アイーダ

劇団四季 ミュージカル

 

劇団四季の「アイーダ」を、大阪で観ました。
四季の催しは、東京を皮切りにするのが通例ですが、これは珍しく大阪で開幕を迎えたミュージカルです。 4月の平日だというのに、会場は空いた席が見あたらないほどの盛況ぶり。 ウッキーの席は、二階の前の方でした。

aida01.jpg (33358 バイト)

右端は会場で買ったプログラム

きれいな装丁に仕上がっています

アイーダといえば、まず思い浮かぶのがヴェルディのオペラでしょう。 オペラの方は、スエズ運河開通を記念して作曲され、1871年に初演されました。 原作は、フランスのオーギュスト・マリエットという、著名な考古学者です。 紀元前二千数百年頃を舞台にした物語なので、ピラミッドやスフィンクスの舞台装置が大がかりになり、屋外で上演されたりもします。 それに比して四季のミュージカルでは、比較的狭いステージで、大道具も少ない演出でした。 しかし、布と照明が効果的に使われ、シンプルな道具立てにもかかわらず、ちまちました感じは全くありません。 中には、これが舞台で演じられている映像なのかと、目を疑うほど幻想的に仕上げられている場面もありました。 作曲は、イギリスが生んだスーパースター エルトン・ジョン。 弾き語りを彷彿とさせるピアノの旋律や緊張感、リズムに満ち洗練された曲の数々を、たっぷりと満喫できます。 第一幕で13曲、第二幕に10曲もあって、聞き入っているうちに、あっという間に時間が過ぎていく感じです。 

ストーリーは、反目しあう勢力の将軍と王女が恋におちるという、割とありふれた展開で進行します。 主人公は、次期エジプト王を約束された将軍ラダメスと、不覚にもエジプト軍の捕虜になってしまった、敵国ヌビアの王女アイーダです。 アイーダは、王宮へ連れて行かれ、ラダメスの許婚アムネリスに仕えることになります。 ラダメスは最初、アイーダが敵国の王女であることを知りませんが、その勇敢で大胆不敵な振る舞いと凛とした態度に魅了され、次第に心を奪われていきます。 ある日、父であるヌビア王が牢獄につながれたと聞かされたアイーダは、王と共に脱出する計画をたてます。 一方、アイーダの素性を知ったラダメスは、目前にエジプト王女との婚礼を控えているにもかかわらず、祖国にも背を向けて、アイーダの手助けをしようとします。 結局、王を脱獄させることには成功するものの、アイーダとラダメスはエジプト軍に捕らえられます。 そして、ラダメスに裏切られたエジプト王女アムネリスは、二人を生き埋めの刑に処するよう命じます。 過酷な処罰ですが、二人を同じ場所に埋めるという、最大限の温情ある裁定だったのでした。

ミュージカルでは、冒頭と最後の部分に、原作にない博物館でのシーンが加えられていて、それが古代エジプトと現代を繋ぐ、重要な役目を果たしています。

aida02.jpg (54596 バイト)

当日のキャストは、アイーダ:濱口めぐみ、ラダメス:阿久津陽一郎、アムネリス:森川美穂、ゾーザー:飯野おさみ でした。 音楽、歌、踊り、演技 どれをとっても文句なし。 エルトン・ジョンの音楽と劇団四季が、ミュージカルの最高峰へ、いざなってくれます。 プログラムの表紙を、ピカソの作品を思わせる顔の絵が飾っていますが、オペラの方を古典的な絵画だとすれば、ミュージカルの方はさながらキュビズム。 互いに甲乙つけがたい作品に仕上がっていると感じました。

鑑賞日 2004年4月1日   会場 大阪MBS劇場

 

表紙へ戻る