フランス近代絵画展

〜印象派からエコール・ド・パリ〜

 

京都駅ビルにある、美術館「えき」KYOTOへ行って来ました。 東京の松岡美術館が所蔵する、名作の数々を紹介する展覧会です。 ウッキーにしては珍しく、開会して最初の週末に訪れました。

松岡美術館は、元々東京の新橋にあって、2000年に港区白金台の松岡清次郎邸跡へ移転しています。 移ってから、一度だけ行ったことがあり、収蔵品の質、量ともすばらしい美術館だという印象を持っていました。
今回の展覧会は、サブタイトルのようにモネ、ルノワールらの印象派から、ユトリロや藤田嗣司らのエコール・ド・パリに至るまで、37作家の70点を公開する見応えのあるものでした。 これだけの作品を、私設の一美術館から出せるのですから、松岡美術館の凄さが容易に理解できます。 それも、ほとんどの作品が大きな号数のものなのですから。
ウッキーの印象に残った作品は、比較的たくさんあったのですが、写真が手元になかったり、あるいは最近の作品なので、著作権の制限から画像を載せることができません。 (作者の没後50年は著作権が継続しているのです。)

限られた中からいくつか紹介しましょう。 一つ目は、会場に入ってすぐのところに展示されていた、モネの「サン・タドレスの断崖(1867年)」です。 印象派と言えば、光を描こうとしたわけですが、この作品はモネの初期の絵で、まだ印象派が生まれる前のものです。 それでも、海岸特有の空気と日差し、明るい緑に囲まれた構図には、後々のモネの画風の片鱗が表れていると思います。 今回の作品の中では、一番気に入った絵でした。

france01.jpg (19875 バイト)

次に、下の左の絵は、点描の画家シニャックの作品「サン・トロペの港(1923年)」です。 同じ点描でもスーラのような、繊細なタッチと違って、大胆な点描が印象的でした。 

france02.jpg (20938 バイト) france03.jpg (20421 バイト)

上の右側の絵はルオーの「道化師(1937年)」です。 「旅芸人」と「道化師」はルオー生涯の題材でした。 悲しみと苦悩を秘めながらも、人々を楽しませる道化師に愛着を持ったのでしょう。 この絵でも、伏し目がちな表情に優しさが感じられます。

france04.jpg (20407 バイト)

最後の絵は、ユトリロの「オルテーズのサン・ピエール教会(1923年)」という絵です。 会場でユトリロのコーナーに来て、「へえ〜、ユトリロがこんな青い空を描く事があるんだ!」と意外に思ったものです。 だって、ユトリロと言えば、「哀愁漂うパリの街角」ってイメージですよね。 10代から酒に溺れ、アルコール依存症と闘ったという”不健全”な先入観に反する青い空。 ところが解説を読んで納得しました。 彼は、生活のために、絵はがきを題材に描くこともあったようで、これもその一枚なんだそうです。 やっぱりね。

今回の展覧会は作品は文句なしによかったし、週末でしたが人混みもそんなになく、ゆっくり鑑賞できたし、さらに照明の仕方も適切で、作品を見やすくする気配りにも手抜きがありませんでした。 会場によっては、作品に別の照明が反射して、どこから見ても見づらく、不満を覚える事があるものです。 今回は、ガラスで覆ってない作品が多かったことと、見る人の立場に立って照明の位置が工夫されていたことを、大変ありがたく思いました。

表紙へ戻る