バックミンスター・フラー展

リチャード・バックミンスター・フラー(1895〜1983)というアメリカ人がいました。 職業は特定できないほど多彩で、一般には建築家、発明家、数学者、哲学者、エンジニア、デザイナー等の様々な肩書きで呼ばれる、20世紀を生きた天才の一人です。 欧米では、彼のように一つのカテゴリーに収まりきらないマルチな才能を発揮する人が多い中で、一等抜きん出て卓越した能力を示した現代のレオナルド・ダ・ビンチと言われる男です。  そのフラーの展覧会があると知って早速鎌倉へ出かけました。  

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おそらくフラーの業績で世間に一番知られているのは、パンフレットの背景になっているドーム構造だろうと思います。 三角形をたくさん組み合わせて作る構造です。 もうすぐ撤去される富士山頂の気象レーダードーム等でおなじみですよね。 世界中のほとんど全てのドームの基本構造だそうです。 フラーのテーマは「最小のエネルギー、最小の資材で最高の強度とパフォーマンスを得ること」だったそうで、これを応用した建物や流線型の車、ユニットバスなどを設計し、実際に制作しました。 彼はこの考えをダイマクション(dymaxion:dynamicとmaximumを組み合わせた造語)と呼び、製品の商業化にも取り組んだものの、万能の天才とはいえ商才だけはなかったらしく、倒産に追い込まれてしまったようです。

それから、化学の分野では、現在「フラーレン(C70、C82等)」として知られている、炭素原子が何十個もサッカーボールのように球形に組み合わさった構造を、最初に考案したのもフラーでした。 ウッキーは「フラーレン」という名称は知っていましたが、それがフラーに敬意を表してつけられたことを初めて知りました。

思想家、哲学者としては有名な「宇宙船地球号」という発想を生み出し、環境とのつきあい方に警鐘を鳴らしています。

しかし日本では、「最も過小評価されてきた知的巨人の一人」とも呼ばれています。  ウッキーは学生時代に京都のアメリカン・センターという米国の広報施設で、たまたまフラーのビデオを見て、初めてフラーという人を知ったのですが、日本では全く知られていないけれど、とてつもない人がいるんだと知って、本当に驚愕したことを昨日の様に覚えています。

フラーの名言をいくつかあげましょう。

○我々は皆、宇宙船地球号の乗組員だ。

○最小限によって最大限を行う。

○力と戦うな、利用せよ。

○グローバルに考え、ローカルに行動せよ。

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