マグリット展

不思議空間へ

 

渋谷のbunkamura ザ・ミュージアムでマグリット展が開幕したので、ウッキーにしては珍しく、開幕早々に出かけてきました。 マグリットと聞くと、気味悪くはないけれど、一風変わった不思議な絵という印象を持ちます。 今回の展覧会の特色は、シュールレアリズムの巨匠マグリットを生んだベルギーの王立美術館が監修し、彼の代表作を数多く公開してくれていることです。  

秘密の遊戯者」(1927 ベルギー王立美術館蔵) この絵に描かれている柱は、実は西洋のけん玉なんだそうです。 日本の物と違って、先に玉を突き刺すだけの単純なもの。 それを柱に見立て、なぜかウミガメ(のような物)が空を飛んでいる。 それを無視して野球に興じる人物と、右の扉には、なぜかマスクで口を塞がれた女性がいる。 ことごとく現実離れしているように見えます。 ウッキーはこの絵から、「デペイズマン」という言葉を学びました。 本来そこに無いはずの物を描いたり、異質で予想外な物を組み合わせることを意味します。 この絵の右端にはカーテンが描かれていて、まるで演劇をみるように、非日常の世界を垣間見せてくれていると言うことなのでしょうか。

白紙委任状」(1965 ワシントン ナショナルギャラリー蔵) これも有名な絵で、展覧会開催前から、電車の中吊りでよく見かけた作品です。 馬に乗った女性が森の木を隠している部分と、逆に木が馬と女性を隠している部分が、交互に描かれています。 マグリットは「目に見える物は、いつも別の見える物を隠している。」と語っています。 マグリットの絵は、この隠された物を鑑賞者に気づかせたり、謎のまま投げかけたりしています。 ウッキーは、この言葉は彼の人生観、世界観だと思いました。 この絵ほど奇想天外な情景ではないけれど、切り口が全く違う考え方や見方に驚かされることって、日常でもよくありますよね。 そういう変化に富んだ見方ができることを、「才能」と呼ぶんじゃないかな。

他にも秀作がたくさん展示されていました。 マグリットに興味があるなら、逃すことができない展覧会だと思います。 ところで、マグリットはこんな非日常的な絵を描き続けていながら、自分自身はいつもスーツに身をつつみ、山高帽を被って画家らしからぬ身なりをしていたそうです。 絵を描くときでさえ正装だったと言うのですから驚き。 彼にとっては、絵だけでなく、生活そのものがデペイズマンだったようです。    

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