ハムレット

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ウッキーはシェークスピア(写真)の劇が好きです。 重いからと、敬遠する人もありますが、喜劇の軽妙さ、人間性をえぐりだす悲劇とも捨てがたい魅力があります。 2003年4月、劇団四季50周年記念のハムレットを、京都劇場で鑑賞してきました。 ハムレットに石丸幹二、恋人のオフィーリア役に野村玲子、その父ポローニアスに日下武史といった配役です。 

「ハムレット」、「リア王」、「マクベス」、「オセロー」をシェークスピア4大悲劇と呼びます。 その中でも、ハムレットは例の「生か死か・・・」というセリフとともに、最も知られた最高傑作と褒め称えられています。 世界中で、一番上演機会が多いのもハムレットなんだとか。 さて、今回のうたい文句は、「浅利慶太演出による正統派の名舞台」です。 演劇は演出や舞台装置次第で、まるで別作品のように印象が変わってしまいます。 また、奇をてらって、わざと奇抜な演出をすることもあります。 しかし、四季のハムレットは、原作と福田恒存の訳に忠実でオーソドックスな演出に徹しています。 

ウッキーは開場20分前には、京都駅ビルにある京都劇場へ到着していました。 席に就いたのも1番目か2番目。 前から10列目くらいのほぼ中央で、舞台が大変見やすい席でした。 ステージに目をやると、舞台につきものの緞帳がありません。 黒く塗られた床には、放射状に白線が引かれ、両脇に城壁とも部屋の壁ともとれる、シンプルな大道具がおいてあるのみでした。 場面が変わるときに一瞬照明が落ちて、数秒後には次のシーンに変わっているという、きびきびした進行でした。 

配役の中で光っていたのは、主役の石丸幹二と、その恋人オフィーリア。 石丸の演技は堂々としていて存在感があり、朗々と響き渡る声が大変魅力的でした。 終盤にある剣の仕合の場面では、動きのあるスリリングな演技で楽しませてくれました。 一方、野村玲子は華奢な体躯で、哀れなオフィーリアを見事に演じていました。

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(アーサー・ヒューズ作 オフィーリア 1852年 マンチェスター市立美術館)

愛するハムレットに裏切られたと思い込み、その上、父まで殺されてしまった悲しみのあまり、気が触れたオフィーリア。 軽やかなステップで舞うように登場した少女の口からは、喜びと悲しみと狂気の言葉が、まるで多重人格の様に、入り混じって、目まぐるしくあふれ出してきます。 観客の視線はステージに釘付けになり、すすり泣きさえ聞こえるほど。 野村玲子さんって、20年の芸暦があるそうで、決して10代の少女ではないのですが、全く違和感のないすばらしい演技でした。 ウッキーも思わず身を乗り出し、息を潜めて見入っていました。 演技ができて、歌って踊れて。 劇団四季には、こんな役者さん達がたくさんいるのでしょう。 層の厚さを実感しました。  

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