マン・レイ展

「私は謎だ。」 I am an enigma.

ウッキーは福井県に住んでいます。 しかし、県庁所在地の福井市へ足を運ぶことは、あまり多くありません。 県の南部に位置する嶺南地方は、比較的京阪神に近いので、何かにつけて、京都や大阪へ出かける方が多いのです。 福井県立美術館へも、行ったことがなかったのですが、今回、マン・レイ展が開催されていると知って、初めて訪れてきました。

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マン・レイ(1890〜1976)というのは、本名ではありません。 その正体は、フィラデルフィア生まれの、エマニュエル・ラドニッキーという、ユダヤ系ロシア人です。 写真家として不動の地位を得ていますが、画家でもあり、工芸家、デザイナー、映画作家など多くの顔を持つ奇才です。
レイは31歳でパリへ渡り、当時の人気歌手でモデルでもあったキキ・ド・モンパルナスと恋に落ち、同棲生活を送るようになります。 キキをモデルにした作品はたくさん残されていて、その中で最もよく知られている作品が、「アングルのヴァイオリン」(1924年)です。 上の写真の右に写っている、ターバンを巻いた、キキの背中を題材にした作品です。 

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画家のアングルは、趣味でヴァイオリンを楽しみ、その腕前は玄人はだしだったようです。 それでフランスでは、芸術家の余技がプロの域に達していることを、「アングルのヴァイオリン」と形容するのだそうです。 レイの作品は、ヌードの大家であったアングルに敬意を表した、軽妙洒脱な傑作です。

Man(人)・Ray(光)という、謎めいた名前を名乗るようにったレイは、パリでダダイズムの中心人物の一人となり、その後、シュールレアリズムにも参加して、終生創作活動を続けました。 写真技法の発展でも足跡を残していて、印画紙に直接オブジェを置いて光を当てる「レイヨグラフ」や、意図的に白黒を反転させた「ソラリゼーション」、という技術を開発しています。 彼の写真作品には、今でも高い人気を得ているものが、たくさんあります。

会期 2004年6月11日〜7月11日   会場 福井県立美術館 (福井市)

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