聖母子と子供たち展

 

「聖母子」はキリスト教絵画の中で、一番数多く描かれてきた題材の一つです。 古いものでは、ラファエロが描いた「牧場の聖母」など有名な傑作が残っています。 2003年春、大阪心斎橋の大丸ミュージアムで、「聖母子」と「母と子」をテーマにした展覧会が開かれました。

展覧会には、ポーランドのヨハネ・パウロ2世美術館が所蔵する、16〜19世紀にかけての作品57点が出展されていました。 ここでは、聖母子に絞って紹介しましょう。 
この題材は、もともと礼拝の対象として描かれ始めたので、15世紀頃の作品だと、母子を天使が取り巻いていたりして、見るからに宗教色が強く表現されています。 しかし、16世紀以降は、神聖なことも大切にされていますが、むしろ、母子の愛情を感じさせる作品が多くなってきています。

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左端の絵は、アニーバレ・カルラッチ(1560〜1609年 伊)の「聖母子」です。 この絵では、頭の周りに輪っか(光輪)が描かれていて、まだ神格化の趣が強く感じられます。 上品で聡明な聖母子です。 

続く中央の2枚の作品では輪っかはなくなっていて、普通の母子像という描き方です。 しかも、マリアがキリストの頭に頬をくっつけるようにして、抱き上げている様子からは、母子の愛情が強く感じられます。 左から2枚目はルーカス・クラナッハ(子)(1515〜86年 独)、3枚目はバルトーロメ・エステバン・ムリーリョ(1617〜82年 スペイン)の絵で、題名はいずれも「聖母子」です。 

続いて、右端のルーベンス(1577〜1640年 独)の「授乳の聖母と子」になると、聖母子だといわれなければ、ありきたりの母子像にしか見えません。 すごい世俗的、人間的な絵になっています。 もっとも、教会はそれが気に食わなかったのか、このような授乳の絵を禁止したので、その後このような構図の絵は姿を消してしまいました。

久々に宗教色の濃い絵画を楽しみました。 ウッキーはクリスチャンではありませんが、宗教画を観るのも好きです。 

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