クールベ展

 

2003年2月、大阪市立美術館でクールベ展を鑑賞してきました。 19世紀フランス画壇を代表する彼は、写実主義の画家として知られています。

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裕福な豪農の家庭に生まれ、強烈極まりない自意識を持ち、とんでもないナルシストだったクールベは、たくさんの自画像を残しています。 なかなかの美男子だったことも理由の一つだったのでしょう。 その中で自己陶酔の局地といわれているのが、この絵です。 

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「傷ついた男」(1844〜54年頃 パリ オルセー美術館蔵) 決闘の後なのでしょうか、サーベルを横に置き、傷ついた体を大木の幹にゆだねています。 傷の痛みに耐えているというよりも、満足げにうっとしているように見えます。

次の絵は、「サルヴァン婆やの物語(クールベの3人の妹)」(1847年 ミネソタ カーチス・ギャラリー蔵)です。 クールベが写実主義とよばれる理由は、人物像を見てもよくわかります。 クールベ以前の画家は、たとえばアングルのように、女性をまるで人工的につくりあげた美しいもののように扱いました。 ところがクールベの絵では、スナップ写真のようにありのまま、普通に描かれているのです。 絵画の伝統にとらわれない彼の人生は、挑戦と闘争の連続でもありました。 今回の展覧会では、自画像以外の人物画が少なくて、少し残念でした。

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最後の絵は「プー・デュ・モンドの滝」(1864年 個人蔵)という風景画です。 クールベの作品のうち、特に風景画には、激しさよりも落ち着きが感じられます。 会場で「精神的な闘争が終わった後の安らぎがある」という解説を見かけました。 いかに自己中心的なクールベであっても、大自然に対しては畏敬の気持ちを持っていたのだと思われて、少し安心しました。 

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滝や故郷の山々、人気のある波の絵等を十分堪能したあと、遠くに通天閣を眺めながら天王寺から帰ってきました。

 

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