の人数制限をしていて、また20分くらい待たなければなりませんでした。 しかし、これは最終的には見る人の立場を考えた配慮だと思いました。 決して広くない美術館ですから、制限せずに入場させるとおそらく身動きできなくなったでしょう。

さて、カラヴァッジョ(CARAVAGGIO 1571〜1610)はミラノ生まれの光と影を操ったバロックの巨匠です。 彼の絵の特徴は、暗闇の中で、まるでスポットライトか隙間から漏れた光に照らされて、浮かび上がったかのように見える描き方です。 下で紹介した絵もそうですが、この描き方は他の画家と比較にならないくらい印象的でした。 カラヴァッジョは、他の多くの画家に影響を与え、それらの追随者はカラヴァッジェスキと呼ばれます。 この展覧会でも何人ものカラヴァッジェスキの絵が展示されているものの、師匠にくらべれば見劣りする事は否定できませんでした。 館内で70歳代くらいの老夫婦とすれ違いざまに、ご主人が「やっぱりカラヴァッジョと比べると全然格が違うよね。」と話しながら過ぎて行かれました。 ウッキーも全く同感でした。

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印象に残った作品を展覧会の絵はがきから紹介します。 
中央の絵は「執筆する聖ヒエロニズム」です。 こんな光の当て方がカラヴァッジョ風です。 しかし、かれの描く聖人は、まるで普通の人のようで、当時は品格に欠けると非難されたこともあったようです。
右の絵は「ナルキッソス」という絵で、水面に映った自分自身に見ほれている、良くある構図の絵です。 ちなみに、これがナルシズム(自己愛)の語源ですよね。

カラヴァッジョは大変激しい性格の持ち主で、他人との争いも絶えなかったとか。 34歳の時には知人を刺し殺してしまい、その後逃避行の途中に38歳で生涯を閉じました。 カラヴァッジョ本人の絵は10点あるかないかで、他は同時代の画家達の絵でしたが、ウッキーにとって大変満足のいく展覧会でした。

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