大レンブラント展

 

2003年1月、京都国立博物館で「大レンブラント展」を鑑賞しました。 会場は、新春の名物行事「通し矢」で有名な、三十三間堂の筋向かいにあります。

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ウッキーが訪れたのは、展覧会の最終日。 入り口で整理券を受け取り、やっと30分後に入場できるほど、観客でごった返していました。 日本では京都でのみ開催されたうえ、最終日の休日だったこともあったのでしょう。

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さて、今回のウッキーの目当ては2枚の大作。 一つ目の作品は、「ヨアン・デイマン博士の解剖学講義」(1656年 アムステルダム歴史博物館蔵)です。 レンブラントは同じような主題で、よく知られている「ニコラース・テュルプ博士の解剖学講義」を描いているので、興味を持っていたのです。 ところが、実際に見てみると全体的にすごく暗くて、陰鬱な印象がしました。 「ニコラース・・・」と比べて見栄えがしません。 会場で知ったのですが、実はこの作品はもともと、この5倍くらいもある大きな作品だったらしいのです。 しかし、火災に遭って、この部分だけ焼け残ったのです。 絵のそばに、CGで再現された原画が展示されていて、本来の構図が想像できました。 不幸な生い立ちの絵だったんだ。 私生活でも、放蕩がたたって破産してしまった暗い年に完成した作品です。

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もう一枚のお目当ては「目を潰されるサムソン」(1636年 フランクフルト、シュテーデル美術館蔵)でした。 縦横3mくらいある大作で、すばらしい作品でした。 旧約聖書に出てくる、ライオンを素手で引き裂いたこともある暴れ者サムソンが、目を潰される瞬間を描いています。 サムソンはパワーの源が髪の毛であることを、うっかり恋人に漏らしてしまって、寝ている間に髪の毛を奪い取られ、目を潰されたのです。 画風には敬愛するルーベンスの影響がうかがえ、動きがあって力強い構図です。 特徴的な「レンブラント・ライティング」とよばれる光の当て方で、表情や明暗を表現しています。 レンブラントが順風満帆で活躍していた頃の秀作です。 これを見ただけでも、会場へ足を運んだ価値があったと思いました。

 

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